ウクライナの衛星写真の驚き!
物騒なことになってきた。
ロシアがウクライナ国境に軍を集結させていて、アメリカが警告したけど、実際は撤退していないらしい。
衛星写真でそれがわかるとか。
アフガニスタンとかウイグルとかの問題は、イスラム教がからんでいた。これらの問題は根本の所、イスラム教の世界観とどう対峙するかということなんだと思う。
【書肆じんたろ店主の毒になる話】ウイグル問題、ぐるぐるぐるぐる!
【書肆じんたろ店主の毒になる話】アフガニスタン、たんたんたん
かつて、長らくイデオロギーの対立で世界は緊張していた。それが、米ソ対立という冷戦の時代が終わり、イデオロギー対立が終焉したと思っていた。フランシス・フクヤマは『歴史の終わり』なんて本も書いていた。
そしたら、今度はボスニア紛争とか民族と宗教を争点とする問題が勃発した。サミュエル・ハンチントンが書いた『文明の衝突』が予言だったみたいに話された。
そして今は、イスラム教との対峙。
イスラム教は怖いってイメージになってしまっているけど、ちょっと問題の本質は違うように思う。
冷戦下のマルクス主義は、アメリカ型資本主義の帝国主義的な批判や資本蓄積が目的化する資本主義世界への批判で影響力があった。
資本主義で成立する世界の構造を『資本論』的な商品の構造分析で捉えて、労働者が資本家に搾取されることへの批判でもあった。
富める者はますます富み、貧しい者はどんどん貧しくなる世界。その批判だった。
トマ・ピケティの『21世紀の資本』は、1990年代以降もまだまだそういうことが続いているということを証明する本だった。
マルクスの思想が反体制の思想だった。それが今はイスラムの神のもとでは自由で平等だという思想が帝国主義と資本主義へのカウンター思想になっている。
アフガニスタンでは、タリバンが政権を復活させた。イスラム原理主義の勢力が盛り返したことになる。タリバンはイスラム国とは違い、自爆テロなどそれほど過激な軍事戦略を持つ勢力ではない。しかし、イスラムはすべてを包括する考えであり、他の宗教は認めない考えだ。民主主義の考え方は欧米の宗教の一つだと考えている。
そこに、これまでの先進国世界とは交わらない世界がある。
ウイグル問題はイスラム教を中国が中国型イデオロギーから排除している問題。イスラムがすべてを包括するのではなく、中国の領土の中では中国型イデオロギー=中国共産党がすべてを支配するためには邪魔なのだ。
でも、ウクライナはイスラム教の国ではない。
ウクライナ問題はイスラム問題ではない。
では、どういう問題なのか?
ソ連崩壊後のウクライナ
ソ連崩壊後、ウクライナは政治的には多党制の民主主義、経済は資本主義化を進めた。
当然、欧米志向になるのだが、ロシア語を第一言語として話す地域も多く、欧米志向とロシア志向が対立してきた。
軍事同盟のバランスの崩れ
ソ連崩壊以前、NATO加盟国は16カ国だった。
しかし、それが1999年には19カ国になり、2004年に26カ国、今では30カ国になっている。
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00000970X10C22A2000000/
ウクライナとその北にあるベラルーシはNATO加盟国とロシアの緩衝地帯になっていた。今回、ロシアはそのベラルーシで合同軍事演習をしていたのだ。
アメリカとロシアの宣伝戦
今回、もともとロシアは軍事演習をウクライナの近くで行い、それを宣伝していた。
ベラルーシとウクライナをNATO加盟させることは、ロシアにとって喉元にナイフを突きつけられるのと同じように脅威なのだろう。
だからロシアは軍事訓練を宣伝し、威嚇した。
しかし、アメリカはそれを利用した。
ロシア軍が集結している衛星写真を公開したり、小競り合いの様子も報道した。
そのうちどこかでジェノサイドが起きているとか、SNSでもウソとホントのことがなんだかわからない様相になってきた。
バイデンとプーチンもメディアで演説する。
ロシアはロシアで軍事演習が終わったので撤退していると宣伝している。
この報道合戦に、アメリカがウソを流しているのだとまともに批判する人もいる。
しかし、ロシアの国内での動きが軍事合意に違反するとの見方もある。
これらの動きを巡って、ロシア+中国、アメリカ支持国、ヨーロッパの主権主張国でのそれぞれの対応が分かれている。
ドイツの新政権はウクライナへの武器供与を拒否している。
フェイクvsトゥルースのニュースで動く時代?
「柳条湖事件」「トンキン湾事件」などデッチ上げで本格的な戦争になったケースは多い。仕掛けておいて相手のせいにするやりかただ。
今はテクノロジーが進化したので、衛星写真で戦車の動きもタイムリーに見せることもできる。しかし、その解釈はホントのところわからないし、写真をいじって現実を変えてしまったりもできる。
衛星写真で動きが分かっても、両国の主張を裏付けることは難しい。
オープン・インテリジェンスの新たな手法
今回のアメリカのやり方を新たな戦略だという解説もある。
アメリカがこの手法に踏み込んだのは、オバマ政権時代に動けなかったクリミア、ドンバス問題があったからだという。
と、この記事の著者は書いている。
でも、これは新たなことなのか?
イラク戦争の前に、イラクに大量破壊兵器があると国連でアメリカのパウエル国務長官は演説した。
それはCIAが作った資料をデマに利用しただけだった。その裏にはネオ・コンと言われる大統領府の好戦派の勢力に仕組まれたことだったとも言われている。
パウエルは著書でそのことを「人生の汚点」だと反省していた。
ウクライナ侵攻はデマかいな?
新たな戦略でもなんでもない。
デッチ上げ、曲解、誇張。
軍事政策上よくあるやり方なのだ。
ホントのことをニュースから見破るのは市民のメディアリテラシーの問題なのだろう。