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じいちゃんのコロッケ
うちのじいちゃんは、昔からよく身体を鍛える人で、80を過ぎてもジムに通う強者でした。
父曰く、若い頃は体操選手のような筋肉だったそう。
「100まで生きる!」が口癖のような、そんなじいちゃんです。
時たま、おでかけついでにコロッケを買って帰ってくることがありました。
だいたい夕方の、夕飯間近の時間だったので、両親は少し困惑してはいましたが、それでもそのコロッケはホクホクで、私にはおいしく感じられたものです。
そんなじいちゃん。強情で、押し付けがましいところもありますが、苦労人なのに1代で財を成したすごい人。そんなじいちゃんも、もう米寿です。
そのじいちゃんが、最近はますます大変な状況になっています。
夜には徘徊するようになったり、同居する祖母を追いかけまわしたりするようにも。
老いるとはこういうことかと、悲しい気持ちで状況を見つめることしかできません。
「老いを憎んで人を憎まず。」
父はそう言います。じいちゃんにももちろん悪気はありません。
じいちゃん自身も、徐々に体が言うことを聞かなくなったり、自分の認識と周囲の反応の違い(幻覚も見えているようです)に戸惑ったりと、「老い」と「できていたことができなくなっていく」苦しみを感じているのでしょう。かわいそうだと思います。
昔から頑固で、他人の言うことを聞かない人。家族は、特に祖母は、これまで幾度となく振り回されてきました。
一方で、だからこそ商人として成功し、のし上がることができたとも言えます。いまの生活があるのは紛れもなくそのおかげです。
私も色々とじいちゃんに腹を立てることもありますが、
「子供叱るな来た道じゃ、老人笑うな行く道じゃ」
という言葉もあります。
孫として、家族として、できる限りのことはする。
それがある種恩返しになるのかもしれないな、と思いつつ。
個人的には、どこかの施設に入居してもらうのがいいと思います。
それくらい家族は追い詰められ、疲弊しています。
現に、祖母は危険な目にあっているし、夜の徘徊だって、1歩間違えれば...
祖父は断固として反対するでしょうが、最後は家族が決めなければならない。
そんな戦いが続いています。
老いも、認知症も、良くなることはありません。
波はあれど、調子は下降していくでしょう。
悲しいけれど。
それが人間の人生ということなんでしょうか。
老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ
老いるからこそ死ぬからこそ
たまらなく愛おしく尊いのだ
煉獄 杏寿郎(鬼滅の刃)
願わくば、あの日じいちゃんが買ってきてくれたコロッケを、また一緒に食べられたらな。
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