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Wikipedia のテンプレート「古辞書」を埋める

はじめに

みなさんはねこあつめを知っていますか? ねこあつめというのは,にぼしをつかって設備投資してねこの顧客を集める放置ゲームです。ねこは「てちょう」に記録され,あつめられていきます。ねこには個体差があり,名前,「せいかく」という2種の質的属性と,「せんとうりょく」という1種類の量的属性をもちます。古辞書というのは,ざっくり言えば辞書のパラレルワールドです(違います)。ふだんからみなさんは頭のなかに辞書の「てちょう」を作って,「せいかく」や「せんとうりょく」を比較しながらコレクションしているでしょう。古辞書にはいろいろのエキゾチックな「せいかく」があり,見たこともないような種類の量的属性があるのです。これらをわたしたちの頭のなかの「てちょう」につけていきましょう。

本題

申し遅れました。*ćilma(ちるま)です。新入会員です。気分が鬱々としていて研究がすすまず,古辞書の勉強をしてみたくなりました。

勉強には目標が必要でしょう。研究対象の隣接分野の土地勘をつけることを大きな目標としてみます。勉強は中間目標を入れ子状に設定するのも大切です。

第一の中間目標として,とりあえず Wikipedia のテンプレート「日本の古辞書」の赤リンクを青くしていきます。Wikipedia のテンプレートというのは下掲の画像のようなもので,赤リンクはページがないことを意味する赤いリンクです。ページを立項すると青くなります。

赤リンクがいくつかあった「日本の古辞書」

まず,わたしは古辞書の素人なので,基礎知識を得るべく,辞書関連の教科書を読みます。しかしアウトプットなしでインプットを続けるのは困難(たぶん不可能)なので,同時並行で立項していきます。

およそ独学というものはむずかしいものです。しばしば講義に潜ったほうがよいといわれます。潜らないにしても,シラバスは見るとよいです。地道な努力と土地勘がなければ,良質な知識を得ることはむずかしいものです。わたしには辞書学の土地勘がありません。また,古辞書を扱っている講義というのはかなり稀なようで,どこの大学のシラバスを参考にすればいいのかもわかりません。

わたしは早速詰んでいるようです。何を読めばいいんでしょうか? タイトルから感覚でえらぶとしたらこの辺を押さえればいいでしょうか。

『日本古辞書を学ぶ人のために』をざっと読んでみました。「古辞書関係研究文献目録」は記事の執筆のうえでとても便利そうです。電子データでインターネット上に公開するとありますが,すくなくとも現在ではアクセスできないようで残念です。影印は「古辞書影印刊行目録」(『日本古辞書を学ぶ人のために』)から一覧できるみたいですが,記事を書くぶんにはそこまでガチでやる必要もないでしょう。各書の解題を引用していく必要はあるでしょうけど。基礎情報を埋めるタイプの勉強大変ですね。

『図説 日本の辞書』もざっと読んでみました。重すぎます。概観・成立・内容・諸本と基礎情報を並べていく構成は読みやすいですが覚えにくいです。体系的な知識というのはこうまでも身につけがたいものかと打ちひしがれる思いがします。ぶっちゃけなにも身についた気がしない。なにも覚えられていません。「図説~」シリーズって薄いイメージがあったのですがそれは三省堂の「図解~」シリーズのことだったようです。読むのキツい。基礎情報を埋めるタイプの勉強大変ですね。

あと,図書館を彷徨っていて見つけたこれの17―19章と…

…これの6章の中盤から後半までにも目を通しておきます。

こっちのほうが軽いですね。オーバースペックくらいに概観が摑めました。岩波講座日本語とか講座国語史の辞書の巻も読むといいのかもしれませんが疲れたのでやめました。当初はこんなに読む必要なかったかもというほど読もうと思っていましたがこれではぜんぜん読めていません。やはり先生がいない分何回も復習が大事でしょうからもっと読むべきです。国語学史の本はお蔵入りになった研究のときに共同研究者と読んで以来かもしれません。もっと読むべきです。

本は読みすぎると処理落ちして頭がおかしくなるのでやめたほうがいいです。本記事執筆日(2024年11月26日)は案の定頭がおかしくなってきました。くらくらして,全身が猫になった気分です。読書酔いの勢いで記事を3本ほど立てて,ブログまで書いてしまいました(雅言集覧日本釈名倭語類解)。

つぎに工具書とか全集っぽいものへのアクセス権を確保していきます。工具書はこの辺を押さえればよいでしょうか。予約しましたが,届くまえに赤リンクがすべて埋まってしまいました。あとは日本語学系の辞典を見たいところですが,けっきょく見ないままでした。国語学辞典の昔の版とかは調べ物の端緒には便利なのですが,必要になる機会がなかった……(ΦωΦ) 今後加筆するさいに参考にしていきます。

全集は,歌学大系や神道大系みたいな単一の決定版(?)はなく,なんか細かいものがめっちゃあります。こういう全集が現れるたびに端から読んでいたら一生が終わる可能性があるので(辞書は読んでいると頭がつかれてしまいます!),とりあえず NDL デジコレからみたり,調べる過程で芋づる式に拾ったりするだけにしました。ごめんなさい。今後加筆していくよ。

この集成は端から全部読みたい……

……という欲求によって脱線せず,頑張って立項を続けました。ほんとうは途中でやめとこうかなという気持ちもあったのですが,文献が集まるにつれて楽しくなっていきました。

時系列まとめ

11月11日立項。

書いていたら Lakka さんにウィキプロジェクト:辞書の存在を教えてもらいました。基礎情報テンプレートを利用できるようです。さっそくウィキプロジェクトに賛同したことを示すために署名をしてきました。

テンプレート「基礎情報 辞書」の使用例


11月17日立項。

11月26日立項。

同日立項。デジコレの調子が悪くてうまく執筆できず。

とりあえず赤リンクはうまりました。これで「にわさき拡張」は終了です。心置きなく,好きな古辞書を気長に加筆していけることでしょう。

おわりに

比較言語学とか数学で大成するかは30歳までに決まるとか言われますが,書誌学や文献学は成長速度の遅い放置ゲーだと思います(放言!)。地道な努力が実を結ぶ分野だとわたしが信じているということです。

古辞書の記事を立項しまくっていて思ったのですが,基礎情報テンプレートには「配列」ラベルがあるといいと思います。すべての辞書が五十音順に並べられているわけではなくて,古辞書ではけっこうこの情報が重要です。あとで書き足しておきます。

みなさんも辞書あつめをがんばってやっていきましょう。道は険しいですが,ねこあつめだと思えば楽しくやっていけるかもしれませんよ,たぶん。
この記事は以上となります。

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