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「優勝」するチームのつくりかた

こんにちは。noteでプロダクトマネージャー(PdM)をしているじつぞんです。最近miroで笹をつくりました
以前、目標設定についてこんな記事を書きました。

この記事のなかで「実践編」としてさらっと触れている「目標設定とチームビルディング」を同時にするやりかたと、その過程で重視していることについて1つの記事にまとめます。「PMとして大切にしていること」としてもどなたかに伝われば嬉しいです。

「優勝」ってなに?

優勝とは、勝利を超えた大勝利です。あるいは勝利の先にある理想状態です。ゴール、ミッション、OKRでいうObjectiveといった社会人用語をわかりやすいことばにしたものです。プロダクトの成長においては数倍の連続的な成長ではなく、10倍以上の飛躍的な成長を生むものです。

「バーン」と呼ぶときもあった(サービスにおける2つの成長〜「モメンタム」と「バーン」〜

自分の感性の話で申し訳ないのですが、OKRを決めるとき、「Objective」と聞いてあまりイメージができずテンションが上がらなかったのです。ぼんやり違和感と共に過ごしていたあるとき「Objective…?それってつまり優勝ってコト⁉」と思い至りました。「優勝」という単語なら今まで散々浴びてきたので、イメージがふつふつと湧いてきます。未知の大きな高揚、主観的にも客観的にも文句なしに素晴らしい状態、一筋縄ではいかない困難。「優勝したいです!」「優勝しませんか?」ということばだけで多くの人の意志がまとまる気がしました。先人が築いたフレームの名前は格好いいですが、ときには適切に翻訳をして本質を捉えやすくする必要があると思っています。「優勝」はまさにその訳語でした。

「優勝」を決める

チームの大きな目標が「優勝」である、と上で書きました。ではどのようにして「優勝」あるいは「優勝している状態」を定義(設定)すればいいのでしょうか。ここから具体的な話をしていきます。
次の流れで目標設定とチームビルディングを同時に進めます。すべての作業はチーム全員でおこなわれます。自分たちの目標を決めること、それが最初で最大のチームビルディングの機会です。

1. チームみんなで目標についての情報を揃える

目標というのは全くの無から考えるわけではないのは、みなさんご承知のことでしょう。会社のミッション、経営目標、ロードマップ、市場環境、組織構成、チームメンバーの得意領域などなど、たくさんの前提情報があります。チーム内で情報の偏りがないように、各々が持っている情報を開示します。

初手は好きなおにぎりの具を開示します(社内のチーム向け資料より)

ちなみに厳密かつ論理的に目標管理されている会社の場合は自動的に目標が決まるので、自分たちで優勝を決める余地が無いこともあります(それは悪いことではありません)。今回は弊社のように、制限はあるがチームがパフォーマンスを最大限に発揮するために自律的な目標設定が認められている組織を想定しています。

2. 考えること、感じることを発散する

混沌とした情報の束からは何を思ったでしょうか。些細なことでもいいので、ワーッと付箋にしてすべて吐き出します。双子のように共通することもあれば、異邦人に出会うこともあるでしょう。それらの多様さすべてが僕たちのベクトルづくりに役立ちます。
僕のチームではここからすべてオンラインホワイトボードツールのMiroやGoogle Meetで進めています。

3. チームの状態目標を対話によって導く

発散した情報から、自分たちが納得できる状態をことばで表すことに挑戦します。発散したことから調べればわかることは調べて、わからなそうだけど大事なものは分解して整理します。そしてそれぞれが納得できるまで対話(より深く理解するための議論)を繰り返します。ただ、ゴールのイメージが誰も描けていないと、何もまとまらないまま険悪に終わることがあるでしょう。そのためには1つの「目標」が必要です。弊社では機能の開発などで「ステートメントシート」というものを用いており、チームのステートメントシートを完成させることを目標とします。

何にでも使える万能シート

鋭いかたは気づいているかもしれません。いまおこなっている「チーム目標を決めるために協働する」仕事が、目標が決まった先につづく「目標を達成するために協働する」仕事たちのリハーサルになっています。入れ子状の関係、プロトタイピングと言ってもよいでしょう。

ステートメントシートだとまだ長いのでもっと短くする

上のチームステートメントを納得して決めたら目標設定はほぼ終わったようなものです。ここからは優勝するために必要な勝利とは?というものを挙げて計画にしていくのみです。チームに名前をつけることについてのこだわりは後述したいと思います。
ここから先は、マネージャーなどの評価者や関連する別のチームとすり合わせ、行動目標(具体的なアクションとスケジュールなど)、ふりかえりなど進め方のルールを決めることになります。

この目標設定とチームビルディングを同時にするやりかたについて、こだわりポイントが2つあるので抜粋して書いていきます。

「納得」はすべてに優先する

プロダクト開発では、この仮説でいこう、この論理を採用しよう、などという連続的で多層的な決断をする必要があります。その中で何が優先されるのか、それは単に論理的な強固さだけで決めるべきではありません。むしろ、ときにそれはチームでの協働を妨げます。最も大切にすべきは「納得」です。チームメンバーの全員が納得できている状態を目指します。実際パフォーマンスに直結するのは細かい手法ではなく、モチベーションという内発的動機づけです。A地点からB地点に行こうかというときに、車か電車かが大事なのではなく、道路の混雑などを見極めながら最適な手段を選択することが大事、もっと言えばより安全により早く着くことが大事なのです。それを実現するのは、何が適切かを考えて議論できる環境です。目的地に行こうとする意志です。「納得」を形成する過程で、チームは(仮に合意の精度が微妙だとしても)ある程度合理的である程度感情的な合意を手に入れます。また、その納得形成には個々の意見が反映されるという安心感(心理的安全性)の醸成を含みます。多様性を尊重しながら一体となる、ということです。単なる人の集合であるグループではなく、目的を共有するチームというだけでもなく、協働する機能的なチームがここで生まれます。

多様性が創造的な問題解決に良い影響をもたらすという研究は以下が面白かったです。「一貫した評価」をどう保つよう組織をデザインするかなど新たに考えることも浮かび上がってきました。

『創造的問題解決における多様性と評価』(鈴木宏昭 2003)

問題解決初期には、一定以上多様なアイディア、試行を行うことが創造的な解の発見につながることを指摘した。また多様性が単なるでたらめにならないためには、評価が重要であること、そして適切な評価はゴールをより明確にし、マッチをとりやすくすることによって可能になることを指摘した。

同上の論文より

チームの名前をつける

僕がこだわっていることがもう1つあります。それはチームの名前を自分たちで考えることです。われわれは目的があってここにいるはずだ、それを内外に知らしめるための名前が必要だ、ということです。また名前はチームの意味を規定することがありえます。ことばは額縁のようなものです。その意味の規定を利用して、一体感をより高めるチームにしてしまおうというのです。僕たちが「開発三課」なのか「note安心利用チーム」なのかで表すものが異なってきます(前者も無頼な感じでかっこいいけど)。あなたは「良子」であり「翔太」であり「ZYF19203192」ではありません。僕たちが僕たちらしくあるために、名付けることが許されるなら利用しない手はありません。文字の形や響きでも印象が変わってくるのでこだわるとキリがないですが。。

2つの図形、どっちが「ブーバ」でどっちが「キキ」だと思いますか?(『ブーバ/キキ効果 - Wikipedia』

おわりに

一足飛びに優勝はできません。適切なステップを経て勝利を積み重ねることが優勝を可能にし、連続優勝すら可能にします。僕たちは毎回優勝したいのです。一生連覇したいのです。そのために、学びを得ながら、多様な議論を受け入れながら常に進化していく。その「学び」をつねに明確にして、明日の練習や試合に臨むことに気を張っています。たとえばABテストでも「登録ボタンの色を変える」というだけでは学びが少ないです。「サービス上の肯定的な色と心理学的に肯定的とされている色で比較する」のほうがまだ良いでしょう。優勝につながる科学的な積み上げとチームの自信の積み上げを通じたその道の先に優勝があります。

以上、僕が「優勝」するチームをつくるためにやっていること、こだわっていることでした。

noteでは一緒に優勝する仲間を探しています。ご興味あればお話からでもご連絡ください。

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じつぞん
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