蓑虫鳴く、風や吹く
蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしき衣引き着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ」といひおきて、逃げて往にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになりぬれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり
「枕草子」第41段
蓑虫の鳴く
風は情けか
ふるさとか
蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしき衣引き着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ」といひおきて、逃げて往にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになりぬれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり
「枕草子」第41段
蓑虫の鳴く
風は情けか
ふるさとか