就活記 #2 就活最大の失敗を避けるためにすべきこと 〜選択肢をつぶしきる〜

就活に対して「まだ先だから今から動かなくても問題ない」「何から始めればいいかわからないから何も始めていない」と考えている人が失敗をする可能性が高いことは言うまでもないでしょう。だからと言って、「何から手をつけていいかわからないけど、できることから始めよう」と積極的に就活をしていた人でも、就活が終わった後に失敗したと感じていることがよくあります。ここでは、「就活最大の失敗は何か」と「どうすれば就活最大の失敗を避けられるか」を、失敗を誰よりも恐れたのに失敗した私の失敗談を交えながら説明します。

■「就職活動」という表現に惑わされるな
大学卒業後の進路は「就職」だけだと思っていませんか。就活は「就職活動」の名から「就職をする」ことが目的だと考えがちですが、真の目的は「自分にとってベストな進路を獲得する」ことです。そう考えると、就活最大の失敗は「内定を取れない」ことではなく、「選択肢をつぶしきれない」ことだと言えます。

■「未来の可能性」は通り過ぎると「後悔」になる
なぜそう言い切れるのかは簡単です。選択肢をつぶしきれないと後悔するからです。
AとBのうちどちらか一方を選ぶことを迫られた際に、両方のことをよく吟味した後に選択するのと、何も吟味せずに選択するのでは、選択後に大きな影響を与えます。例えば、選択した方が良くなかった時、よく吟味し納得して選択していた場合、なぜ良くないかを前向きに考えることができます。しかし後者の場合、選ばなかった選択肢について何も吟味していないので、「もう一方の選択肢を選べば、もっと良かった、、、」という後ろ向きの気持ちになり、後悔をしてしまいがちです。
加えて、AとBの2択だと思っていたが、後になって実は選択肢にはCとDもあったという場合はどうでしょうか。これも後者同様、選択したものが良くなかった時、「なぜCとDを考えなかったのだろう」という後ろ向きの気持ちになります。
結局、「可能性」を残してしまうと、それは後に「後悔」になり得るのです。

■「我武者羅」が正義ではない
私が大学3年生の時に就活を始めた時、何から始めればいいか全くわかりませんでした。そこで、「自分の位置を知る」と「実力を上げる」を目的として、インターンシップ武者修行を敢行しました。あらゆるインターンシップに参加し、結果に一気一憂していました。そうして大学3年生の3月を迎えたときに、あることに気がつきました。それは「大手企業の選考に出遅れている」ということです。急いで大手企業の準備を始めましたが、現実はそう甘くはありませんでした。ここで私は2つの危機感を感じました。1つ目は、一所懸命取り組んでいたのに、大手企業の選考においては何も考えていなかった人と同じスタートライン立っていたという危機感。2つ目は、選択肢を洗い出しても全てを吟味する時間はないという危機感。がむしゃらに頑張れば道は拓けると思っていましたが、そうではありませんでした。

■「つぶしきる」とは「洗い出し」、「吟味する」こと
そのとき、私は一度立ち止まり、選択肢を洗い出すことにしました。すると、大手企業以外にも、教職や研究者、芸能人や国家公務員などやりたいことがたくさん出てきました。このままでは必ず後悔をすると思い、全てを吟味するためにはどうすればいいかを考えたところ、大学院進学という結論に至りました。大学院に進学することで時間的にもタイミング的にも全ての選択肢を吟味できました。この選択をしたことで今となっては、「選択肢をつぶしきれた」と今は胸を張って言えます。

■時間は作り出し、上手に使うべし!
「選択肢を洗い出して全てを吟味する」という話をすると、よく「時間が足りません」と反論されます。確かに、全ての選択肢をつぶすためには、膨大な時間が必要です。しかし、不可能ではありません。それを可能にするのは、「緻密な計画」と「上手な吟味」です。期間が限られている選択肢や、時間がかかってしまう選択肢も多いと思います。それらの選択肢をどの時期に吟味するのか緻密な計画を立て、その計画を遂行するために上手に選択肢を吟味していきましょう。
そして、そもそも時間は作るものです。大学生は人生で一番時間がある時期でもあります。自分の人生のネクストステップを決める重要な分岐点なので、時間を作り出して計画的に取り組むことをお勧めします。

■就活最大の失敗を避けるためにすべきことは、「洗い出し」と「吟味」
ここまで読んでいただいた人ならば、就活最大の失敗を避けるためにすべきことは「選択肢をつぶしきる」であることはわかってもらえたと思います。そして、「つぶしきる」ためには「洗い出し」と「吟味する」が必要です。以下、選択肢の洗い出し方と選択肢の吟味の仕方について説明していきます。

■一番の敵は自分のバイアス
まずは、選択肢の洗い出し方を説明します。「洗い出し」には2つのステップあります。1つ目は「『理想』ベースで考える」です。まずは、何でも好きなことをしていいよと言われたときに何をしたいかを考えます。この時注意して欲しいことは、バイアスをかけないことです。本当は心の奥底では起業家に魅力を感じているのに、「起業家なんて自分には無理だ」と思い込んで選択肢に加えないということはやめてください。無理かどうかは吟味してから判断しましょう。今は洗い出すことが最優先です。このバイアスは自分が思っている以上に強く作用します。バイアスをかけないことを強く意識して行いましょう。バイアスをかけずに物事を考えることは社会人になってからも重要なので、ここで練習しておくのも良いでしょう。
当時、私が洗い出した選択肢は、以下です。
 ▷研究者(大学院進学)
 ▷教職
 ▷芸能人
 ▷旅人
 ▷国家公務員
 ▷一般企業就職
やはり、生まれてきたからには一度は芸能人になってみたいと感じ、選択肢に入れてみました。今の時代であれば、Youtuberなども選択肢に入ってくる人が多いのではないでしょうか。

■カテゴライズが明暗を分ける
2つ目のステップは「大カテゴリーと小カテゴリーに分ける」です。1つ目のステップで出てきた選択肢を見てください。以下の図のように各選択肢のレイヤーがバラバラではないでしょうか。 

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例えば、「IT起業家」。起業家にも色々な起業家がいます。IT起業家はYoutuberでいうところの料理系Youtuberと同じレイヤーです。ここでは、起業家の中にIT起業家が内包されます。したがって、大カテゴリーとして「Youtuber」と「起業家」があり、「起業家」の一つの選択肢として「IT起業家」があるのです。「企業A」も同様です。ここでは「一般企業就職」という大カテゴリーの中に「企業A」がある状態が正解です。わかりにくい人は、以下の図を参考にしてください。

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■最初に吟味すべきは大カテゴリー
続いて、大カテゴリーの吟味の仕方について説明します。大カテゴリーの吟味には3つのステップがあります。1つ目は「カレンダーに落とし込む」です。期限が決まっている選択肢や長い時間準備が必要な選択肢は、取り組む時期を間違えると命取りです。先程、私が話した大学3年生の時の失敗は、このステップを行なっていなかったことが原因と言っても過言ではありません。カレンダーに落とし込みことで、吟味すべき時期を見落とし、目の前に見えていることだけに一所懸命に取り組んでしまうというミスを防ぐことができます。以下の図のように、期間が決まっている選択肢、時間がかかる選択肢からカレンダーに落と込んでみてください。その際に、部活の最後の大会や卒業旅行など、洗い出した選択肢ではないけれどもどうしても外せない予定も同時に落とし込んでおくといいでしょう。 

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上記が終わった後に、残りのいつ取り組んでもいい選択肢をカレンダーに落とし込みましょう。ここでは、例として「Youtuberに挑戦」と「起業家に挑戦」を入れてみました。

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■百妄想は一聞に如かず
「百聞は一見に如かず」という言葉があります。確かに一見する機会があれば見た方が絶対にいいです。しかし、全ての選択肢に対して一見の機会を獲得できるとも限りません。なので、まずは一聞を目指しましょう。2つ目のステップは「よく知っている人に話を聞く」です。話を聞いてみて興味が湧けば、続いて説明する3つ目のステップの「やってみる」を行えばいいと思います。大事なのは、強烈に興味があることに気がつかずに全く触れることもなく他の選択肢を選んでしまうことを避けることです。
加えて、ステップとして記載はしませんが、ハウツー本を読んだり、Youtubeなどで詳しく説明している動画を見たりすることもかなり効果的です。まずはこの辺りから始めてみるのもいいでしょう。

■Do!Do!Do!
3つ目のステップは、「やってみる」です。先程がむしゃらにやることが正義ではないと説明しました。ここでの「やってみる」は上記でカレンダーに落とし込んだ大カテゴリーを並んでいる順番に挑戦することを指します。例えば、Youtuberであればまずは何でもいいので動画を作成し、アップしてみましょう。その選択肢がいいかどうかはカレンダーに落とし込んだ期間内に、「熱量高く続けられるか」を基準に判断することをお勧めします。嫌いなことは続きません。覚悟がなくては成功しません。熱量高く続けられることは、成功しやすいことを示す一つの指標になります。まずは何でもいいのでやってみて、それが熱量高く続けられるかを試してみてください。
ちなみに私は、芸能人に挑戦してみました。芸能人といえばオーディションだろうと思い、とりあえず応募してみました。演技試験や歌唱試験などいくつか関門はありましたが、案外思ったよりも簡単に合格し事務所に所属することができました。しかし、高価なレッスンなどを受講することを強く勧められ、芸能ビジネスを垣間見ました。その瞬間に、自分の中で何か冷めた気がしてその選択肢は選ばないことにしました。

■小カテゴリーの吟味は興味で労力量を決定する
大カテゴリーを吟味した結果として、何となく向いているかもしれないと感じた大カテゴリーがある場合は、そのカテゴリーを細分化した小カテゴリーを吟味してみましょう。小カテゴリーの吟味には1つしかステップがありません。それは「興味が高い順に並べる」です。複数ある小カテゴリーを興味が高い順に並べ、その上位により多くの労力をかけて取り組んでみましょう。取り組んでいる最中に他の小カテゴリーの選択肢への興味が上がってきた場合は、順番を再度付け直しても構いません。ここで注意してほしいことは、上記の順番はかける労力量を決めるものであって、取り組む順番ではないということ。簡単に取り組めるものはいいタイミングで取り組んでみましょう。
わかりづらいかもしれないので、私の一般企業就職の選択肢の話を例示したいと思います。選択肢として出てきた企業を興味がある順番に並べ、その上から順番に取り組む労力量を規定しました。下図を参照してください。

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少しテクニック論になってしまいますが、興味のない下位の企業は合同企業説明会などでサクッと吟味しました。個人的には合同企業説明会は、本命企業よりも興味のない企業を中心に回る方が賢いと思っています。数時間で下位の選択肢を一気に吟味することができます。加えて、私の興味のない企業は他の人も興味がない場合が多く、空いていることが多かったので、詳しく話を聞くことができました。しかし、思った以上にその中でも面白いと感じる企業は多かったと思います。その場合、その企業は上位に回して、再度吟味しました。
中位の企業は1dayインターンなどに参加してより深く知る努力をしました。1dayであれば参加するハードルは気持ち的にも難易度的にも高くないのでお勧めです。
上位の企業に関しては言うまでもないと思うので、割愛します。(後ほど別章立てで詳しく説明していきます。)

■「転職」を逃げ道にするな
最後に、社会人の視点から一つ助言をしたいと思います。「行きたい企業には後から転職すればいい」という考えは捨てましょう。そんなに甘くありません。そもそもあなたが行きたい企業は人気企業ではないですか。その企業に入ることのできる可能性は間違いなく新卒の時期が一番高いです。転職となると現業に対する実力が求められます。新卒の場合、ライバルはレベルとしては大差のない学生ですが、転職の場合、ライバルは専門性を持つ全てのプレイヤーになります。専門性のつかないうちは全く歯が立たない可能性が高いです。個人的に転職に対してはポジティブで、いつかは転職することもあると思っていますが、最初から逃げ道として考えないで欲しいということを強く言っておきます。

■悩みは尽きない。ただ、正しく悩め
ただでさえ、新しい進路には悩みがつきものです。加えて、大学までは勉学という1つの共通指標で評価されますが、大学卒業後は人生の評価軸がそれぞれ異なるので一度は悩む可能性が高いです。(少なくとも私はこの悩みに直面しました。)そんな時期に、過去の選択肢をつぶしきれなかったことに後悔して、「ああすればよかった、、、」と後ろ向きに悩みむのではなく、「どうすれば好転するか」と正しく悩むことができるように、ここに書いたことを実践することを強くお勧めします。騙されたと思って実践してみてください。

■各ステップ一覧
つらつらと書いてわかりづらい、実践しづらいと思うので、各ステップを一覧にしました。見直す際や実践する際は下記を参照してください。
 ▷選択肢をつぶす
  ○選択肢を洗い出す
   1. 『理想』ベースで考える
   2. 大カテゴリーと小カテゴリーに分ける
  ○選択肢を吟味する
   1. 大カテゴリーを吟味する
    i. カレンダーに落とし込む
    ii. よく知っている人に話を聞く
    iii. やってみる
   2. 小カテゴリーを吟味する
    i. 興味が高い順に並べる

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