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息子の学費150万円のために頑張るバツイチシングルマザー「若い男優さんと3回もエッチをしてしまいました。楽しいし、もっと出演したいと思った」【中村淳彦『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』より】
日々の生活費を捻出するために始めた水商売のアルバイト。それでも足りない現実を乗り越えるため、母が選んだ道はーー。
中村淳彦著『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』より一部抜粋して公開します。
お母さん頑張るから
真面目なお母さんが経済的事情をキッカケに裸の世界にハマる、という似たようなケースをもう一人挙げておこう。
吉田春奈(仮名)さんは、47歳。前章で登場した熟女AVプロダクション経営者を取材中、AV初出演したギャラを事務所に取りに来た女性である。1月前に応募して面接、3日前に初出演したという。「時間、ありますよ」というので、そのまま話を聞かせてもらった。
吉田さんは明るく品のある女性だ。高校の父母会のまあまあ美人なお母さんといったイメージで、見た目から普通の人である。13年前、34歳のときに子供を抱えて離婚、小さなIT企業に正規雇用されて事務員として働く。23歳の長女は今年結婚して、18歳の長男は現在高校3年生。長男は公立の進学校に通っていて、私立大学の進学を希望しているという。
離婚後は元旦那からの毎月10万円の養育費と、月給20万円の給与でなんとか2人の子供を養いながら生活していた。離婚から10年間、養育費は順調に支払われたが、3年前から振込みが滞るようになる。育ち盛りの2人の子供を抱えて月給20万円ではどうしても足りず、家計に赤字になるようになった。工夫して食費や光熱費を削っても赤字は変わらず、養育費が滞るようになって3ヶ月目、初めて消費者金融から10万円の借金をしている。吉田さんにとって、生まれて初めての借金だった。
「どうしても生活費が足りなくて、消費者金融で借金したとき、これではいけないってスナックでアルバイトを始めた。水商売も生まれて初めてでした。仕事が終わった後に働けるのと、時給が高めだったので飛びつきました。時給は1700円ですね。火木土の週3回、20時〜0時まで。時間に追われるダブルワークはツラかったけど、スナックでなんとか月9万円くらい稼げるようになって、家計は元の状態に戻りました。私、3姉妹の堅い家で育っているので水商売とか考えられなかったけど、生活のためにはそれしか手段がなかった。スナックはそれなりに楽しかったですね。もっと早くにやっておけばよかったと思いましたよ」
美人でバツイチの吉田さんは50代、60代の男性客に大人気だった。男性客から毎日褒められて、たまに口説かれて心が躍った。体力的には厳しいと思うこともあったが、スナックのアルバイトに行くのは楽しみだった。
「旦那のことはすごく好きでした。離婚原因は浮気されたからです。私はどうしても離婚したくなかったけど、向こうは『別れてほしい!』の一点張りで聞かなかった。私の方は13年間の結婚生活で、浮気とかは考えたこともなくて、好きな旦那と子供に囲まれる専業主婦で充実していました。離婚したとき子供は小学生と幼稚園だったから、なんとか育てるって必死で彼氏とか再婚とか考える余裕はなかった。だからスナックで働いて久しぶりにいろんな男性と接して、気分が盛り上がったというか、学生時代からそういう経験がなかったから目覚めちゃったというか」
長男が「私立大学に進学したい」と言いだした。誰もが知る有名大学である。第一志望の大学のパンフレットに書かれた初年度納入金は150万円を超えていた。
「息子はシングル家庭で家計が厳しいことは知っていて、なんか申し訳なさそうに言ってきた。150万円なんてどうしようって心の中は途方に暮れていたけど、そのときに『お母さんも頑張るから、あなたも勉強頑張りなさい』って約束しちゃったんですよ」
長男と「お母さんも頑張る」と約束したのは、3ヶ月前。
スナックとのダブルワークだけでは、1年後150万円を用意するのは無理だった。トリプルワークをする必要がある。スナック勤務経験で、これまで関係ない世界と思っていた夜の仕事に抵抗がなくなっていた。駅前にあった高収入求人誌を眺めて、年齢制限のない熟女デリヘルとAV女優と迷ってAVプロダクションに応募している。
応募したのは1月前、増田氏が経営する熟女専門プロダクションだった。身元がちゃんとして女性としての品のある吉田さんは採用になり、とんとん拍子に話が進み、1週間前に熟女AVに出演した。
「撮影は緊張したけど、若い男優さんと3回もエッチをしてしまいました。まだドキドキしています。ただ元旦那とか、長男とか長女にバレたらまずい。会社とかスナックのお客さんにもバレたらまずいし、心配だらけです。だけど、なにか楽しいし、もっと出演したいと思った。長男の進学費用もあるし、いろいろ悩んでいる最中です」
堅い家で育ち、離婚までなに一つ問題がなかった真面目な女性が、47歳でカメラの前でSEXを披露するAV女優になってしまった。3回セックスして手にしたギャラは8万円だった。
<著者プロフィール>
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。無名AV女優インタビュー『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』、『悪魔の傾聴』などヒット作多数。花房観音との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)が絶賛発売中。Voicy「名前のない女たちの話」ほぼ毎日放送中。ニコニコチャンネルプラス「中村淳彦の40歳からの婚活ちゃんねる」配信中。
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