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だいこん1本が1000円で売られる日が来ないでほしいのだが…
はじめに
今後の貿易はどうなるかわからない。世のなかは混迷をきわめる。米は数字上は国産でほぼまかなえているはずだが、実情はどうだろう。7割が国産のやさいもしかり。
きょうはそんな話。
やさいを売るほどつくってみて
現在はやめているが、以前に農業でやさいづくり、くだものづくりをやっていた。残念ながら米をつくりたかったがつくれる場所でなかった。その経験から肥料なしではやっていけないことは明白だった。人手不足はあたりまえでこればかりはどうしようもない。くふうでしのぐしかない。
今後を考えて燃料の必要な機械を使わず、さらに燃料で加温するなどの方法を選択しないやさいづくりだった。すべて自分さえよけいにうごいてはたらいて済ませばどうにかなる。一人力。
できたやさいを市場にもっていけば安く買いたたかれるのは必定。かけた労力のおそらく10分の1にもならない価格になってしまう。むしろ自家消費用として食べたほうがマシなぐらい。やむなく手間ひまはかかるが販売所へ持ち込む。これでようやく肥料が買えてヒトひとりがかつかつ食べていける程度。
肥料を考慮すると
国産・地元産・ネーム入りで買っていただけた。販売所でお客さんと話すとよくわかる。安心して食べたいとおっしゃる。でも肥料はどうだろう。じつは肥料(有機肥料はべつ)の原料のほとんどは輸入(農水省の資料)。
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https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/monthly/attach/pdf/r4index-98.pdf
しかもその輸入元は何かあるとどうなるかわからない某国などに由来する。ということはほぼ国産でまかなえていると公的には言われている米ですら肥料に目をむけると意味あいがちがう。
つまりは輸入肥料がストップしてしまうととたんに米だけでなくいずれの作物もいままでどおりには作れなくなる。これは必定。つくってみればわかる。堆肥・有機肥料重視でおこなったが、いまは長く農業につかいつづけた豊かな土地でも2年、3年と無肥料もしくは低肥料でそだてようとすれば、結果はみるまでもなくあきらか。
つまりは
あくまでも私見にすぎないが、このクニのヒトビトを立ち行かなくするのは意外とかんたんかもしれない。いまの最大輸入国の意向などで肥料輸入が止まると、国内の肥料の在庫があっても高騰するだろうし、代替国を見つけるのは容易でない。
たいていそんなクニグニはいまより遠いはずだし、運搬コストは跳ね上がる。肥料のコストがあがると作物の価格はいずれ高騰し、いまの市場システムのままならばその作物の流通は消費は低迷し滞りがちになるだろう。
輸入は…
じゃあ、やさいそのものを外国からもっと買えばいいという声が聞こえてきそう。もちろんそれも一案だが、はたして外国からの肥料が止まる状況下で生鮮やさいを安定的に輸入できるだろうか。
取引先のクニの意向ひとつで右往左往する状況が容易に想像できる。この事態にそなえることは杞憂だろうか。それとも思っている以上に重要なのではと思う。燃料に関しては原油のかたちではあるが国家備蓄によりかなりの日数は持ちこたえられるらしい(これとて安定に供給できるかどうかはべつの問題がありそうだが)。でも肥料となると…。
安全保障とは
このクニのまわりは海。隣国とは海をはさんでいるためおたがいに交流をつづけないとあっさりと息の根を止められてしまう。弱みをみせたままでいいのだろうか。欧州のあるエネルギー資源のとぼしいクニは、迅速にべつのクニへと取引先を変える政策を選択した。この国でも食料の自給率はわがクニよりもずっと高い。見習わなくてよいのだろうか。
世界のクニグニからはおそらく呑気そうに見えているにちがいない。もちろんそれなりにできる範囲での外交努力は見えないところでおこなわれているのだろう。それには感謝したいしあたまがさがる。
ふしぎな国
このクニをすこしひいて第三者的な立ち位置からながめると、首をかしげるところがある。総じて楽観的、あるいは懸案についてはあえて目をつぶり思考停止のようにふるまうかのよう。わたしたちは為政者やその周囲からそんなふうに手なづけられているかのよう。
どうも自らの生活を自己責任でもって維持しようとか、持続可能にしていけるようにしようという気概が為政者やその周囲から見えてこない。あるいはだまってヒト知れずに粛々とやることなのだろうか。
懸案が多すぎてひとつひとつ手がまわらないのだろうか。国民全般に関係しこれだけやってますと宣伝してもよさそうなものの代表格なのに見えてこないからやはりふしぎだ。
おわりに
一例をあげると農水省などは食料の輸入停止の際にイモを食糧供給の候補にあげている。
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たしかに救荒作物として候補になりそうにみえるが、状況はおもわしくない。
たとえば西日本の産地ではサツマイモ基腐病に感染し、つくれないはたけがひろがりつつあり、対処に追われている状況。もちろん耐病性のある代替品種やメリクロン苗などの配布など地道な努力はおこなわれているが、なかなか手間ひまがかかっている。そんなに臨機応変にかんたんなことではない。
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