ドクカン【サロメ】
まず、読み進める前に”ドクカン”について以下3点お気を付けください。
① 単純にその本の読書感想文+@的なものです。
② もしかしたら+@がメインです。というか「メイン」です。
③ ネタバレ要素満載です。ただ、詳しく書きません。
以上(異常)の3点お気を付けください。
「サロメ」 作者 原田マハ 文春文庫
過去に”カフーを待ちわびて”や”楽園のカンヴァス”、”風のマジム”等僕は原田マハさんが描く小説がすごく好きで読んでいます。
いくつかの小説を読んでいるうちに原田マハさんの影響を大きく受け、今住んでいる僕の家に著名人のコピー絵画や風景画を置くようになるほど、僕は原田マハさんの影響を受けています。
そう、僕は永遠のミーハーなのです。
原田マハさんの作品に出合ったのは僕がシドニー留学行く前の頃でした。母が原田マハさんの「カフーを待ちわびて」を既に読んでおり、推理小説しか読んでいなかった僕に
「たまにはこういう恋愛小説も読んだら?」
の一言で読み始めたのがキッカケ。ただ僕の性なのでしょうか、恋愛小説を読みなれてないせいか、常に背中がゾクゾクする感覚に陥り、正直、小説から強い印象を受けませんでした。それでも著者”原田マハ”の名だけは強く残り、以降、本屋へ行けば知らず知らずのうちに”原田マハ”の名を探している自分がいました。
今回、この「サロメ」を読んで楽しんでいる間に実家へ帰省しました。コロナ自粛のムードは感じていましたが帰省しまた。そこで小さな発見がありました。
それは
「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」(集英社新書)
というこれも原田マハさんが書かれた本を偶然見つけたということです。その本の中に今回「サロメ」で大きなうねりとして世界を掻きまわす
「おまえの口に口づけをしたよ、ヨナカーン」
の挿絵が紹介されていました。そしてその本は僕の部屋の読み終わった本棚から偶然見つかりました。つまり、僕はこの原田マハさんの新書を既に読んでおり、
画家:オーブリー・ビアズリー
作家:オスカー・ワイルド
という人物に僕は過去、遭遇していた人間だったということを知りました。その時は「なんだこの奇妙な作品、夜11時以降に見ちゃいけない作品やな」ぐらいの感覚で流し、”楽園のカンヴァス"で登場したルソーの「夢」やモネの「水連」の解説に時間を費やしたので陳腐な脳に記憶にされなかったことでしょう。
でも、「サロメ」は今まで読んだ”カフーを待ちわびて"や”風のマジム”のようなものとは違う”陰”要素が濃い作品でした。”陽”作品の多い”陽キャ”ことマハさんからは想像できない泥沼にハマって落ちていく感覚。
そしてこの作品で一番恐ろしくて面白いのはヨナカーンの首を持った「サロメ」じゃなくて、ブフ・デュ・ノールのステージで白鳥がはばたきを始めるように宙に浮かび上がった「サロメ」だったということです。
「サロメ」は時代が変わっても、踊りが変わっても、感情が変わっても、サロメは美しく、そして、女豹だったということです。
是非「サロメ」を読んでみてください。そして女豹に嚙まれてください。
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