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【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】新潟県胎内市の『童女石』

亡くなった少女の霊が石に……


かつて大きな水害に襲われた
青銅製としては高さ日本一の観音様

 新潟県胎内市にある胎内観音に“不思議な石”が祀られている。『童女石』と呼ばれるこの石の表面には、うっすらと童女の顔のようなものが浮かび上がっている。顔の大きさは3×4センチあまり。

 胎内観音に伝わる逸話によると、昭和42年に羽越大水害があり、この近辺でも多数の犠牲者が出た。

 『童女石』は、新潟市に住む男性がその2年後の昭和46年に胎内観音の境内で拾ったもので、家に持って帰って土を落とすと童女の顔のようなものが浮かび上がったという。

お堂に大事に祀られている童女石

 その後、この男性の元に災いが降りかかるようになり、「この石のせいだ」と思った男性は、石を返しに来た。長年胎内観音で案内役をやっている伝ミイ子さんは話す。

「『童女石』には、ハッキリと童女の顔が浮かび上がっています。大水害で亡くなった5人の女の子の霊が乗り移っていますね。その男性は、身内が交通事故や病気にあったりしたので、『石のせいではないか…』と思って持って来られました。一番大きい顔の女の子が誰なのか分かっています。黒川村の人が見て判明しました。お坊さんに供養してもらったので成仏されています」

手前の白い部分が少女に見える

 現在、『童女石』は胎内観音のお堂に祀られている。観光バスやマイカーでやって来る観光客は、うっすらと浮かび上がった童女の顔を見ると「あら、本当だわー」、「ちょっと怖いわね~」などといった声を上げている。

 しかし、胎内観音にある不思議な石は、これだけではない。醫王伝には、人の顔が浮かんでいる石がいくつも集められているのだ。

「醫王伝に祀られている石は、黒川村の人たちが持って来たものです。新潟県から持って来られた方もいます。『童女石』が知られるようになってから持ち込まれるようになりました。こちらもお坊さんがご供養しているんですよ」(伝ミイ子さん)

 この秋、新潟県に行くことがあったら胎内観音に寄ってみよう。背筋が『ゾクゾク…』っとするような快楽を味わえるかも知れない。

越後胎内観音 帰林殿
電話番号:0254-47-2965

写真・文◎酒井透(サカイトオル)
 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。
 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイール(現:コンゴ民主共和国)やパリなどに滞在し、ザイールのポピュラー音楽やサプール(Sapeur)を精力的に取材。帰国後は、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)の専属カメラマンとして5年間活動。1989年に東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定第117号事件)の犯人である宮崎勤をスクープ写する。
 90年代からは、アフロビートの創始者でありアクティビストでもあったナイジェリアのミュージシャン フェラ・クティ(故人)やエッジの効いた人物、ラブドール、廃墟、奇祭、国内外のB級(珍)スポットなど、他の写真家が取り上げないものをテーマとして追い続けている。現在、プログラミング言語のPythonなどを学習中。今後、AI方面にシフトしていくものと考えられる。
 著書に「中国B級スポットおもしろ大全」(新潮社)「未来世紀軍艦島」(ミリオン出版)、「軍艦島に行く―日本最後の絶景」(笠倉出版社 )などがある。

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