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コンパウンドサクセス はじめました

コンパウンドスタートアップという言葉をここ数年でよく聞くようになりましたよね。

解説記事はLayerX 福島さんの記事が非常にわかりやすいかと思いますが、創業時から単一プロダクトではなく複数のプロダクトを提供し、データを中心にサービスを統合して連携による優位性を持つことだと理解をしています。

カスタマーサクセスの組織体制においても、このコンパウンド戦略に対応できるように概念を整えておく必要があるなと、この半年間ほど考えていました。

複数プロダクトをつかってもらってはじめて提供できる(生まれる)価値がある。その価値提供を実現していくカスタマーサクセスのことをコンパウンドサクセスと私が勝手に呼ぶことにして、それをはじめましたというお話です。

こんにちは!STORES でカスタマーサクセスを担当している陣山です。

STORES 株式会社 はお店のデジタルまるっとサポートする為の STORES プラットフォーム を展開しておりSTORES ネットショップ /決済 /予約 /レジ/ブランドアプリの5つのサービス(2024年1月現在)から成り立っています。

STORES プラットフォームを形成する5プロダクト

これまでの STORES は、一部の横断組織/サービスを除いてはプロダクトカットで組織が別れていてカスタマーサクセス組織もプロダクト別に存在していました。

これまで私がメインで担当してきたのはオンライン予約システムを提供する STORES 予約。

簡単にいうと、自社サービスの予約システムを誰でも簡単に構築することができて、予約に紐づく顧客情報の管理、チケット/サブスクを含むWEB上の決済・売上の管理や、オンラインサービスの提供プラットフォームとしても多くのお客さまにご活用いただいています。

予約という情報に紐づく顧客、決済、サービスの情報をまとめて管理できる、そんなプロダクトです。

STORES 予約 単体プロダクトとしてもこれまで多くのお客さまへ価値の提供をしてきたという自負があります。

同時に、単体プロダクトとしては提供できない価値もあると痛感してきたのも事実です。

例えば「予約時」の情報は取得できても、予約後の「来店時」の情報(購買履歴など)が取得できないことなど、多くのお客さまからご所望されていたことではありましたが単体プロダクトとしての限界がありました。

ですが2024年1月22日から、これまで私が担当してきた STORES 予約 と、私が担当してこなかった STORES レジ による情報の連携が開始されたことで、これまでは出来なかった多くのことができるようになったのです。(宣伝noteではないので詳細は割愛します)

予約システムとひとつになったPOSレジ

カスタマーサクセスとしては、大きなワクワク感がある同時に、大きな不安も押し寄せます。

なぜなら、複数プロダクトによる情報連携が実現するということは、これまでに提供できなかった価値が生まれ、これまで単体プロダクトのカスタマーサクセスとして顧客に打ち出してきたメッセージを大きく変化させていく必要があるからです。

ありきたりかもしれませんが、いわゆる以下のようなことです。

1プロダクト + 1プロダクト = 2 の価値止まり
1プロダクト × 1プロダクト = 10の価値になる

要するに、プロダクトが10の価値を実現できるように進化するので、カスタマーサクセスも10の価値を届けられるように情報インプットを含めて劇的に進化・変化する必要がある。そこにしっかりと向き合う覚悟が必要だと考えています。

単体のプロダクト毎による提供価値

スタートアップでもマルチプロダクトを保有している企業は少なくありません。ただし、単体でのプロダクト単位では当然のことながら、できること/できないことがあります。

以下のように単体プロダクトではできないことを、別のプロダクトを提案することで補えるケースはもちろん多くあると思います。

それぞれのプロダクトでできないことを別プロダクトで補う

プロダクト専任制のサクセス組織の場合、クロスセルを行ない別プロダクトの担当にトスアップするというケースは珍しくないですし、プロダクト横断のサクセス組織の場合は、一担当がそれぞのプロダクトのオンボーディングを行ない、アダプション、エクスパンションを担っていくパターンも少なくないと思います。

どちらが良い/悪いということはもちろんありませんが、いづれにせよお客さまが抱える課題をクロスユースの状態で解決できるのであればクロスセル活動は重要です。

ただし、クロスユースの場合、ID/PWだけは一緒で、情報が連携されないケースであったり、一部のユーザー情報が連携されるケースなどもあると思いますが、結局は互いのシステムを行き来しながら必要情報を都度取得しにいくということも多くないでしょうか?

それだとあくまでも、それぞれのプロダクトを利用しているという状態であり、情報の連携によるプラスαの価値が生まれていないのでメリットを出しづらいかもしれません。
(前述した 1プロダクト + 1プロダクト = 2の価値止まり の状態)

コンパウンドサクセスという概念


コンパウンドサクセスは、クロスユースとは違い、それぞれのプロダクトの情報を連携させることで、はじめて提供できる(生まれる)価値を追求していく。という考え方であると思っています。

例えば、
①:予約システムではWEB上での決済金額が管理できる。
②:レジシステムでは店舗内での決済金額が管理できる。

それぞれのシステムを利用すれば把握できる情報でも、情報連携を実現させたことで・・・

③:レジシステム内で、WEB上と店舗内での決済金額が一元管理できる。さらに、すべての決済状況を作業不要でまとめて管理ができるようにし、リアルタイムで詳細な売上分析を経営と連携できるようになることで、事業戦略上必要なデータが揃うようになる。

この場合は、③を実現して情報の連携による価値を感じてもらうことがコンパウンドサクセスであると思っています。

連携してはじめて生まれる価値を提供するのが「コンパウンドサクセス」

STORES 予約 と STORES レジ の情報連携の場合においては、コンパウンドサクセスとして狙うのは赤枠の部分。

あくまでも、複数の単体プロダクトを使ってそれぞれが出来ないことを「補う」ということではなく、複数プロダクトの情報が連携して提供できる価値を明確にして、それを顧客に対して実現させる。

連携による価値をお客さまに感じてもらうことで経営にとってなくてはならない存在になっていくこと。

このコンパウンドサクセスは当然のことながらハードルが高いです。

特に私のようにこれまで単体プロダクトしか扱ってこなかったCSMからすると、連携させることではじめて提供できる価値を追求していく必要があるので、まずは STORES レジ のサクセスもできるようになるのは当然のこと。

さらにその先の連携部分を特に考える必要があり、さまざまな業務インプットのハードルもあります。

コンパウンドサクセスによる再構築してくこと

さらに、プロダクト連携によって提供できる価値が大きく変化すると、これまでのカスタマーサクセスとしての「やり方」も変化させていく必要があります。

例えば一例ですが・・・

体制の変更:対応範囲が純粋に変化
カスタマージャーニーマップ
再構築:顧客体験が変化
オンボーディング手法/資料/期間:対応方法が変化
サクセスロードマップの再作成:目指すゴールが変化
ライト/ディープサクセス定義再構築:現場&経営視点が変化
業務プロセス再設計:自社内でやること/やらないことが変化

これまでのように単体プロダクトを前提にしたカスタマーサクセスの工程とは違い、複数プロダクトの利用とその情報連携による価値提供を前提にしたカスタマーサクセスの工程になるわけなので、当然のことながらその期間もロードマップも大きく変わってきます。

CSストラテジストの山田ひさのりさんが提唱しているライトサクセス/ディープサクセスという考えをこれまで STORES でも定義づけて行なってきました。

ただ、コンパウンドになると現場で使ってくださる方々も、経営陣の方々も「情報連携による新しい体験やアウトカム」への期待値も変化するはずなのでその定義(どの状態がライトサクセスで、どういう状態が続いたらディープサクセスか?)を再設計していく必要があります。

まさにこのコンパウンドサクセスを2024年1月から着手しており、自分自身本当に悪戦苦闘の日々。

私は STORES にとって、体制を強化した2021年がカスタマーサクセス元年だと思っていましたが、コンパウンドサクセスへのチャレンジが始まった2024年は、カスタマーサクセスフェーズ2 である!と(勝手に)思っています。

今後の取り組みにおいて、このあたりをどのように変化させていったのか?をまた定期的にアウトプットしていこうと思います。

最後に

私の理想に対する活動結果の答え合わせはしばらく先のことになりそうですが、2024年上半期において一定の成果を出してコンパウンドサクセスという言葉をまずは社内で広めていき、解像度を高めていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。


そんなSTORES は2024年も刺激的な1年になりそうでして、カスタマーサクセスを含めて多くのポジションで仲間を募集しております。少しでもご興味ありましたらこちらご覧いただけますと嬉しいです。

私は普段はtwitterに出没しているのでお気軽にフォローしていただけると嬉しいです。

STORES 株式会社
陣山一樹

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