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『人生すごろく』で紡ぐ物語 #002

皆さん、はじめまして。
私たち『人生すごろく』は、サイコロを振り、コマを進める際に、カードを引きます。その自らが引いたカードに書かれた質問に答えていくことで、すごろくというゲームを楽しみながら、互いの人生の物語やキーワード、大事にしていることを知り、相互理解とよりよいコミュニケーションにつなげようというプロジェクトです。

詳しく知りたい方は、こちらの第一話をご覧ください。




紡がれた物語 #002

現在、プロトタイプを制作中の『人生すごろく』。制作しながらもリアルな場でも、オンラインでも体験会を行っています。そして、体験会から得た意見、感想、アイデアなどをフィードバックして、よりよいものにアップデートしていこうと思っています。

今回は、昨年の秋頃に高齢者の皆さんが集まる「つどいの場」で行った体験会で出会った、ステキなエピソードを紹介します。

このnoteでは人生すごろくの宣伝というより、人生すごろくを通じて出会ったエピソード、紡がれた物語を記録/保存しすること、そしてあわよくば、誰かに届いたらいいなとという思いで発信していきます。


子どもの頃、打ち込んだことは、、、防空壕へ

80-90代の地域に暮らす皆さんと、集会所で『人生すごろく』して、紡がれたエピソード。昭和1桁生まれの女性が引いたカードはこちら。

「打ち込んだものなんて、ねぇなぁ」

「じゃあ、夢中になったこととか一生懸命やったことってあります?」

防空壕に逃げたことだな


・・・・・・・

思わず、息を飲んでしまいました。
子どもの頃や学生時代のエピソードを聞き出すために用意したカードで、まさか「防空壕へ逃げたこと」という回答が出てくるとは思いもしませんでした。この驚きは、私たちプロジェクト側の世代認識の甘さによるものですが、プラスに考えれば、多くの世代間のギャップや認識や価値観のズレを互いに理解することにも、『人生すごろく』はワークするのかもしれません。


子どもの頃の夢は、、、

続いて、別の方が引いたカードはこちら。


子どもの頃の夢は、おなかいっぱい食べることだな」

これまた、昭和1桁生まれの方の戦争中のお話です。
とにかくお米が貴重で、かさ増しするために大根を入れて一緒に炊いたと話せば、一緒にすごろくしているみんなで、「じゃがいもも入れた」「さつまいもを入れて炊いたのはおいしかった」などなどステキな脱線で、話に花が咲き、盛り上がりました。

単にカードを引き、書かれた質問に答えるというのを淡々と進めるより、「私はこうだった」とか言って、別の誰かが自分のエピソードを話したりして、どんどん脱線していった方が、一つの質問で複数の方のエピソードと出会えるし、すごろくを一緒にやっている皆さんの仲もどんどん深まっていくように思います。

『人生すごろく』は、積極的に脱線することがオススメです。


「死ぬ前に食べておきたいものは、、?」

『人生すごろく』は、元々は「人生会議」や「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」を、より楽しみながら多くの人に取り組んでもらうためにはどうしたらいいか?という問いから始まったプロジェクトです。

なので、先にあったような質問、干支や血液型を訊くような軽めの質問だけでなく、中には、このような「死ぬまでにこれだけは食べておきたいものは?」といった、一瞬「えっ」と思うような質問もカードには含まれています。

「人生会議」とは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のことです。

厚生労働省HPより

ACP(Advance Care Planning)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みのことです。

日本医師会HPより



で、このカードを引いた人生のパイセンが一言。

「死ぬ前っていうのは、人間誰しもそんなに食べれる状態ではない。だから、元気なうちに、好きなものをしっかり食べておく。以上!」

ピシャリ、痛快ですw

こちらの質問の意図するところを、常に軽々と飛び越えていきますw.
さすが、人生のパイセンたちです。

でも、ステキな回答ですよね。人生の最後の状態というのを既にイメージされている。多くの方の人生の最期を見つめてきたからこその経験から回答だなぁと思いました。


今回は、80-90代の人生の大先輩たちとお送りした中から出会ったエピソードのいくつかをご紹介しました。

幼少期に戦争があったということ、人生の最期の状態をイメージされていることなど、私たちにとって改めての大きな気づきがたくさんありました。また、世代間のベースとなる体験や経験/価値観などの違いを、「ジェネレーションギャップってあるよね」という言葉で済ますのではなく、具体に違いを知り、理解し合うツール/プロセスとしての『人生すごろく』のバリュー/可能性についても発見することができました。

これからも、様々な現場/様々な年代/様々な職種や組織で『人生すごろく』を展開していこうと思います。


ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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