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発表用の図表を描くアプリケーションソフト自体はそれほど変化していない気がする


はじめに

 20数年前に学術論文を投稿していた頃はひと月に1報近く執筆していた。講座では学生や院生たちをかかえていたので、それだけの成果がつぎつぎにたまってくる。

それをこちらで見直して追試し、ときには補って内容を充実させてようやく投稿論文へと仕上げる。ふたたびその世界でお手伝いをするしごとに就いている。ひさしぶりの論文の執筆のプロセスで気づいたこと。

きょうはそんな話。

そんなに選べなかった

 学術論文を文章だけで記すことはまずない。そこには実験データを見やすくまとめて内容の理解をよりよくすすめるためにさまざまな図表を添える。データを見やすく整理し、適切な統計処理やすっきりしたデザインをほどこすうえで、支援してくれるアプリケーションソフトが求められる。

四半世紀前はそれほど多くなく、いずれも改良途上であまり選べなかった。

科学の用途にそこそこ使える仕様のソフトは高価で、アカデミックユーザーですらなかなか手が出なかったし、入手できたとしてもほぼかならず満足のいかない場面に遭遇するものだった。結局手書きのほうが早いとか、従来からあったロットリング(手書きをおぎなう用具類)やタイプライターのほうがてっとり早いといったことも。

過渡期だった

 言ってみればそんなアプリの登場しては消える過渡期だった。それから四半世紀がたちそれらはどうなったか。かなり淘汰が進んだかというとそれほど変わっていない印象のほうが強い。

あくまでも私見だがどちらかというと、インターネットを介したデータのやりとりが多少充実したのと、データの「化ける」のを避ける手法がすこしだけ増えたぐらいだろうか。

ひさしぶりにそんな印象をもった。学術論文を書くうえで文章のほうはここ数年でAIIのさまざまな支援をもらえるようになり格段に進歩したように感じるが、はたしてそれに付随する図表のほうはどれほどまともなサポートが受けられるといえるだろう。

あまり変わらない

 印象としてそんなに図表を描く手間は変わっていない。というよりほしいところに手が届いていない気がする。もちろんわたしの勉強やサーチの足りないところはさておき、これに従事する以上はもっと目にしてよさそうなものだが、その情報すら入手できないでいる。

もしかしたら世のなかにはすでにあるのに、まだ認識していないだけだろうか。それとも文章の支援ほどにはまだ開発できていないのだろうか。こんな図表をこのノートの元データからつくりたいと命令したら、「こんなのはどうでしょう」と知らせてくれる。まさにそんなサポートをしてくれる時代は訪れるのだろうか。

よくばりすぎか

 「それぐらいいまのアプリでなんとかしろよ。」という声があちらこちらから聞こえてきそう。たしかにそのとおりだし、なんとかしたい。方眼の記録紙に打刻したデータをよみがえらせたいけれど、描き直すにはどうしたらいいのだろう。そこで行き詰まっている執筆中の論文がある。

まずはこれからなんとかしないと。最悪の場合、手書きのトレースでも受理されるものだろうか。結果的に改ざんにしてしまいたくはないし。

おわりに

 ヒトの欲には限りがない。わたしとて同じ。いかに楽して済ませようか。そればかり考えている。

とはいえデータはたまっていくばかり。つぎつぎと投稿しなければならないデータがたまっていくばかり。ああ、なんとかしないと。日々そればかり考えている。


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