ボイストレーナー(または志望)向けのボイストレーニング
歌はそこそこ歌えるけど発声の技術はザル(失礼ながら)、そんな後輩がある日突然、「ボイストレーナーになったんすよぉ!」と。
本音は、
ボイストレーナーの仕事、ナメんなよ!
と。
ここではあえて言葉を選ばず書きますが、雇う方も雇う方です。
何を教えていいのかも分かっていない、そもそも自分がデモを聞かせられない、その状態で働く、雇う、ということは、「生徒さんが上手くなろうがならなかろうが、金取れたらいい」というビジネスをやっているということ。
再度、
ナメんなよ!
と。
生徒さんがどんな思いでお金も時間もかけてトレーナーを頼っているのか、その後の生徒さんの声のコンディション、生涯健康的な声を保つことがどれほど重要なことか、そんなことはどうでもいいのでしょう。
これをご覧の方は「いや、そこまで酷くないっしょ?」とお思いかも分かりませんが、そこまで酷いから簡単に何のスキルも知識もない後輩が「ボイストレーナーになったんすよ」と軽々しく言ってくるのです。
膨大な広告費をかけてスクールを大きく見せる、そうすると生徒さんは、「こんなに立派なスクールで上達しないのは自分に才能がないんだ」と思ってくれる、そんなイカサマボイストレーニング、イカサマトレーナーがこれ以上増えて欲しくない、という思いから、「ボイストレーナー養成コース」というものを用意させていただいております。
今回の記事では、ボイストレーナーの方、ボイストレーナーになりたい方に、「ボイストレーナー養成コース」の内容をご紹介したいと思います。
実技レッスン
名選手名コーチにあらず、は逃げです
教えるスキルと自分ができるスキルは全く違います。自分ができるからと言って誰かに教えられる訳ではありません。
例えば書道であれば、健常者であれば指は5本、各指の長さの比率もだいたい近いものです。
なので、自分の筆の持ち方を相手に教えることはできるかも分かりません。
ですが、ボイストレーニングでは、自分が出来ていることは体の中(喉の中)で起こっていることです。「こんな風に」と見せることはできません。
なので教えるスキル、というものを学ぶ必要性が出てきます。
が、この「名選手名コーチにあらず」論を振りかざして、自分ができてもいないのに他人に教えようとする人がかなり多くいます。
ハッキリ言います、「名選手名コーチにあらず」は、逃げです。
例えば生徒さんの口の開け方が正しくない時に、「そうじゃなくて、こう」、あるいは、「こうするだけでこのトーンがこんな風に変化するんだよ」など、実際にデモを聞かせる必要があります。
でないと、「僕はできないけど〇〇のような声らしいよ」と教えるのですか?生徒さんは実際に耳にしたこともない音色を、想像で習得しなければいけないのですか?
もちろん、僕にもできないことはあります(限りなくニッチな需要で、それができなくても世の中の大抵の曲は歌える、というスキルなので、あまり「〇〇を教えてください」とも言われないし、もし言われても「それは僕は教えられないから、その専門のトレーナーを探して」と正直に言います)。
しかし、最低限、「今こうなっている(生徒さんの発声を真似するスキル)から、もっとこうして(それをどこに導けばいいのか聞かせるスキル)いこうね」というデモは必要です。
名選手だからといって名コーチになれるとは限りませんが、ボイストレーナーは少なくとも自分ができることが大前提中の大前提です。
ここを勘違いしないでおいてください。
あくまでも僕のボイストレーニング論に沿って
世の中には様々なボイストレーニングメソッドがあります。
そしてそのどれもが素晴らしいものです。
いまだにフースラーメソッドは僕も重宝しています。
ただ、ボイストレーナー養成コースでは、あくまでも僕の長いボイストレーナー人生の中で培ってきたもの、感じてきたものから、「最低限こういう技術が必要だ」というものを学んでいただきます。
実際にボイストレーナーとしてある程度のキャリアを積まれた方でも、僕のメソッドをやっていただくとかなり最初は苦労される方が多いです。
ですので、これからトレーナーになりたい、という方でも、キャリアのあるトレーナーの方でも、まずご自身のスキルアップを図るトレーニングを受けていただきます。
医学的根拠に基づいた発声理論
筋肉の働きを理解せずに指導するのは極めて危険
いまだに「地声は声帯が完全に閉じた状態、裏声は声帯に隙間が開いた状態です」なんて言う人がいます。
いや、人に教えるならググるくらいしろよ!
声帯が完全に閉じた状態は息を止めた状態です。
地声「っぽい」か裏声「っぽい」かの差は、声帯の振動率の差です。
※地声「っぽい」などの表現については他の僕の記事をお読みください
また、「仰向けに寝ると腹式呼吸になります」も多いですね。
起きていてもヒトは腹式呼吸ですから。
これだけでも、人体にはどこにどんな筋肉が付いていて、それぞれどのような作用をしているのかを理解していないと、このようにとんでもないことを言い出してしまうのです。
それが発声器官となるとさらに筋肉は複雑かつ繊細な動きをします。
正しく理解していないと、逆に筋肉を傷める発声を教えてしまう可能性もあります。
しっかりと知識を身に付けましょう。
タイプ別のエクササイズの考え方
こちらはササッとYouTubeで検索すれば、ド素人でも手に入れることができる知識です(それすらもしていない人もザラにいますが)
ハイラリンクスタイプにはこう…
プルチェストタイプにはこう…
それって血液型占いですか?
A型はこんな性格、B型はこう、みたいな。
世の中には4種類の性格しかないんですか?
という話。
実際にレッスンを行うともっと複雑にカテゴライズされます。
そしてもっと重要なのが、なぜそうなっているのかという部分。
この部分に関して触れている記事や動画をほとんど見たことがありません。
これも色々なところで言っていますが、「喉が上がっているから下げましょう」は、「コケた時手をついているのでコケても手をつかないようにしましょう」というのと同じです。
手を付かなければ顔から落ちて大けがをしますよね?
「手をつくな」ではなく、コケた原因を見つけてあげないといけません。
石ころに躓いたのであれば道を舗装しないといけませんし、足がもつれたのであれば靴のサイズが合っていないのかもしれません。
何が原因なのか、ここがボイストレーニングの本質です。
この本質的な考え方を学んでいただきます。
シミュレーション
トレーニングカリキュラムの考え方
実技、理論と学んだら、次はシミュレーションです。車の教習所で言うと「仮免」そして「路上教習」の段階です。
実際の生徒さんの声(レッスン中にお願いして録音したデータ)を聞き、どういったアプローチをしていくかを考えていただきます。
ここで重要なのが、すぐ回答するということ。
実際にこの授業では、録音データを聞いてもらって、一時停止して、「さて、ここでどんなエクササイズをしますか?」とすぐ答えてもらいます。
というのも、ここで「うーんっとー…」と考えてしまっていては、実際のレッスンで生徒さんに「ちょっと待ってね、次何をするか考えるから」と言わなければいけません。
もちろん、最初はすぐに判断できるものではありません。
実際の声を聞き、なるべく早く判断し、僕の意見と照らし合わせて引き出しを増やしていくことで、よりスムーズなレッスンを提供することができるようになっていきます。
レッスン見学
さらには僕のレッスンを見学していただきます。
実際にその瞬間に何が起こっているか、「自分ならこういうエクササイズを入れるかな…」と予想しながら生徒さんの声を聞き、実際に僕がどんなエクササイズを入れるのか答え合わせをしていきます(もちろん、僕も100%正解を導き出せるとは限りません。「よし、次これやってみよう…」「うーん、案外うまくいかんな…じゃあ次…」なんてことはザラです)
また、その場の「空気」も感じていただきます。
先述の「ハイラリンクスタイプにはこう…」も然りですが、机上の空論でレッスンをおこなってしまうトレーナーが非常に多いです。
レッスンは生ものです。発声のタイプだけではなく、生徒さんの性格も違えば目標・目的も違います。
例えば一旦クラシカルな発声を挟みたくても、「この生徒さんはB'zが歌いたくて来たからピンとこないだろうな」と、あえて取り入れないこともあったり、「ハイラリンクスだけど音色の作り方は覚えられそうだからあえてそのままいこうか…」とか、「一度に言うと混乱するから今のところこれだけのしておこう」など、その生徒さんの性格、反応、歴、進捗具合、様々なことを考慮して進めていきます。
その空気を感じていただきます。
システムについて
覚悟を持ってきてください
ボイストレーナー養成コースは、レッスン回数全32回で320,000円、一括払いとなっております。
一括払いにさせていただいている理由は一つ。
トレーナーになりたいのであれば、それなりの覚悟を持って来てください
という意味です。
僕の生徒さんで(ごくごく一般のサラリーマンです)「もっと自分の声を良くしたい!」と、月4回で5年くらい通い続けてくれている方がいます。
月4回20,000円×12か月×5年=トータル120万もボイストレーニングにつぎ込んでいらっしゃる方です。
120万も払う生徒さんに、30万も払えないトレーナーが何を教えるんですか?
そういった意味で一括のお支払いをお願いしております。
実際にボイストレーナー養成コースを受けていただいている方には「設定安すぎません?先生、儲かってます?」と言われます。
本気で一生を遂げる家なら数千万払うし、お腹に入れば一緒と食にこだわらなければ1,000円の弁当は高いでしょう。
「ボイストレーナーになりたい」という気持ちが本気であれば、上記の方のように「安すぎません?」という考えになるのだと思います。
生徒さんの声を預かる責任は計り知れない
僕はボイストレーナーという職業は、生徒さんの声を預かる仕事だと思っています。
もし明日突然声が出なくなったら?
声帯を傷めて、上手く歌えなくなったら?
あなたはその責任を取れますか?
もしあなたが明日、突然声を失ったら、その先どんな思いで人生を過ごしますか?
僕にはその気持ちを無視して「ボイストレーナーになったんすよぉ」と軽々しく言えません。
だからこそ今も勉強するし、自分の喉で色々試して研究するし、師匠から自分のトレーニングを受けたりします。
そして何より、生徒さんに偉そうなことを言う以上、誰よりも練習します。
それが僕の覚悟です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジウコトモニタ
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