人生談義

生存が優先され、生きるということが忘れられて久しいと思います。そんな時代に生きる筆者が、合理性で目がくらんでしまいそうな日々の中で、ふと思い出したことを綴っています。

人生談義

生存が優先され、生きるということが忘れられて久しいと思います。そんな時代に生きる筆者が、合理性で目がくらんでしまいそうな日々の中で、ふと思い出したことを綴っています。

最近の記事

"善きこと"が決められる世界 -レジ袋有料化から-

寝耳に水のレジ袋の有料化。こんな時代にあって、惜しげもなくレジ袋をタダでばらまきまくる近所のスーパーがあった。その「我が道を行く」的なぶっきらぼうな姿勢が好きだった。 でもそんなスーパーも、ついに有料化。。そりゃそうか。。。 有料化が目指すのはレジ袋の削減だろう。それはきっと地球環境のためなんだろう。そしてそれは、持続可能な社会を目指すためのステップなんだろう。 「そんな些細なことで、本当に地球環境は救われるのか?!」とかいいたい気持ちもあるが、それはひとまず置いておこ

    • ただあるということ、隠してしまうということ

      星空の見える露天風呂で思ったこと。 温泉の湯気で星空が隠れてしまう。湯気は生命そのものだと思った。その移ろいやすさや、得体のしれなさから、そんな気がした。お風呂からあがった子供たちから立ち上る湯気はまさに生命そのもの。 雲も生命だと思った。湯気よりもゆったりとしてはいるが、やはりその時々刻々と変わっていく様は、大きな生命という感じ。 星空は変わらない。ただいつまでもそこにある。星空に神話や死者を見るのは、真実だと思った。死者は変わらない。彼らはもう動かないし、喋らない。

      • “罪”というもの

        人が犯す罪や冒涜は、どんなものでも赦される。 しかし精霊に対する冒涜は許されることがない。 (マタイ 12:31) 目のきれいな人に会うと、罪について考えてしまう機会が多い。 罪は犯罪と重なり合ってみえる場合も多いが、それらは明確に別物だろう。犯罪は法律に対する振る舞いの結果だが、罪は人に対する振る舞いの結果である。生涯有罪と宣告されなかった人がいたとして、それはその人の罪の有無とはまったく関係がない。 犯罪が生まれるためには、法律という、合理的で一般的な性向への志向が

        • 温暖化と場の空気

          地球温暖化と人間の所業のかかわりは、たぶんもう誰にも正確なところはわからない。それはあまりにも大きなビジネスになってしまった。 万が一「温暖化と人類には相関性が見られんかったわ~」なんてことになれば、将来的にオマンマ食い上げの人が世界にはいっぱいいる。排出権を商売にする人々もいれば、温暖化対策のための新技術を売りにするメーカーもいっぱいある。 そして彼らと密接に連携して仕事をする研究者も、きっと星の数ほどいる。そうした人たちなら、温暖化を力説するための客観的証拠というもの

          心の次元の増加

          中高生くらいの頃、大人には何か足りないと感じていた気がする。何というか、似てはいるけど、感性が一つ足りないのだ。子供にとっては大切な何かが。 子供は大人の真似をするのが基本だが、その中で、大人には理解されない・感知されない何かを生み出していく。自分たちに影響を及ぼそうとする大人たちの振る舞いを無力化するために。 それがいいことか悪いことか、とかは関係なく、ただそうしていく。自分たちにあんたたちの価値規範は通用しないのだ、そんなダサい人間にはならないのだ、ということを証明し

          心の次元の増加

          ツールと魂

          言葉を意思疎通の道具とみるのか、コトダマの宿る神秘的な何かとみるのか- 特に後者は、現代人にとって理解することが極めて難しい感覚だ。太古の昔においては、人は自分の本当の名を他人に知られてはならなかったという。それは他人によって支配されることに直結していた。 かたや、人と人との関りをコミュニケーションと呼ぶ現代人にとって、言葉はコミュニケーションのためのツールだ。ツールは基本的に目的達成のために取捨選択されるものであり、その目的内容のいかんにかかわらず、基本的に合理的な傾向

          ツールと魂

          マスコミの「取材力」-週刊文春の黒川検事長すっぱ抜きから-

          ここ数か月、茶番劇の渦中の人だった黒川検事長が、賭けマージャンですっぱ抜かれて辞任するというコント漫才。黒川氏自身については、思ったよりアホだったなという以外には、特にない。 すごいと思ったのは、週刊文春のスクープ力だ。よきにつけ悪きにつけ、最近の耳目をさらったスクープで、週刊文春以外の名前を聞かない。この国にはもっと規模の大きいマスコミがいっぱいあるはずなんだが、他はほとんど聞かない。なんでそんなことになるんだろう?? 確かに文春はゴシップ紙だし、人の弱みを突く、みたい

          マスコミの「取材力」-週刊文春の黒川検事長すっぱ抜きから-

          常識と真理

          常識とは、ある時代のある社会で、人が知っておくべきこと・身につけておくべきこと、という指針に近いようなものです。道徳も似たようなもので、人はどのように振舞うべきか、という指針に近いと思います。 常識は人間または人間社会によって生み出されるものです。比較的長い年月の中で生み出されたものは伝統と呼ばれたりもしますが、人間によって生み出されたことに違いはありません。 それゆえ、時代が変われば変化もしますし、場所が変わっても変化します。ある文化では男性の仕事とされていることが、他

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