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せかいがまじわるとき〜子猿と蝶〜


森のなかで暮らしていたころ、近くにお気に入りの神社がありました。

森と一体化したようなその神社は ほとんど人もおらず、すれ違うのは野生のお猿やリスたち。幸運な日にはカモシカたちとも出逢えました。


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枝が折れそうなくらい はしゃぐ子猿たち、、、笑



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ほんとに美人、、🥺! カモシカさん♡


ある夏の終わり、わたしはお休みの日に 本を持ってこの神社に向かいました。道中にあるクルミの木から、クルミの葉っぱを1枚、ポッケにそっとしのばせます。 しばらくポッケに入れておくと、なんともいえないとてもいい匂いがするのです。

神社の敷地に入ると、まずは大杉さんと近くのおおきな朴の木をたっぷり愛で、りすたちが上手に割ったクルミの殻をひろいながら うっそうとした 奥のけもの道を自由きままに すすみます。

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たっぷり散策を たのしんだあと、ひらけた場所へ向かい わたしはそこに腰をおろしました。神社は山の中腹にあるので、その場所に立つと、普段自分が標高の高い場所に住んでいることがとてもよくわかりました。

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しばらく空とその下にひろがる ちいさな町並みを愉しみます。

そしてポッケにしのばせたクルミの葉っぱをひっぱりだし、その何とも言えない あまくてすてきな香りをたっぷり堪能し、それから本をひらき 読み始めました。

すっかり本のなかの世界に浸ったころ、、、

突然、ケモノのにおいが鼻をつきました。

お猿のにおい!


はっと顔をあげると、周りにはすでにたくさんのお猿たち。

いつの間に、、、、笑


寝転んだり、日光浴したり、毛づくろいし合ったり、葉っぱを食べたり、、、わたしが本に夢中になっている間に、お猿たちの群れに取り囲まれていたようでした。

いつもの散歩でお猿の群れとはよくすれ違うので、まぁいっか、とまた本に目をもどすと、しばらくして、タタタとちいさな影がすぐ近くを走り去りました。

目をあげると、まだとてもちいさな子猿たち3匹くらいが押し合いへし合いしながら、好奇心いっぱいの目でこちらを見ていました。そしてそのうちの1匹がまた意を決したように、わたしのそばまで走りより、ちらっとわたしを見上げ、そしてまた走り去っていく。

子猿さん、、、いっしょに遊びたいの?!


子猿たちはそうやって、何度も何度も真横までやってきては 走り去っていきます。おとなの猿たちが警戒するといけないので、わたしは手をのばさなかったのですが、その姿がほんとうに可愛くて。わたしはすっかり本のことを忘れて、触れたいけれど触れられない、その子猿たちを見つめました。

あぁこんなにちかくにいるのに......。
きみたちのせかいと わたしたちのせかい これを隔てているものはなんだろう......
きみたちのせかいと まじわりたいよ、まじわりたい......。


猫が頭をぶつけて すりよせてくるように
子ヤギが 甘噛みしてくるように
動物だって きっと ひとに あまえたい
ひとと あそびたい。

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かなり甘えん坊だった市民農園の子ヤギちゃん😊 普段は食べものが目当てで寄ってくることが多いのですが、食べものじゃなくて撫でてもらいたくて寄ってくることもあります🥺 


今年の夏のある日のこと。

畑にあそびにきた キアゲハたちの
その うつくしさに 見惚れていたら
左側から そそがれる つよい視線
黄花コスモスのうえ
ヒメアカタテハ(蝶)が その瞳を きらきらさせて
こちらを みつめていました

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(じゆうな木)「ひめちゃん.....🥺  あそびたいの??」


ゆっくりと そのコスモスに 手を伸ばすと
ヒメは とことこ あるいてきて、、、

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それから くるりと うしろをむいて
顔はこちらに むけたまま
おしりから じりじりじりと
にじりより

パタリ

羽を たおして 手のひらのうえへ
そのまま 羽を こすりつけるように
手のひらのうえで 軽くとびながら
あそぶヒメ

そして しずかに
ふわりと 舞い上がり
畑を ぐるっと 1周して
ちかくの コスモスに
そっと とまる

くりかえされる その仕草と
きらきらした その瞳が 
涙がでるほど 愛らしくて

蝶がこんな風に 手のうえで あまえるなんてことは はじめて。

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あぁきっと 蝶だって あまえたい あそびたい

あの日の神社の 子猿たちのことが 思い出されます。

害虫 害獣 害 害 害、、、
いつから 動物も虫も わたしたちの敵になってしまったのでしょう。

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最初に見惚れていたキアゲハちゃん



いつか わたしたちのせかいは

完全に 調和して 

まじわるでしょうか

わたしたちが 真の意味で「進化」した その先で

きみたち みんな だきしめたいよ



そんな願いに似た祈りが とめどなく 湧いて

ほんのひととき このとても ちいさな空間で

蝶たちのせかいと まじりあいながら

あまえるヒメを みつめました。


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(じゆうな木)「ヒメちゃん、、、かわいい☺️♡」
(ヒメ)「♡」



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(じゆうな木)「子猿さん、いつかあそぼうね♡」
(子猿)「♡」