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⑫ 不払い養育費での強制執行に必須。債権差押命令申立の書類一式準備について⑨ 強制執行したら、供託という罰ゲームに強制参加させられました編
こんにちは、海苔子です。「不払い養育費での強制執行に必須。債権差押命令申立の書類一式準備について 取立がやっと始まりまっせ編】第二弾です。2023年10月某日、東京地方裁判所から債権差押命令とその仲間たちが当事者に届き、翌月から待望の養育費が受け取れるかと期待していました。
強制執行したら、供託という罰ゲームに強制参加させられました
しかし、相手が国家公務員だったために養育費は供託となり、現金化まで前途多難な道を毎月歩んでいます。音声では供託については説明していませんので、こちらの文字解説でディープな取立事情を予習してください。マニアックな内容ですが、不払い養育費にお困りの方の参考になりますと幸甚に存じます。
そもそも供託とは
供託とは、供託しようとする者(供託者)が、金銭、有価証券、物品などの財産を供託所に保管させて、この財産を受けとる権利のある者(被供託者)に受けとらせることによって法律上の目的を達成しようとする制度です。 供託は、弁済供託、担保供託、執行供託、保管供託、没収供託などに分類されます。
これらの供託手続のうち、市民のくらしに最も身近なものは、民法にもとづいてなされる弁済供託でしょう。例えば、家賃の金額に争いがあって家賃を家主が受け取らない場合(受領拒否)や、家主が死亡して相続人が誰だかわからない場合(債権者不確知)などでは、賃借人が供託することによって家賃の支払いをしたことになり、家賃債務を免れることができるのです。
例のようなことをされた家主さんは、一大事です。供託されると家賃がすぐに入金されなくなるわ、手間とお金を掛けて手続をしないと現金化できなくなるわで、泣きっ面に蜂です。ですから、「供託します」の一言は、大変嫌がられます。
海苔子も管理会社と協働して悪徳家主にこの一言を放ったことがあります。めでたくこちらの主張が通りました。
供託の恐怖を知る私ですから、自分が供託に巻き込まれるとは天変地異です。ガックリしましたが、裁判所の指示に従い、心を無に、指示されるがままに書類と切手を用意するルーティーンを続けています。俸給の原資が大切な税金だから仕方ないですよね。毎月書類が届く度に、無の境地に達しています。
これが供託された養育費を取り戻すルーティーン
では、供託の場合の養育費の受取方を解説します。元配偶者が公務員の場合はこのパターンになると覚悟してください。これがずっと続くかと思うと気が遠くなるはずです。
① 第三者債権者が債務者の給与やボーナスの手取り1/2を法務局に供託。
海苔子は債権差押命令を受け取った第三債権者の担当者に電話し、2023年11月16日の給料日から手取りの1/2が供託されることを確認しました。もちろん「長くお手数をおかけすることになりますが、よろしくお願いいたします」とも伝えましたよ、大人のたしなみです。
② 供託後、第三者が東京地裁債権配当係に「事情届」を送り、供託したことを伝える。
③ 供託の初回だけは、東京地裁配当係の担当者から先に書類送付費用として、84円、94円、244円分の切手を予納するよう電話連絡がありました(2023年11月時点)。この費用は養育費の残額に毎回加算される。要するに、債権者から取り立てた弁済金から送付費用として充当されていると思えば良いです。
④ 給料日からだいたい1カ月後に、東京地裁配当係から「弁済金公布日通知書及び計算書提出の催告書」と「事務連絡」、注意事項が普通郵便で送られてきます。
年末年始や、年度末は人事異動などで連絡が遅くなることがあります。ヤキモキします。
・弁済金公布日通知書
弁済金とは、私の場合は養育費のこと。この書類には今回の養育費支払に紐付けられた事件番号、供託された養育費の金額、法務局で支払請求ができる日時などが記載されています。請求日時は差押えした日からだいたい2カ月後。
・債権計算書
前回の配当(いわゆる養育費の受取)後に、別でお金を受け取っているか? また、利息や遅延損害金を債権額に含めないという2項目にチェックを入れ、署名、押印。
もし、強制執行以外で元配偶者から金銭を受け取った場合は、いくら、いつ受け取ったのかを記入する欄があるので、確実に記入する。
・事務連絡
次回の交付日通知書送付費用として110円切手2枚と、支払委託書送付費用として320円分の切手、計540円分の切手を送るよう依頼される。(2024年10月以降)金額は不確かなので、確認後に訂正します。
・弁済金交付計算書
現時点の不払い養育費の残額、今回の差押え額、交付日通知書送付と支払委託書送付の費用などが計算された書類。これは自宅保管しておきます。
・受書
法務局で直接、弁済金(=養育費)を受け取るために必要な書類。ただし私は供託先が居住地から遠い某法務局なので、書類はすべて郵送でやりとりしています。法務局に行かない債権者は、地裁に配当を受け取るための「証明書」を発行してもらいいます。これを送ってもらうために、返信用封筒(宛名書きし、320円分の切手を貼付)も準備。私は養育費関連のやりとりには、超目立つ緑の封筒を使っています。
・注意事項
記入に関する注意事項や、弁済金交付手続に関する流れが説明されています。
⑤ ④の中から、以下をまとめて、地裁に返送。海苔子は毎回これを送っています。
・チェック済、署名、押印済の計算書
・署名、押印済の受書
・証明書送付用の封筒(宛名書きし、320円分の切手を貼付)
・次回送付用の110円切手2枚と320円分の予納切手
なお、印鑑は申立時と同じ印鑑を使用するように指示あり。
⑥ 弁済金公布日当日頃に地裁から「証明書」が届きます。
⑦ ⑥を活用して弁済金を受け取るために、某法務局に以下を送ります。私は俸給だけなら2カ月分まとめて請求。ボーナス月は俸給とボーナスを合わせて請求しています。請求は毎月でなく、溜めてから行っても大丈夫です。
・地裁から交付された証明書
・必要事項を記載し、実印を押印した供託金払渡請求(還付(配当・預貯金振込))
・印鑑証明
イラッとさせられるのは、供託金(=弁済金 =養育費)が10万円以上の場合は、毎回、実印の押印と印鑑証明が必要となること。マイナンバーカードを活用してコンビニで取得すると200円、役所だと300円。
チリツモですよ。
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https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001400369.pdf
⑧ 送付後10日くらいで指定口座に振り込まれ、その後、某法務局から「国庫金振込通知書」が届く。
以上で終了、しかしこの流れが毎月続きます。
速やかに養育費を受け取るための注意事項
・押印に使う印鑑は申立書で使ったもの限定
・書類が届いたら、なるべく1週間以内に返送する
・切手額を間違えないように。不足分は後送
簡略化できないか抵抗してみた
手続があまりにも煩雑で時間がかかるので、もっと簡単にならないかと配当係の担当者に訊いてみました。
・生活に支障がないのなら、2~3カ月分をまとめて書類を送ることも可能。少額の養育費ならば半年分まとめて手続きする債権者もいる。
・銀行口座がわかっているなら、「変更届」を出して、残額を銀行口座で差押えする。ただし空振りの可能性あり。
配当係担当の方々は親切なので、ざっくばらんにいろいろと相談してみましょう。私は書類返送時に「切手代節約のため、6月分の給料とボーナスはまとめて書類を送ってください」など、メモを入れています。2023年12月には、冬のボーナス、年末調整、12月分俸給と3回の供託が予定されていたので、配当係が「3つともまとめて書類送った方がいいですよね」と電話してきてくれた。お互いに面倒ですもん。ありがたいことです。
電話するときは債権差押命令の事件番号を伝えると、話が早いです。
面倒なことは少しでも楽しく
供託になってしまった場合、とにもかくにも切手の準備が大変。郵便料金の値上げに伴い、私は切手屋さんで80円切手と10円切手をバラで各100枚買いました。9000円分が7700円で手に入り、お金も手間も節約です。なにより、気が滅入る手紙がカラフルな記念切手で送られてくると、ちょっと気持ちが上がるんです。受け取った地裁の書記官さんが「この人が送ってくる切手、おもしろいんだよな」とホッコリしてほしい、とも願っています。
供託の3つのメリット
ほとんどデメリットしかない供託ですが、いいことが3つあります。
① 第三債務者から直接、養育費を取り立てると「取立書」というのを一応毎回、地裁に郵送する必要があるが、供託では不要。
② 法務局からの振込は手数料の自己負担がない。
③ 債権額の残額計算を裁判所にお任せできる。
まだまだやることはあるんだよね
しかし、私は罰ゲームのような供託には負けません。さらに先日、養育費増額と期間延長の調停申立を行いました。マンションの売却益でホクホクしている元夫に、養育費と未払の学費、医療費を一括で支払っていただく交渉もする予定です。ついでに怒り狂った子が父との面会を希望しているので、そちらも要求することにしています。
新企画発表でーす
ということで、次回からはテーマを一新。
【養育費増額と期間延長の調停申立】についてお伝えします。元配偶者はどの面を下げて東京家庭裁判所に来るのか、それとも雲隠れするのか。自力で調停を申し立てるところからネチネチと解説します。
最後に海苔子からひとこと
長くて複雑な養育費強制執行の解説につきあっていただきまして、ありがとうございました。養育費強制執行は弁護士さんに依頼しなくてもできます! 保証会社を使わなくてもできます!
仕事が忙しくて諸々の書類集めと書類作成ができない、という方は司法書士さんにその作業だけお願いする、という裏技もあります。自分ですることは最初のデータ提供と裁判所への書類送付だけです。弁護士さんに丸投げするより費用はかなり抑えられますので、知り合いのつてをたどったり、以下のサイトで相談してみてください。各地で無料相談会を開催しています。
養育費全額がお子さんに使えるように、
中抜きのない強制執行に挑戦しましょう!
=〜=〜=〜=〜=〜=〜=〜=〜=〜=〜=〜=
不払い養育費を強制執行する方法を1から紹介するシリーズ
長い道のりですが、この通りの進めると実費しかかかりません。そして、法律の知識が身につきます。お役に立てれば幸甚に存じます。
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