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2024年夏ドラマ注目作ぶった斬り 月9は大丈夫……?日本一早い「7月期ドラマ」辛口批評【新人ライター玉越陽子の「きゅるきゅるテレビ日記」】#27
もう7月、夏ドラマの季節ですね。夏ドラマについて書こうと思うが、その前に春ドラマの所感を。
以前、『アンチヒーロー』もとい、TBSの日曜劇場が骨太ドラマをつくらなきゃいけない病『半沢シンドローム』に罹患していると書いたが、春ドラマは、考察ドラマにしなきゃいけない病が蔓延していたように思う。考察ドラマが多かったわけではないが、『ドラマは(視聴者に)考察させてなんぼ』みたいな空気ぬる~く漂っていた。
2023年のドラマ『VIVANT』の影響であることは言わずもがな。『VIVANT』をきっかけに、考察しながらドラマを見るという一つの楽しみ方が定着した。私はこれを「VIVANTの罪」と呼びたい。
考察ドラマは、伏線を張り巡らせ、最終回に向けて回収していく様が見ている側に爽快感を与えるのだが、そのためには緻密な物語設計と、説得力のある演技が必要不可欠だ。その点、長谷川博己主演の『アンチヒーロー』はまずまずだったが、木村拓哉主演の『Believe』はひどい。最終回、伏線回収のためにこれまで隠していた情報を詰め込みすぎて、本筋が薄まるという悲惨なことになっていた。小日向文世が塀の中に入る過程とか、天海祐希の最期とか、そこは描こう。役者の演技力的にも見どころシーンが作れただろうに。非常に残念である。
そもそも、『VIVANT』のようなドラマは金も力も必要なわけで、易々と作れない。だからなのか、ガワだけ拝借して、「考察ドラマ=情報小出しドラマ」というアホみたいな考えでドラマを作っている気がしてならない。はあ。げに罪深きドラマ『VIVANT』よ。
悲しきトレンドが定着した春ドラマだったが、夏ドラマはどうだろうか。21時、22台に絞って、曜日順に見ていきたい。あらすじなどは各自、公式サイトでチェックよろしくです。
■月曜 21時~ 『海のはじまり』(フジテレビ系) 7月1日~
キャスト/目黒蓮、泉谷星奈、有村架純、大竹しのぶほか
『silent』『いちばん好きな花』の脚本家・生方美久作品が満を持して月9に登場。主演も制作スタッフも『silent』の布陣で挑む今作、絶対にコケられない。なのに、主題歌がback number。前作、前々作と、主題歌で“なんかいいドラマ感”を底上げしてきた月9、大勝負ドラマ主題歌がback numberで大丈夫だろうか。Official髭男dismは、なぜ月9でなく、月10ドラマの主題歌を歌うんだ。大人の事情か。ま、視点を変えれば、主題歌で下駄を履かせられない分、ドラマそのものに集中できるともいえるのか? 歌がドラマの邪魔にならないことだけを祈りたい。
■月曜 22時~ 『マウンテンドクター』(フジテレビ系) 7月8日~
キャスト/杉野遥亮、大森南朋、岡崎紗絵、宮沢エマほか
テーマは山岳医療。前作『アンメット』に引き続く医療もの。ドラマの内容云々よりも、番宣に出演する主演・杉野遥亮に注目したい。おバカさが異次元なのだ。ドラマ『ばらかもん』の番宣時、毎回毎回、一生懸命暗記したであろう文章をたどたどしく棒読みする杉野。質問されても、とんちんかんな回答をする杉野。「大丈夫かこいつ」と心配になるレベル。さっそく『さんまのまんま』に番宣出演していたが、あの明石家さんまも杉野に戸惑っていた。笑獣を一瞬黙らせる杉野のパワー、ぜひ見てほしい。
■火曜 21時~ 『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系) 7月16日~
キャスト/飯沼愛、八木勇佂(FANTASTIC)、武田真治、木村佳乃ほか
平成ドラマ『南くんの恋人』の男女逆転バージョン。リメイク5作目にして、原作大幅改編。どうなのかねこれ。男女平等とかジェンダー問題とか、その手の何かが背景にありそう。それを「令和っぽい」とか思ってそう。私は、マンガ版のラストが好きです。
■火曜 22時~『西園寺さんは家事をしない』(TBS系) 7月9日~
キャスト/松本若菜、松村北斗、倉田瑛茉、藤井隆、野呂佳代ほか
ヤバい女や底意地悪い役を演じさせたら、期待以上に応えてくれる松本若菜。今回演じるのは、バリキャリで家事をしない独身女性。なんだか普通。これ、松本若菜じゃなきゃだめだったのかなあ。ちょっぴり残念。一方で、野呂佳代が女優キャリアを着々と積んでいるのが気になる。地味だけど、確実にポジション取ってきてるぞ。
■水曜 21時~『科捜研の女season24』(テレビ朝日系) 7月3日~
キャスト/沢口靖子、内藤剛志、小池徹平、若村麻由美ほか
「科学はウソをつかない」でおなじみの科捜研の女・榊マリコ(沢口靖子)。科学捜査よりも、マリコと土門(内藤剛志)のやりとりを微笑ましく見守るのが通の楽しみ方。青春恋愛ドラマよりもグッときたりする。私も年をとったってことか。
■水曜 22時~ 『新宿野戦病院』(フジテレビ系) 7月3日~
キャスト/小池栄子、中野大賀、橋本愛、濱田岳ほか
新宿歌舞伎町を舞台にした医療エンターテイメント。脚本は、『不適切にもほどがある』の宮藤官九郎。クドカン初の医療ドラマ。大いに期待して放送日を待ちたいではないか。
■木曜 21時~ 『スカイキャッスル』(テレビ朝日系) 7月25日~
キャスト/松下奈緒、木村文乃、比嘉愛未、高橋メアリージュン、小雪ほか
夏ドラマ個人的大注目作品。韓国ドラマ『スカイキャッスル』の日本版リメイクで、セレブ妻たちの壮絶マウンティングサスペンスドラマ。女の敵は女じゃないけれど、女同士の泥沼の争いってのは、いつの時代も女性の心に響くわけで。女性メディア中心に「スカイキャッスル旋風」が起きるんじゃないかとすら思っている。要注目は、高橋メアリージュン。直感的に一番のハマリ役&一番人気を得そうな予感。
■木曜 22時~ 『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系) 7月4日~
キャスト/松岡茉優、田中みな実、滝沢カレン、中村蒼ほか
松岡茉優は、フジテレビの深夜ドラマ『She』を見て以来、「第二の石原さとみになる」と確信し、かれこれ10年ほど応援しているのだが、イマイチパッとしない。ドラマ作品に恵まれてない気がするんだよなあ。今回のドラマ、あらすじは割愛するが、ドラマ『東京たられば娘』の警察版かと思ってしまった。なんだかなあ。頑張れ、松岡茉優。
■金曜 21時~ 『ビリオン×スクール』(フジテレビ系) 7月5日~
キャスト/山田涼介、木南晴夏、水野美紀、水沢林太郎ほか
山田涼介が演じるのは、資産も行動力も“ケタ外れ”な教師。表の顔は高校教師、裏の顔はスーパーCEO。設定モリモリ。見る前からお腹いっぱい。金持ち版『GTO』って感じ?
■金曜 22時~ 『笑うマトリョーシカ』(TBS系) 6月28日~
キャスト/水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、高岡早紀ほか
パリ五輪放送の関係か、夏ドラマはスタートが早い。先駆けて放送した『笑うマトリョーシカ』。考察ドラマっぽさはあるが、いかんせん“重さ”が足りない。玉山鉄二がいい味を出している分、もう一重さほしいところ。
■土曜 21時~ 『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系) 7月13日~
キャスト/小芝風花、大島優子、阿部亮平、吉田鋼太郎ほか
小芝風花にも、松岡茉優と似た哀しみを勝手に感じている。なのでこのドラマも、「んー、どうでしょう」と、長嶋茂雄ちっくになってしまう。ほんと、どうなんでしょう。大島優子と年の差同期バディを演じるのだが、見た目年齢にあまり差を感じないぞ。演技力でカバーできるか。頑張れ、小芝風花。
■土曜 22時~ 『マル秘の密子さん』(日本テレビ系) 7月13日~
キャスト/福原遥、松雪泰子、上杉柊平、清水尋也ほか
福原遥を見るたび、「まいんちゃん、大きくなったなあ」と親戚のおばさんのような気持ちになってしまう。子役の呪縛ってなかなか消えないもんな。公式サイトによると、出演者のファッションも見どころだそうだが、福原遥、洋服に着られている感が否めない。「そんな派手な服はやめなさいな!」と、親戚のおばちゃんだったらいってしまうぐらい違和感。福原演じる本宮密子のインスタでコーディネートを紹介していくそうなので、まあ見たってください。
■日曜 21時~ 『ブラックペアンSeason2』(TBS系) 7月7日~
キャスト/二宮和也、竹内涼真、葵わかな、小泉孝太郎ほか
前の話、忘れちゃったよと思ったけど、主演の二宮和也が演じるのは、Season1とは違う人物の模様。でも他キャストは前作と同一人物。ちょっと紛らわしい。1では復讐に燃える天才医師だったが、2では人も金も弄ぶ天才医師。やっぱり紛らわしい。前作の具体的な内容は覚えてないが、最終回、「その復讐、勘違いの逆恨みじゃん」と強く思ったことは覚えている。全話見てきただけに、拍子抜けしたラストだった記憶が。今回は、そういうことはなしでお願いしたい。ほんと、お願い。
■日曜 22時~ 『素晴らしき哉、先生』(テレビ朝日系) 8月〜
キャスト/生田絵梨花、茅島みずき、鈴木仁、橘優希
学校ドラマに惹かれない年頃になってしまったなあ。他局のドラマで恐縮だが、『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は主演に引きがあったし、生徒役にもちらほら気になる人がいた。でもこのドラマはない。どうしよう。困った。
■日曜 22時30分~『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系) 7月7日~
キャスト/成田凌、古川愛、小日向文世、萩原利久ほか
成田凌と小日向文世、それだけで俄然見たくなるドラマである。ミステリーサスペンスなところも、この先どうなるのかと毎週ワクワクできそうだ。懸念点を挙げるなら、放送時間だろう。ドラマの後半が『情熱大陸』と丸かぶり。ドラマに集中したいので、TBSにはちょっと人選を一考いただきたい。時期的に、オリンピック選手ばっかかなあ。私は五輪に興味がないので、ぜひそうしてほしい。
深夜ドラマでピックアップするなら、『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、7月8日23時6分スタート)と、『錦糸町パラダイス~渋谷から一本』(テレビ東京系、7月12日24時12分スタート)。なんと偶然にも『夫の~』の後に『錦糸町~』が放送される。
『夫の~』は、主演の松本まりかの怪演技ぶりに期待。むしろそれしかない。本人はそういうイメージ壊したいんだろうなあ、ということ考えながら見ると、さらにいろいろ楽しめそうだ。『錦糸町~』はキャストを見てもらうとわかるが、玄人受けしそうな雰囲気がある。が、玄人≠マスなので、話題になるとしても一部界隈だけになりそう。でも、「それが逆にいい」と思うのが玄人。テレ東玄人には刺さるんじゃないだろうか。
独断と偏向にまみれた夏ドラマ紹介。参考になれば幸いです。
【著者プロフィール】
玉越陽子(たまこし・ようこ)
愛知県出身。地方出版社を経て上京、雑誌・WEBメディアのフリーの編集・ライターに。起きている間は仕事中でもテレビをつけているテレビ好き。カピバラも好き
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