”岩手の巨人の骨”は虚偽記憶によるマンデラ効果か?
※先に断っておきます。下の画像はフェイク画像です。
事の発端は2008年の岩手・宮城内陸地震。NHKのヘリが岩手県一関市の磐井川で起きた崖崩れ現場を上空から実況中継していました。それから後、いつからかは不明ですが、この”巨人の骨”が写った画像がネットで拡散されはじめました。
すぐにこれは吉野ヶ里遺跡で発掘された普通の人骨の写真をNHKの映像に合成したフェイク画像である事が特定されました。
と、ここまではよくある話です。
しかし2017年頃から、奇妙な投稿がネットに出回り始めました。この件を紹介するYouTubeの動画のコメント欄などで「私はそのNHKの中継をリアルタイムで見ていた」という人が続出しはじめたのです。その数は一人や二人ではなく私が軽く確認しただけでも数十人。2023年現在でも、そのリアルタイムで見たと言う記憶をコメントする人がいます。私は昨日たまたまそのコメントを読んで、事実関係を調べた結果、この現状を知ったクチです。
たとえば次の動画のコメント欄にもそういった方々がコメントを投稿しています。
コメント欄からいくつか引用します。
「フェイク画像は、巨人の骨の話題を鎮静化させるためにわざとフェイクだとすぐにわかる画像を作ってネットに出回らせたのでは?」という意見も見られました。
ここからは私の推測です。
リアルタイムで見ていたという人がこれほど多い割に、そのソースとなる映像がどこにも無いのが変です。もし本当にNHKの生中継に写っていたなら、録画していた人も何万人といるはずなので、一件もないというのはおかしい。
そして、もし本当に生中継に骨が映っていたなら、2008年当時からネットで大騒ぎになっているはずですが、そういった話も特に聞いたことがありません。私はこういう話が大好物なので、もし当時からあったのならどこかでその話を見聞きはしているはずです(笑)
「生中継を見た」という人は、それから少なくとも数年が経ってから現れ始めているのです。
これらの事から、この巨人の骨の真相は、偽の記憶を不特定多数が共有する現象、俗に言うマンデラ効果である可能性が高いと思います。
例えば、巨人の骨のフェイク画像をネットで見た時に「巨人の骨は本当にあったと信じたい」と漠然と思っている人が、しばらく経ってから「NHKの生中継に巨人の骨が映っているのを自分が見ている」という夢を見たとします。それからさらに時間が経ち、それが夢だったのか現実だったのという記憶自体があいまいになる事があります。そういう人がネットで「私は中継をリアルタイムで見ていた気がする」と投稿したとします。同じようにして曖昧な記憶を持つ人が、その投稿を読んで「やはりあれは現実だったんだ」と確信を持って「私はリアルタイムで見た」とネットに投稿します。こういう流れで偽の記憶は増強拡散されていくのではないかな、と私は思っています。
実はこれと全く同じようなケースが日本にもう一件あります。それは千と千尋の神隠しで、実際の映画とは異なるシーンを見たという記憶を持つ人が多数いる、という事例です。
こちらはかなり知られている噂なので「千と千尋の神隠し マンデラ効果」などのキーワードで検索すると色々情報が出てきます。
この岩手の巨人関連のネットの投稿をクロールして、初出日や情報の広まり方の詳細を明らかにできればより具体的にこれが虚偽記憶である事の証明になると思いますが、さすがにそこまで暇ではないのでできません。
心理学専攻の学生さんあたりがそれを調べて、虚偽記憶の共有と拡散に関する論文として研究発表してくれないかな〜?