久々の投稿です 【ショートショート】
「クラークさんの小説本当に面白いです。いつも勇気を貰っています。これからも頑張ってください!!!」
小説を投稿して、初めてもらった応援のコメントだった。
それからも、小説に対しての嬉しいコメントは何個か貰ったが、山田大志にとってこのコメントは特別だった。
ありふれているこのコメントが特別なのは、初めての応援メッセージだったというのもある。
それよりも、Mikiさんから貰うメッセージは真実味があった。
投稿すると真っ先にMikiさんは読んでくれて、必ずハートマークのボタンを押してくれる。さらに、SNSで自ら宣伝もしてくれた。
1年ぐらい小説を投稿していたが、初めからずっと応援してくれた。それは小説を投稿する理由にすらなっていた。
だからMikiさんからのこのコメントはすごい大事なものだった。
だが、就活が始まり、上手くいかず、精神科に通うことになる。うつ状態と診断され引きこもる日々。
やっとのことで抜け出して、したい仕事ではない、仕事を手にした時にはもう小説のことなんか忘れていた。
もう、小説を投稿しなくなってから1年経つ。
山田大志は久々に書いた小説を投稿するボタンがなかなか押せずにいた。
なんだか、裏切ったような気がして、もしかしたら攻撃されるんじゃないかと思っていた。
1年もの間、放ったらかしにして、なんだか自分勝手だと思った。
深呼吸を長い時間かけてした後に、何度も押すか押すまいか悩んで、やっとのことで意を決したら、投稿のボタンに全体重をかけていた。
ピュッと音がして、ドキリとして、我に返ると投稿されたという画面が表示されただけだった。
ピコっと通知が来る。
もう来たのかと驚いて、見るとただの広告だった。
なぜだか、安心している。
スマホをソファに投げて、心を落ち着かせるためにトイレに行こうとした。
ポッともう一度通知が来た。
ハートマークのボタンが押された時の音だった。
Mikiと名前が表示されていた。
なんだか、「おかえりなさい」と言われたような気がした。