クラウドにするかオンプレにするか?
最近、若手ITセールスの方とお話する機会があり、「クラウド」という言葉は知っているけど「オンプレ」という言葉は知らないと言われて、驚きました。
聞けばなんと「サーバ」も聞いたことはあるが、見たことがないそうです・・・
いやはや、そういう時代なんだなと思う一方で、そういえば、私も「オフコン」は一度も、実物を見たことがないですし、「AS400」の画面も数えるほどしか見たことがありません(笑)
なんだか、当時の私と一緒なんでしょうね(※年代がばれる・・・)
そんなわけで、本日はIT基礎用語ークラウド、オンプレ、Saas・・・を図解とパワポを使って、基礎から解説してみようと思います!
1|クラウドとオンプレミス
「クラウドにしますか?それとも、オンプレにしますか?」
そんなカタカナ専門用語だらけの言葉を、我々IT業界の営業やエンジニアはよく使います(お客様もわかっていればよいですが・・・)。
このクラウドやオンプレという言葉は、解説すると、システムの導入形態・構成を表しています。
オンプレ(=オンプレミスの略)というのは、自分の所属する会社の中にサーバを置いてシステムを動かすことを指します。
それに対して、クラウドは、サーバは自社にはありません。社外の(つまりインターネットを使って)サーバにつないで、システムを使うことを意味します。
図にするとわかりやすいです。
オンプレミスはこの図解で言うと下方向の矢印、自社の中で完結しています。
一方、クラウドは上方向の矢印、会社の外に出て行っています。
例えば、google検索を使う時、google検索の答えが出てくるデータの入ったサーバは、あなたの家の中にはないですね?google検索は、インターネットを使い、どこかのサーバにつながって動いていますので、クラウドということができます。
2|スタンドアロンとクライアントサーバ
少し古くささを感じる用語です。しかし、これらの言葉は今でも普通に使われていますので、解説しておきましょう。
先ほど説明したオンプレミスのシステム導入形態を、さらに細かく説明したものとイメージすると理解しやすいです。
・スタンドアロン:一人、つまりパソコン1台で使うシステムということです。最近はそういうシステムは少ないですが、昔は、個人向けソフトを中心に、沢山のスタンドアロン型のソフトがありました。
・クライアントサーバ:通称クラサバです。クライアントになるパソコンとサーバの2台以上がつながるシステムです。法人でシステムを導入する場合は、大抵複数人でシステムを利用しますので、クラサバになることが多いです。今でも企業のERPや勘定系システムをはじめ、多くのクラサバ型システムが存在します。
もう少し2つの違いを比較すると、、、
こんな感じですね。
ちなみに、少々マニアックなお話ですが、スタンドアロンでも、クライアントモジュールとサーバモジュールを同じ1台のPCに入れることができたり、クラサバのサーバが側だけをクラウド上に置く等、細かなバリエーションがあります。
一概に、白黒ハッキリ明確なものではないですので、ザックリとイメージ出来ていれば、ITセールスや若手のレベルであれば十分と思います。
3|クラウドの3つの種類
スタンドアロンやクラサバみたいな古臭い話よりも、クラウドのことの方が知りたいですよね(笑)
というわけで、クラウドを解説します。
クラウドも細かくわけると3つくらいに分類することができます。
それぞれイアース、パース、サースと呼びます。
ーSaas
いずれもインターネット上でシステムを使うのがクラウドですが、中でもアプリもハードもデータベースもあらかじめ用意してもらったものを、インターネット経由で後は使うだけというのがSaasです。
とにかくインターネットさえあれば、アカウントだけ作ってすぐ使えるのがSaasの強みで、皆様の会社でも実は使っていたり、聞いたことがあるものが多いのではないでしょうか?
会計ソフトをクラウドで使えるfreee▼
人事労務を行えるSaasのSmartHR▼
世界的なストレージサービスのdropbox▼
海外のSalesforce、dropbox、Zoomなどはもちろん、国内企業も昨今は沢山CMもしていますし、本当に、親しみやすいかつ知名度の高いSaasが増えました。
ーIaas
一方で、Iaasは使ったことがないとあまりイメージしにくいかもしれません。
「ハードウェアをインターネット上で使う?」
ちょっとイメージしにくいですね。
そこで、これも具体例で考えてみましょう。
ハードウェアを購入する際、普通ならどういう手順になるでしょうか?
スペックをしっかり検討して>サーバを購入して>配送をしてもらって>会社に設置して電源を入れて・・・いろいろな作業が必要です。もちろん、空調や電源をきちんと事前に社内で準備しておくことも大切です。
では、Iaasならばどうなるでしょうか。
試しに、さくらインターネット社の料金シミュレーションサイトを見てみましょう。
Webサイトにあるように、自分が使いたいセンターの場所や容量を(インターネット上で)選択するだけでサーバが使えます。配送もいりません。容量が足りなかったら後から増やせばよいのです。
極端に言えば、この設定をテキトーに選択して、ものの数分、数時間でサーバが(インターネット上に)出来上がります。
Iaas・・・むちゃくちゃ便利です!
ーPaas
Paasはこれらの中間ですが、実はこれもハッキリといった区別があるわけではないです。
Iaas側がサービス内容を拡充しており、最近ではデータベースも一緒に設定できるのがもう普通ですし、開発環境やフレームワークも準備できるものが多いです。一方でSaas側もノンプログラミングで設定できるよう、機能をどんどん増やして"プラットフォーム"的なアピールする事が増えてきています。
4|クラウドのメリット
クラウド(Iaas、Paas、Saasいずれも)の利用が昨今伸びているのは、やはりメリットがあるからです。
例えば、以下のような点です。
一応、パワポ図解にするため、代表的なメリット3つほどに絞りましたが、これ以外も沢山のメリットがあります。
✓中小企業にとっては、難しいセキュリティはクラウド運営する会社に任せた方がむしろ安心
✓カンタンな設定でエンジニア以外の人にとっても使いやすくなってきている
などなどです。
また、ITコンサルタントを目指す方は、クラウドのメリットをもう一歩踏み込んで考えてみることをお勧めします。
例えば「初期費用を抑えられる」ということを今回メリットの3つ目に記載しましたが、会社のシステムは1日ではなく何年も使うのが普通・・・すると数年のトータルコストではクラウドよりオンプレの方が安いことが多々あります。
「初期費用が安いこと=(イコール)メリット」とは、実は安易に言えなかったりします。
5|クラウドのデメリット
クラウドにもデメリットがもちろん存在します。
1つがクラウド運営会社のサービス終了や変更のリスクです。サービス運営会社の事業方針変更、倒産、M&Aなどにより、機能や画面は変更されますし、最悪の場合は倒産やサービス終了ということになります。
googleやyahooみたいな大きな会社なら安心とも思うかもしれませんが、会社自体がつぶれなくても、サービス単位の終了は大小合わせていくらでもあります。
実際、googleであっても2022年だけで十数個、歴代合わせると280個のサービスが撤退しています。
※クラウドに関係ない事業も含む。
※以下のGoogleサービス終了一覧サイト(海外)を見ながらパッと数えただけなので、正確な数はそちらを参照してください。
他にも、いくらクラウドが使いやすく、きめ細かな設定もできるようになってきたとはいえ、カスタマイズ性はやはり自社開発よりは劣ります。また、ニッチな業界だと、そもそもその業界向けのSaasが存在しないこともよくあります。そういう時は結局0から開発したりするしかないです。
これら様々なメリットとデメリットを総合的にきちんと検討して、クラウドは導入しないといけないですし、ベンダーであれば、きちんとクライアントに説明するようにしましょう。
6|まとめ
それでは、最後にすべてをまとめるとこんな感じの分類になっています。
技術的に正確な分類かどうかは一旦おいておき、あくまで若手向け×ビジネスの実践の場で使えるような分類にしてみました。
細かな解説が続きましたが、最後に言いたいのは1つ1つの細かな用語を暗記するより、全体像を抑えることがもっとも重要ということです。
全体像を抑えることができれば、自分の興味のある分野・スキルをドリルダウンしていったり、得意な分野から周辺の分野へと学習の繋がりもスムーズになると思います。
以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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