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【TOR】Anthony Santanderを獲得
サムネイルの画像はこちらからお借りしています。
https://twitter.com/Sportsnet/status/1881861559938671003?t=7UQofLa73Ct338Ew8UP12g&s=19
前回の補強note↓
※日付は全て現地時間
※この記事は、全ての商用的利用或いは著作権侵害の意図を放棄しています。
ご覧いただきありがとうございます。
BlueJaysファンのとりすきです。
キャンプ開始まで一ヶ月を切った1月20日、TORはリリーフJeff Hoffmanとの契約に続き、打線の大型補強へと動きました。
同地区BALからFAとなっていたAnthony Santander外野手の獲得です。
ということで、今回はTORによるAnthony Santander獲得について、私見を交えつつまとめていきます。
“Looks great on me already! WOW!”
— Toronto Blue Jays (@BlueJays) January 21, 2025
We couldn’t agree more, Tony 😏 pic.twitter.com/AE4mFoIcyF
1:契約内容
以下は今回TORがAnthony Santanderと結んだ契約の内容についてまとめたものです。
Anthony Santander
— Jon Heyman (@JonHeyman) January 23, 2025
Jays
$68,558,879/5 plus option
Signing Bonus - $13.5M, $6.75M deferred
$13.5M, $10M deferred- 2025
$16.5M, $10M deferred - 2026, 2027
$14.75M, $10M deferred - 2028
$12.75M, $10M deferred - 2029
Club option 2030 $15M, $5M buyout, deferred
Optout after 2027
Club option for 2030 is $15m or $5m buyout, which is deferred.
— Shi Davidi (@ShiDavidi) January 23, 2025
Santander can opt out of the deal after 2027, but Blue Jays can negate that by exercising option. If they do that, his base salary in 2028 rises to $17.25m, 2029 goes to $15.25m and 2030 option is $17.5m
年数 5年+クラブオプション1年
三年目(27年シーズン)終了後オプトアウト
保証額92.5M 後払い額 約61.75M
現在価値 約68.56M
AAV 約13.7M(現在価値 約68.56M)
内訳
サインボーナス 13.5M(内6.75M後払い)
25年:13.5M(内10M後払い)
26年:16.5M(内10M後払い)
27年:16.5M(内10M後払い)
28年:14.75M(内10M後払い)
29年:12.75M(内10M後払い)
30年:CO 15M
or バイアウト5M(全額が後払い)
※選手側が27年オフにオプトアウトを選択した場合、球団側は28・29・30年COの給与増額オプションを行使することによって引き留めが可能。
その場合、サラリーは以下のようになる。
28年:17.25M
29年:15.25M
30年:CO 17.5M
最高額110M
合同note担当のGoさんも記事内でおっしゃっていましたが、相当ディスカウントされた契約のように思います。
当契約の現在価値は約68.6M。
MLB TRの予想が80M、Fangraphsによる契約規模の中間ラインも同じ金額に設定されていたため、それらと比較するとかなり安く感じませんか?
ところで、FAに悉くフラれ続けてきたTORが大物野手を射止め、さらに買い叩くことが出来た理由は一体なぜなのか。
それは、Santanderとの個人的なつながりが一因としてあるのかもしれません。
TORフロントには、彼と関わりのある人物が複数人在籍しています。
先ず、SantanderはJaysの特別アシスタントであるVictor Martinezと特に親しくしているとのこと。
またCLEマイナー在籍時(2009~)には、Mark Shapiro(現TOR球団社長)・Ross Atkins(現TOR GM)ら球団エグゼクティブ、そして2016年当時CLE A+の監督を務めていたMark Budzinski(現TOR 1Bコーチ)ともつながりを持っています。
Santander:“Ross believed in me when I was in Cleveland,”
クリーブランドにいたとき、ロスは私を信じてくれました。
…“He trusted me as a person, as a player in those times when I had a lot of injuries. He always tried to push me to develop me as a player, and that gave me comfort. Thank you, Ross.
With Mark(Budzinski), he was my manager and a great guy, a great person. He always pushed me through my injuries and gave me an opportunity to play every day. We always had good communication to stay on the field. Thank you, Mark, too, and I’m going to see you soon.”
怪我が頻発していたとき、ロスは私を人として、選手として信頼してくれました。彼はいつも私を選手として成長させようと励ましてくれ、それが私にとって心の支えでした。ありがとう、ロス。
(当時)マーク は監督で、素晴らしい人でした。彼はいつも怪我をした私を励まし、毎日プレーする機会を与えてくれました。フィールドにいられるように、私たちはいつも良好なコミュニケーションをとっていました。ありがとう、マーク。またすぐに会いましょう。
さらに、同郷(ベネズエラ)のAndres Gimenezや、また同じ施設でトレーニングしているAlek ManoahらといったTOR所属選手の何名かとも親交があるそうです。
Santanderと彼らの個人的なつながりが、交渉を優位に進め、球団フレンドリーな契約の成立に寄与したのでしょうか?
まあ理由はどうであれ、この契約によってTORが恩恵を受けることは間違いないでしょう。
一方、贅沢税閾値を既に超過している状況で、両翼/DHタイプの野手と保証5年、そして額面だと一億ドルに迫る大型契約を結んだ、これは相当思い切った決断だったのではないでしょうか。
現に契約規模では球団史上6番目、最大まで支払われた場合(6年110M)だとKevin Gausmanに並び3位タイとなります。
同ポジションで類似の契約は…といきたい所ですが、そっくりそのままのものはちょっと見つけられないですね。
保証金額の5年92.5Mだと、Nick Castellanosが2021年オフにPHIと結んだ5年100Mの契約が近いように思います。
契約時の選手の年齢も同じです。
最大まで膨らんだ場合の6年110Mだと、似ているものはYordan Alvarezが2022年シーズン途中にHOUと結んだ6年117Mの契約でしょうか?
(Santanderが彼くらい打ったら諸手を挙げて歓喜しますね、ええ。)
(吉田正尚の5年90Mはポスティングなので除外。)
※なお、TORは枠空けのためリリーフ投手
Brandon EisertをDFAしています。
:追記
Ken Rosenthal記者によると、どうやらSantanderに対してLAA、KCも興味を示していたとのこと。
前者は3~4年(詳細不明)、後者はオプトアウト付きの3年66M(後払い含む)のオファーを行っていたようです。
これら2チーム以外も真剣に獲得しようとしていた球団があったのかは分かりませんが、判明している部分だけで考えても、どうやらTORが一番長期間且つ巨額の提示を行っていたように思われます。
もしかしてディスカウントじゃない?😵💫😵💫😵💫
2:補強によるメリット
こちらの項では、TORがSantanderを獲得したことによるメリットについて解説します。
2-1 「AAVベースで見ると」リーズナブル
前述の通り、Santanderの契約は多額の後払いが含まれており、結果AAVベースで見るとリーズナブルなものになっています。
保証金額の約67%、三分の二が後払いってとんでもないですよ。
現状この数字は、LAD所属の大谷翔平選手(97%)に次いで大きいものとなっています。
(繰り延べ金の額61.75M自体は大谷の680M、Mookie Bettsの115M、Max Scherzerの105Mより少ない。Freddie Freemanの57Mよりは多い。)
それに伴いAAVも約13.7Mとかなり少額に。通常だと92.5÷5=18.5Mに設定されるため、なんと5M近くの大幅圧縮です。
何故かは知りませんが、つい先日TORはCLEから不良債権と化していた外野手Myles Strawを引き取るという慈善事業を行っており、その時点で25年シーズンの贅沢税閾値である約241Mを完全に超過している状況でした。
そのため、仮にSantanderと後払いなしの5年92.5Mで契約していた場合、贅沢税閾値第二ライン(約261M)をさらに越えてしまいます。
場合によるとはいえ、予算の急拡大はしないという旨の発言をしていたフロントにとって、それは避けたかったことでしょう。
前述の通りこの大幅な後払い契約は、TORにとって実に都合の良い内容だったと言えます。
Atkins:“it’s just another tool to help have some agility as you get higher and higher in payroll
…to ensure that we have some flexibility moving forward.”
アトキンスGM:これは、給与がどんどん増えていく中で機敏に動けるようにするための単なる手段にすぎない…
今後ある程度の(財政的)柔軟性を確保するためのものだ
ただし、あくまでも後払い。
先送りした61.75Mは、後々きっちり支払わなければなりません。
2-2 両翼の攻撃力を強化
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詳しくは上記の拙著をご覧いただきたいのですが、TOR野手陣にはオフの課題として、両翼(RF/LF)の強化という点がありました。
そもそも両翼は守備位置補正が低く設定されており、差を生み出そうとすると打力を求められるポジションなのですが、TORには実績の少ない若手が多く、即戦力といえる選手はほとんどいなかったのです。
(George SpringerやDavis Schneiderといった有力選手もいますが、24年シーズンはいずれも不振。)
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Fangrahps Projection参考
自前の選手に期待が持てない以上、外部からの力に頼るしかありません。
(なお私は若手のアップサイドに賭けようと思っていました。)
そこで、直近3年間の本塁打数105発、OPS.795、wRC+124と安定した打撃力のあるSantanderを獲得するに至ったのではないかと思います。
また、こちらはポジション関係ありませんが、毎シーズン30HR以上が期待できる彼の加入によって、2022年以降下降トレンドに入っていたチームHR数を改善する狙いもあったのではないかと、個人的には考えています。
長打が最も効率よく得点できる手段ですからね。
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なお昨年は23年から減の156発(全体26位)
2-3 右打者偏重状態の解消
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この点も以前作成したnoteで触れているのですが、フロントは打線のレギュラーが右打者に偏っていることをかなり気にしているようです。
(FA&トレードで右打者ばかり獲ってきた経緯を考えると、シャトキンス自らが招いた問題では?)
確かに、24オフ時点での野手陣を見ると
Vladimir Guerrero Jr.・Bo Bichette
・George Springer・Alejandro Kirkら主力は皆右打者なんですよね。
(因みに、24年シーズン中81試合以上に出場したTOR所属選手11名の内、8名が右打者)
MLB(2024)において、70%以上のボールが右投手によって投じられている以上、それに有利な左打者を集めたい、若しくは右投手への対処を左打者よりも比較的不得意としている右打者が固まっているのはよろしくないと考えるのは、まあ分からんでもありません。
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↑左打者 ↓右打者
baseballsavant参考
実際、右打者偏重の編成を改善するためか、今オフの野手補強ではAndres GimenezとAnthony Santanderという左打席が中心の選手を獲得しています。
(なおSanthanerは純粋な左打者ではなくスイッチヒッター)
前者はともかく、後者に関しては去年右投手を相手にHR32発、OPS.822と実績十分。
右投手に対する攻撃の要としてしっかり活躍してくれるでしょう。
※参考 Santanderの左右別指標比較
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baseballsavant参考
意外と右もいいなあ
Santander曰く、本来は右利きであるため右打席の方が力強くスイングできるそうだ。それがStatcastにも表れている。ただし、キャリアを通して左打席の方が成績は良い模様。
※ 24年のTORですが、従来と異なり対左投手よりも対右投手の方がチーム成績は上です。
こちらは、Guerrero Jr以外の右打者が軒並み成績を落としていること、また若手のSpenser Horwitz・Will Wagner、一昨年低調な打撃成績に終わっていたVarshoといった複数の左打者が一定の結果を残したこと、この二点が原因だと思われます。
2-4 メリットまとめ
・多額の後払いによってAAVベースで見ると安く、契約時点で贅沢税閾値第二ラインの超過を回避することに成功。
・弱点だった両翼の打撃を大幅強化することに
成功。
・フロントの目指していた、右打者偏重状態解消に強力な一手。
3:懸念点
ここからは懸念点について触れていきます。
私は元々Santander獲得反対派だったので、色々言いますがご容赦下さい。
3-1 QO案件
QO(Qualifying Offer)の詳細はFelix氏の動画をご覧ください。
Anthony Santanderは、BALから提示されたQOを拒否しています。
そのため、獲得側のTORは相応のペナルティを受けなければなりません。
2024年シーズンのTORは贅沢税閾値を下回ったため、ペナルティの内容は以下のようになります。
・2025年アマチュアドラフト2巡目指名権没収
・2025~26年国際FAボーナスプール 50万ドル喪失
2025年のTOR二巡目指名権は全体50位。去年のものを参考にした場合、そのスロットバリューは約1.8Mです。
今回の補強によって、それらを失うことになりました。
指名権及びスロットの喪失は、こちらにとって大ダメージです。
指名権喪失は言わずもがな。そして使えるお金が減ることはその年のピック全体に影響を及ぼし、例えば昨年Trey Yesavageを指名したように、スリップしてきた選手をオーバースロットで獲得することが難しくなります。
ファームが貧弱なTORにとって、有望なプロスペクトを手に入れる貴重な機会を手放してしまうことは非常に痛い。
(対するBALは補償によって全体31位指名権を得ています。はあ)
Santander獲得の為に少なくない出血を強いられた訳ですが、彼は果たしてそれに見合う活躍をしてくれるのでしょうか?
国際FAボーナスプールへのペナルティは正直どうでもいいと思ってます。近年のTORは中南米系プロスペクトを育てられてないので。
(※ペナルティを受けるのは25~26年に使えるプール。そのため、いつの間にか増えていた謎の2Mの使い所にはなりません。)
3-2 打撃の再現性
この項では、Santanderが古巣BAL在籍時のような打撃成績をTORでも発揮できるかは怪しいということ、それを2つのポイントから述べていきます。
・HRの減少
Santander’s expected home run total was 36.6, meaning that some of his 44 home runs were the result of being in the right place at the right time, hitting the ball to the right part of the ballpark. Based on some of his underlying stats (exit velocity, hard hit rate and walk rate), Santander’s 2024 actually wasn’t too much of a spike year offensively,
SantanderのxHRは36.6本で、つまり彼が放った44本のホームランのうちいくつかは、適切なタイミングで適切な場所にいて、球場の適切な場所にボールを打った結果だ。彼の基本的な統計(打球速度、ハードヒット率、四球率)に基づくと、サンタンダーの2024年は実際には攻撃面でそれほど突出した年ではなかった
こちらの文は、Mark Feinsand記者が著したもので、私が抱いている懸念材料の一つを端的に記しています。
ということで、一つ目のポイントはHR数の減少についてです。
上記のように、2024年シーズンにおけるSantanderはxHRと実際のHR数の乖離が激しく、なんと+7.4本もの差があります。
他のシーズンはそれほどHR-xHRの差が激しくないことを考えると、去年は出来すぎだったと想定する方が妥当でしょう。
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また、本拠地が変わることもHRの減少に繋がると考えています。
Santanderが元々在籍していたBALの本拠地、Oriole Park at Camden Yards(以降カムデンヤーズ)はライト側が非常に狭く、それ故左打者によるHRが出やすい球場となっています。
それに対してTORの本拠地Rogers Centre(以降ロジャースセンター)はライト・レフト共に均整の取れた構造で、別段左打者に優しい球場ではありません。(寧ろHRパークファクターは悪い方?)
逆にレフト側が広く、右打者と相性の悪いカムデンヤーズから抜け出すことで、スイッチヒッターであるSantanderが右打席に立った時は移籍による恩恵を受けるかも知れません。
しかし、彼は左打席が本体である以上、そちらへの悪影響をより強く受けて総合的にはHR数が減少すると私は予想しています。

画像はライトスタンド改修前のもの
今後さらなる改修予定
http://www.andrewclem.com/Baseball/CamdenYards.html
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http://www.andrewclem.com/Baseball/RogersCentre.html
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https://baseballsavant.mlb.com/leaderboard/statcast-park-factors?type=year&year=2024&batSide=L&stat=index_wOBA&condition=All&rolling=3&parks=mlb
アプローチはお世辞にも良いとはいえず、与四球を含めた出塁能力も優れていると言い難い、典型的スラッガータイプの選手である以上、Santanderには長打による得点創出を期待したい所ですが…
昨年と同等レベルのHR数を再現できるとは到底思えず、また年齢を鑑みるに恐らく天井が見えてしまっているため、過度に信頼することは出来ないでしょう。
・ファールアウト増加の懸念
二つ目のポイントは、移籍によってファールアウトが増えるのではないか、ということ。
Santanderは異様な程ファールを打つ選手です。
上記の記事によると、彼は2024年シーズン中、MLB全体2位となる655個のファールボールを打ったとのこと。なんとインプレー打球435個の1.6倍以上です。
(打席あたりのファールボール率は98.9%。1打席につきほぼ1回は打球がファールになっています。)
この値は、Anthony Santanderという選手にとって例外という訳ではありません。2022年にはMLB4位、2023年は8位を記録しています。
では、ファールボールが多いことの一体何がいけないのか?
答えはまたも本拠地が関係してきます。
BAL本拠地カムデンヤーズはファールゾーンが23.6平方フィート設けられています。
それに対してTOR本拠地ロジャースセンターのファールゾーン面積は30.6平方フィートほど。
そう、前者より後者の方が、ファールゾーン面積は広いのです。
ということは、ファールゾーンへ向けて飛んだフライが捕球される確率が高まると考えられます。
ファールアウトの増加が全体的な凡退数増加に繋がり、結果僅かでも全体的な打撃成績に悪い影響を及ぼすかもしれません。
カムデンヤーズを本拠地としていた2024年シーズンでさえ、MLB最多となる36個のファールアウトを記録しているのに、ファールゾーンが広くなったロジャースセンターでそれが悪化しないなんてことが有り得るでしょうか?
(ファールがいくら多かろうと、打撃で結果を出してくれれば全く問題はありません。私の懸念も、杞憂で終わればいいのですが…)
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https://blogs.fangraphs.com/anthony-santander-more-like-cant-thony-keep-it-fair/
※ファールボールが多いことは、本来そこまで悪いことではありません。
例えば、スイング時のファール率と空振り率には-.62のかなり強い逆相関があり、実際Santanderはwhiff%がMLB上位23%と全体で見ても優れた水準にあります。
また、スイングあたりのファールボールの多さとxwOBAの相関は弱く、結局の所ファールボールの多寡は打者の良し悪しにあまり関係しないようです。
・打撃の再現性が怪しい/成績低下を考える理由まとめ
・2024年の44HRは出来すぎに思える。移籍後はHR及び長打が減少しそう
・ファールアウトが増えそう。結果、全体的なアウト数も増加し、成績が悪化するかもしれない。
3-3 足のコンディションに対する不安
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Santanderは身体のコンディションにも懸念材料を抱えています。
特段多いという訳ではないのですが、彼はマイナー・メジャー双方でしばしば故障に見まわれていました。
マイナー時代は右腕に関する怪我ばかりだったのですが、MLB昇格以降は足の負傷、特に膝のものが目立つように感じます。
MLBのレギュラーシーズンは、162試合を約6ヶ月で消化しなければならないという過酷なスケジュールである都合上、怪我をしてしまうのはどうしようもありません。
Marcus Semienのように、ほぼ全試合出場をし続ける方が異常なのです。
だから、Santanderが今後いくら腕を痛めようが、脇腹を痛めようが、腰を痛めようが、チームとしては困りますがしょうがない面の方が大きいでしょう。
しかし、足の場合は別問題。
開閉式屋根を持つロジャースセンターの外野は人工芝が敷かれています。
人工芝といえば、天然のものと比べて怪我をしやすいという話は有名です。
ロジャースセンターの人工芝は、
技術の進歩や砂を混ぜ、下層にゴムパッドを敷くといった工夫によって、段々と天然芝との差は解消されつつあるらしいですが、それでも選手により負荷がかかるのではないかと、やはり心配になります。
特に、人工芝の環境で長期間プレーし続けたKevin Kiermaierのことを思うと尚更です。
人工芝の球場を本拠地としていながら、脚部のコンディションに不安のある外野手を長期大型契約で獲得するのは、かなりリスキーだと思います。
果たして、Santanderは長期の離脱をすることなくシーズンを走りきれるのか…
Chase Field(AZ本拠地)の人工芝は選手から好評みたいですね。
B1Kナチュラルターフというらしいです。
3-4 起用とポジション
こちらは、Santanderが外野手としてどれ程の試合に出場できるのか、という問題です。
前の項目、身体のコンディションにも関係してきます。
前述のように、Santanderは脚に問題を抱えていることとTOR本拠地ロジャースセンターに敷いてある人工芝の影響を鑑みるに、このままだと怪我なくシーズン完走をなせるのか疑問です。
また、Santanderははっきり言って守備でプラスを稼げない選手。
あの狭いカムデンヤーズライトを守っていながら、DRS-7、OAA-2、FRV-3(2024)を記録しており、どちらかというと下手な部類に入るレベルだと思います。
…he’s been been below-average in OAA in five of the past six seasons, leading some to wonder whether he’s a DH in the making.
過去6シーズンのうち5シーズンでOAAの平均を下回っており、彼がDHになるのではないかと考える人もいる。
そうなると、守備負担を減らしつつ出場試合数を増やす為にDH起用を一定の間隔で挟むのは当然の流れでしょう。
しかし、現在のTORにはDHを利用させたい選手が山ほど存在します。
例えば、現在35歳と高齢化したGeorge SpringerやSantanderと同じく守備力に問題のあるGuerrero Jr.、またWill Wagnerを始めとしたレギュラーポジションを掴めていない若手などです。
上記のDHによる休養措置を講じるのは良いのですが、例えば外野とDH半々のような過度の運用をされてしまうと、他の野手達に皺寄せがいってしまいますし、起用面での柔軟性に支障が出る可能性も否定できません。
5年の長期契約を結び、移籍初年度、シーズン開幕時30歳の選手が満足にポジションプレイヤーとして出場できないというのは非常に不満です。

https://www.fangraphs.com/players/anthony-santander/14551/stats?position=OF

https://www.fangraphs.com/depthcharts.aspx?position=ALL&teamid=14
3-5 契約が長すぎる
(注意)
この項はいつにも増して筆者の趣向・偏見が入っています。
中堅クラスのコーナー野手、しかも外様に5年の
契約を保障するのは長すぎる。
私とりすきは、コーナー野手、特に両翼については自前で用意するべきだと考えています。長期契約なんてもってのほかです。
(出来なければ短期契約でプラトーンタイプを確保するかトレード。それさえ出来なければコンテンドすべきではありません。)
Juan SotoやKyle Tucker、Yordan Alvarezのような、打線のトップに君臨できる飛び抜けた選手なら分かります。
寧ろ生涯契約で囲い込んでもよいとすら思いますね。
またBryan Reynolds、Brandon Nimmo
といったフランチャイズプレイヤーも、チームの軸として残って欲しいというのは賛同できるのです。
(まして後者は元々CF出来ましたし)
しかし、今回我々が契約したのはキャリアのwRC+120前後且つ守備難の外様Santander。
彼のような、中堅クラス且つ年齢的に今がピークと思われる選手のために5年間両翼のどちらかをロックするのは、正直言ってやって欲しくありませんでした。
3-6 後払い規制の機運によって生じるリスク
上記のポッドキャスト(?)にて述べられているのは、主にLADへの問題提起ですが、
ビックマーケット球団が後払いを多用しAAVを押さえ込もうとすることについて、内心苦々しく思っているスモール・ミドルマーケット球団ファンは多いでしょう。
後払い規制の機運がオーナー間で醸成され、結果2026年オフの労使協定でそれに対するルールが改定された場合、今回Santanderと多額の後払い契約を結んだTORも被害を被る可能性があります。
仮に2026年オフの労使協定で、AAVの計算が現在価値とかいう訳の分からん仕組みから、額面通りの金額を参照するようにルール変更がなされたとしましょう。
そうなると、我々は残り3年間AAV18.5Mの高齢コーナー野手を抱えることになります。
(新ルール以前に結ばれたものに関しては救済措置があるかも)
それはキツすぎる…
とはいえ、これはあくまでも私の想像ですし、もし実際に上記のルールが制定されたとしても、選手本人は何も悪くありません。
ただ、後々生じるかもしれないリスクについて考察すると、今回の後払いは単にお得とは限らないのかもしれません。
3-7 懸念点まとめ
・QO案件であり、獲得側のTORはペナルティを受ける。
・BAL時代の打撃成績をこちらでも再現できるか怪しい。
・Santanderは足に爆弾を抱えている可能性があり、TOR本拠地ロジャースセンターの外野が人工芝であることも合わさって怪我が心配。
・怪我や守備能力の関係で外野とDHでの併用になる可能性が高く、野手運用の柔軟性を損なう。
・両翼/DHタイプの中堅スラッガーに5年の契約保証は重すぎる。
・今後後払いに関するルールが改定された場合、こちら側が不利になるかもしれない。
4:野手デプスチャート確認
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対右投手スタメン予想
1:George Springer(RF)
2:Vladimir Guerrero Jr.(1B)
3:Bo Bichette(SS)
4:Anthony Santander(LF)
5:Daulton Varsho(CF)※開幕欠場
6:Andres Gimenez(2B)
7:Will Wagner(DH)
8:Ernie Clement(3B)
9:Alejandro Kirk(C)
対左投手スタメン予想
1:George Springer(RF)
2:Vladimir Guerrero Jr.(1B)
3:Bo Bichette(SS)
4:Anthony Santander(DH)
5:Alejandro Kirk(C)
6:Ernie Clement(3B)
7:Davis Schneider(LF)
8:Daulton Varsho(CF)※開幕欠場
9:Andres Gimenez(2B)
なんとか、全てのポジションでレギュラークラス以上の野手を揃えることに成功しました。
デプスも若手を中心にそこそこの数がいます。
これなら、なんとかワイルドカードに滑り込めるかもしれません。
後はSpringerとBichetteのバウンスバック、そして若手の成長に期待するしかない。
5:今後の補強展望
Santanderの獲得で野手補強にはひと段落つきました。
後はYariel Rodriguezをブルペンに追いやれる先発投手が欲しい…
と思っていたら来ました。
Excitement to the MAX 🗣
— Toronto Blue Jays (@BlueJays) February 5, 2025
OFFICIAL: We've signed 8x All-Star, 3x Cy Young Award Winner, and 2x World Series Champion Max Scherzer to a contract for the 2025 season! pic.twitter.com/ivwBkQurCS
この動きはすばらしいですね。文句のつけようがありません。
これで恐らく、24オフTORの主立った選手補強は終了でしょう。
後はちょっとしたブルペン関連の動きがあるかもしれません。
しかし、フロントは最後の仕事が残っています。
そう、Vladimir Guerrero Jr.との契約延長交渉です。
彼が交渉期限として設けているスプリングトレーニング開始まであとわずか。
これはどうにかやり遂げて欲しいですね。
When Spring Training starts pic.twitter.com/Luq2dWxGQe
— Toronto Blue Jays (@BlueJays) February 5, 2025
6:締め
ここまでご覧いただきありがとうございます。
思うままに書いていたら、1万4000字まで到達してしまいました。もう少し簡潔にまとめる力を磨かねばなりません。
それはさておき、今回はAnthony Santanderの獲得について、私見を交えつつ解説しました。
個人的にはSantander獲得に反対の立場だったので、かなりのダメ出しをしてしまいました。
彼の活躍を長年見続けてきたBALファンの方々には申し訳なく思います。
一方、今オフは数多のFAに声をかけてはフラれてきたTOR。
はっきり言って選手側から敬遠されているような気がするのですが、それにも関わらずSantanderが多額の後払いを受諾し入団を決めてくれた点については非常にありがたいと思っています。
今後は私の懸念を払拭し、ロジャースセンターでHRを量産する姿を見せてくれたら嬉しいです。
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参考資料