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大谷選手の活躍がつくる後続へのハードルと、その先にある裾野の広がりという兆し

日経電子版で記事を読んでいると、ほぼ毎日のようにメジャーリーグのエンゼルスで活躍する大谷選手に関する記事が流れてくる。日経って、経済メディアだったよな!?と思ったりする昨今。それだけ大谷選手が経済にも与える影響が大きいという理解ですが、いやはや凄い。

8月で期間を絞って検索してみたところ、大谷選手だけで100本近い記事が上がっている。以下はその一部。

凄いのは、単純に活躍の有無を伝える記事だけでなく、名前が引用されること。それだけ多くの人にとって、大谷選手は共通言語なのだ。

いくつかの記事を読む中で、個人的に特に気になったのが、以下の記事内の

同じメジャーリーガーで、オールスターにも出場していたフレディ・フリーマン選手(ドジャース)のコメント。

「米国にももちろん、高校、大学までなら、二刀流選手はいる。ここにいるオールスターの連中なら、みんなそうだったんじゃないかな。俺だってそうだった。でも、いろんな理由でそれをあきらめる。俺はケガをしたけれど、先が見えない、ということが一番大きい。でもこうやって、大谷がその先にゴールがあることを示してくれた。これで将来、才能のある若い選手が、どっちかに絞らなければいけないと、自分で限界を決めなくてもすむんじゃないだろうか。もう、どちらかに――という考えは、時代遅れかもしれない」

ちなみに上記のコメントは1年前のオールスター。その1年後、フリーマン選手に、1年前の上記の質問を覚えているかと聞いた際に返ってきたコメントが以下(記者の質問部分を抜いて記載する)で、やり取りには続きがある。

「確かに扉は開いたと思うし、若い選手が、二刀流を目指す流れはできたと思うけど」

「かといって、あんな選手出てくるかな? 1年見て思った。あれは、別格。世代に1人、出てくるかどうか」

「二刀流選手を育成する流れを否定するつもりはない。どんどん、トライすればいい。ただ、第2の大谷を育てられるかといったら、違うんじゃないかな。あんな選手が、次から次へと出てくるとは思わない。おそらく、大谷を基準にしたら、すべてが失敗となってしまう。かといってそれで、『やっぱり、二刀流は無理だね』と決めつけるのも違う。とにかく大谷は、別として考えなくては」

この一連のやり取りは、スポーツ以外の世界にも通じる。

例えばビジネスの世界において、高度経済成長期やネット全盛期ふくめ、今の大企業やITメガベンチャー企業をつくった事業やサービスも、企業内で活躍し続ける個人も

過去に類を見ない活躍や成果であればあるほど、知らず知らずのうちに、その前例は周囲やその企業にとって高いハードルになり得る。(もちろん大谷選手の活躍と単純に比較できるものではないが)

働き方も本業にとどまらず副業兼業が、働く場所もオフィスに限らずリモートワークが、なんなら働くと繋がる暮らす場所も職住近接以外の地方で働きながら都市部の企業で働くなどの事例が、少しずつメディアなどで記事になっているが、どちらかと言えば、それらの記事では良い成果や成功体験のほうが語られる。

ただ、そういった類を見ない活躍や成果、新しい挑戦が生まれるからこそ、その先の未来で個人はどう変化し、挑戦していけるかを同じメジャーリーガーで大谷選手と同じく二刀流に挑戦したことのあるマイケル・ロレンゼン選手(エンゼルス)のコメントが教えてくれる。

「先発して、指名打者でスタメン出場するとか、そういう形にこだわるのではなく、守備固めで出場する先発投手がいたり、柔軟な起用が増えれば、さらに二刀流の裾野は広がるはず」

そう、大谷選手が切り開いた道によって、着実に裾野は広がっている。事実、下記の記事内にもあるように、野球人口が増えるといった競技としての兆しも出ている。

大会を主催する日本高等学校野球連盟が7月に発表した「令和4年度加盟校部員数調査」に興味深い数字があった。
他のスポーツ同様、硬式、軟式とも加盟校、部員数の減少が続いているが、硬式の1年生は4万5246人で、昨年より382人増えた。新入部員の増加は8年ぶりだそうで、さらに3年生まで続けた継続率は92.7%と、1984年の集計開始以来最高をマークした。

「令和4年度加盟校部員数調査」

スポーツの世界であれ、ビジネスの世界であれ、二刀流を目指すもよし、二刀流を目指した結果として変化し新たな道をつくるもよし、何か一つを深めていくもよし。大谷選手の活躍は、個人に様々な道が開かれ、裾野は広がっていく中で次が生まれていることを示している。

それでは今日はこの辺で。興味あれば、noteはもちろんTwitterなど含めて、フォローやコメントいただければ幸いです。


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