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放射性廃棄物の処理に関する研究発表会に参加しました

 2024年7月17日、日本放射性廃棄物処理研究会による研究報告会が開催されました。私は運営スタッフとしてこの会議に参加しました。本報告会は、原子力発電所の使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理方法に関する最新の技術と提案を共有する場です。元環境大臣の原田義昭先生とシールドトンネル技術の専門家である大塚孝義先生が登壇し、各々の専門的視点から考察を深めました。以下に、その内容を詳細に記録します。

1.原田義昭先生による挨拶と問題提起 
 
原田先生は、長年にわたりエネルギー政策に関わってきた経験から、原子力エネルギーの重要性とその管理における課題について言及しました。特に、通産省(当時)での20年間の勤務期間中、多くの時間をエネルギー問題に費やし、その経験を踏まえて原子力の役割とその課題を解説いただきました。
 福島第一原発事故以降、安全性に対する不安が原子力発電所の再稼働を阻む要因にもなっています。高レベル放射性廃棄物の最終処分の方向性が未解決であることも大きな課題となっています。長期的な管理を行える立地選定についても確定には長い時間を要します。
 昨年のCOP28(ドバイで開催された国連気候変動会議)では、2050年までに原子力発電の規模を2020年の3倍にする決議がなされました。これにより、原子力エネルギーの重要性が一層増すことが予測されます。このことも含め、増加する使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理方法の確立がますます急務となって参ります。

2.大塚孝義先生によるシールドトンネル工法の提案
 シールドトンネル技術の第一人者である大塚先生は、シールドトンネル工法を用いた新しい廃棄物処理技術について提案されました。この工法は、トンネル掘削機(TBM)を使用して掘削と同時にセグメント(プレキャストコンクリートセグメント)を組み立て、安定したトンネルを構築する技術です。シールド技術はアクアラインなどでの実績は、現在の技術の高度な進展に寄与しているようです。
 大塚先生が提案されたシールドトンネル工法では、原子力発電所の地下深部に放射性廃棄物を完全密閉して保管することがポイントとなります。掘削後にセグメントを組み立てることで高い水密性と耐久性を確保しながら、深さ300mまで掘削したトンネル内で高レベルから低レベルまでの放射性廃棄物を階層的に収納する方法です。この技術は、既存の技術の延長線上で実現可能であり、技術的な実行可能性が高い点が特長となります。
 シールドトンネル工法は、他の工法に比べて初期コストが高いかもしれませんが、長期的な安全性と信頼性を確保するための利点が大きく、特に、既存の原子力発電所用地を活用することができれば、新たな立地問題を回避し、経済的な効果も見込めます。また、シールドトンネル工法によって放射性廃棄物を完全に密閉することで、周囲の環境に対する影響を最小限に抑えることも可能との見解が示されました。

3.エネルギー課題先進国として世界をリードする
 
大塚先生の提案を受け、原田先生からは、この技術の確立が日本の原子力エネルギーの安全管理と放射線廃棄物処理の課題解決に貢献する期待を寄せる旨の講評がありました。また、この技術を国内で実施して後に、他国に技術協力することで、国際的な課題解決に貢献できること、ひいては、国際社会でのプレゼンスを高めることへの期待についても添えられました。
 そのためにも、まずは実証実験が為されることが必要です。例えば、実証実験を通じて技術の安全性と有効性を確認し、その結果を基にさらなる技術改良と最適化を図ることが挙げられます。これら、実証実験の成果が技術の信頼性を高め、国際的な技術移転の基盤にもなってきます。

4.長い道のりの第一歩として
 
最後に、アイコンテクノ株式会社の代表取締役会長である金子和夫様が登壇し、廃棄物処理の新しい提案に関する宣言文を発表しました。宣言文には以下の内容が含まれていました。

  • この新しい技術の実証実験を行うこと。

  • この技術を政策的に検討すること。

  • この技術を国内で確立し、発展途上国にも技術協力を行うこと。

 宣言文の発表後、会場の賛同者からの拍手があり、この提案を推進していくことが確認されました。今後、この技術が実証され、広く普及することで、原子力発電に伴う廃棄物処理の課題が解決されることが期待されます。

5.最後に
 
放射性廃棄物の処理やエネルギー問題についての議論は、将来世代に対する責任ある持続可能な社会の在り方を考える上で欠かせません。本報告会で扱われたテーマは今後ますます注目を集めていくものです。様々な立場や価値観が交錯しますので、時間がかかる重たい課題です。だからこそ、国民的な議論に発展することが期待されます。このような具体的な考察機会をいただけたことに感謝します。継続して理解を深めて参ります。

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