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夏の花火と真紅の湖

おしげもなく そのかがやきを
天にむけて はばたかせる
そんな花も すてきだけれど

そっと 葉っぱのかげに ひそみ
うつむき 咲くのが わたの花

みりょくてきな その うなじを
葉っぱのいろに とけこませ
やわらかな 花びら
くるり はらり
おとなしい その色は
しずかな 音色で ゆらめくよ

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その たたずまいは 
繊細さのなかに つよさがあって
そんな きみの 顔を みたくて
そっと お花に 手をそえて
きみの 顔を みつめる瞬間

深い 真紅(しんく)の 湖のうえ
つやつや めしべは たちあがり
ぽんと うちあがる おしべの花火


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ふうわり そよそよ
ほんの すこし はずかしそうに
花びらを きらめかせ
わたの花は その顔を ほころばせる

受粉を おえた 花びらは
ほほを ほんのり 染めながら
ゆっくり ひろがる やさしい ももいろ

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ぷっくり ふくらむ わたの実のなか
ふわふわの 綿雲
もくもく もくもく
うまれていく そだっていく 

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わたの花は きょうも かくれんぼ
葉っぱのかげに そっとひそみ
あなたに みつけられるのを
しずかに そっと まっている。


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