ミュージカルロミオ&ジュリエット感想 #ロミジュリ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142083175/picture_pc_785efe21faa4fba9bde1e259093862ad.png?width=1200)
東宝/ホリプロ/梅芸版ロミジュリを見てきました。感想書くか迷ってたんですけど、アウトプットが大事って言うし、2回目見る前に初見の感想をメモも兼ねて連ねていきます。ちなみにこのバージョンのロミジュリ自体が観るの初めてです。
大筋のストーリーは有名なので省きますが、私が今作で一番目に止まったのはジュリエットを演じる奥田いろはさんです。失礼ながら、乃木坂の子と聞いて、たとえ歌が上手くてもミュージカル歌唱はイマイチな感じなのかな〜と舐めて掛かっていたのですが(申し訳ございません)とても素晴らしかったです!
歌はもちろん上手く、初々しく瑞々しい演技がジュリエットにぴったりで本当に可愛くて気が付いたらジュリエットを双眼鏡で追い回していました。本当に可愛い。
初めての恋だからこそ、無限に愛の力を信じることが出来る、若いからこその無鉄砲さというか無知さというか……そういうジュリエットの演技が眩しくてキラキラしてて儚くて……素敵でした。
演技自体はジュリエットにはピッタリだけれど、まだまだかな?と思うところもありましたが、先がとっても楽しみな役者さんに出会えて感無量の気持ちです。まだ18歳ですって!ニューヒロインの誕生ですね!最高!
小関ロミオは、普段テレビを一切見ないのとたまたま観る作品が合わなかった関係で演技している姿をテニミュの菊丸ぶり(12年ぶりらしい)に観たのですが、本当に演技も歌も上手くなりましたね!?
柔和でいつもにこにこしていてみんなの中心にいるけれどどこか掴めない……彼の心はここでは無いところを見ているのではないか?というようなロミオがジュリエットに出会ってから、世界が色付いたように動き出して、愛のために生きるようになる。ジュリエットに出会った瞬間の、世界の輝きというのが演技から伝わってきて、もう、好き。
キスシーン双眼鏡で凝視オタクになっちゃった。
このロミジュリは初演が宝塚で、アレンジが加わって東宝/ホリプロ/梅芸版ロミジュリになったそうですが、宝塚でやっていなくても曲やダンス、台詞回しといった随所に宝塚の波動を感じました。
役者さんの演技ぐらいですね、宝塚っぽくないのは。
宝塚版と違うらしいのですが、舞台設定がかなり謎でした。荒廃した近未来だかなんだからしく、舞踏会をやったりジュリエットなど女性陣の服装は中世の貴族っぽいのに窓からは高層ビルが見えています。
ここは良いとして、気になるのは劇中でスマホが出てくるところです。
例えば、ロミオとジュリエットが出会った後、連絡先を聞くシーン
ロミオ 「LINEやってる?連絡先交換しよう」
ジュリエット 「スマホはパパに取り上げられたの!それに16歳だからパパ管理なの。連絡先の交換は無理よ」
うーーーーん……微妙すぎる。まあここは笑えるシーンなのでまだ良いんです。
問題は終盤のロミオが国外追放になった場面。ロミオは国外追放になった後、治安の悪そうな酒場を彷徨いてます。ジュリエットという妻がいるのにそんなところうろつくなよ。そしてうっかり鞄をパクられ、スマホを紛失します。
ベンヴォーリオがそこに駆けつけ、ジュリエットが死んだことを知ったロミオは慌てて国に戻ります。そしてジュリエットが死んでいる(仮死状態)のを見たロミオは嘆き悲しみ毒を飲んで自死。
仮死状態の薬の効き目が切れ、目覚めたジュリエットを待っていたのは死んでいるロミオの姿。ジュリエットも自刃し二人はあの世に……。
そこに神父様が現れ『ロミオ!なんてことだ!メールを送ったのに!メールを見ていればこんなことには……!』
……信じられないぐらい、冷める。
泣けるシーンなのに、神父の台詞を聞いた瞬間涙が引っ込みシラケた顔になる。それぐらい、最悪。
ロミオがスマホをパクられた理由も理由だし、メールを連呼されると一気に空気がぶち壊される。なんとかならないか?
演技は素晴らしいし、やっぱりロミオとジュリエットは不朽の名作なので内容は素晴らしいのですけど、意味不明のアレンジが全てを打ち消すのが、辛い……。何公演か入れば慣れるんだろうか……。
乳母やモンタギュー卿の主張もあまり理解出来なかったですね。乳母は「お嬢様の幸せがいちばん!」とジュリエットの味方をするような事を言っている割に、パリス伯爵が金目の物をチラつかせると一気に「パリス伯爵と結婚すべきです!」と言い出したりするので一貫性が無い。
大切に育てたジュリエットが、ティボルトを殺し国外追放された住所不定無職のロミオと添い遂げるのは不安というのは理解出来ますが、パリス伯爵は金銭をチラつかせてジュリエットをモノにしようとする下品な男なのでそれを勧めるのもどうなのか…。
私がもっといい男を見つけてみせる!ぐらいのガッツを持って欲しいところです。
モンタギュー卿も、血は繋がっていないけれどジュリエットのことを大切に思っている……と言いつつも、パリス伯爵との結婚を押し進めているので「本当かよ?」感が凄い。
結局みんな「私はジュリエットの一番の幸せを考えている」と思うことに酔っていて、誰もジュリエットの幸せは考えていないのかな……という気持ちになりました。
ロミオとジュリエットは不朽の名作だけあって、本当に見応えがあって面白い作品ですね。オリジナル設定にモヤモヤはしますが、それでも面白いから凄い。
次劇場に行ったら、世界観が理解出来るようになることを祈ります。