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郊外に新築の家で25年 さいわいにもほぼクーラーを使わず住んできて


はじめに

 猛暑がつづいている。家を建ててから4半世紀。建築当時、すでに断熱材について一般化していた。

たしかに屋根と壁には断熱材を入れたが、それ以上にあくまでも快適にすごせる家を作るうえで気をはらった点、じっさいに住んでみての感想をいくつかメモしておく。

つくりとしては従来工法による木造平屋。ごく平凡な間取り。

あくまでも個人の感想であって、自己責任にてお読みいただきたい。


夏を中心に考えた

 むかしから家づくりはいろいろポイントが言われてきた。温暖な西日本に家を建てようと意図したので長い夏を中心に考えた。はっきり言って温暖地の冬の期間はそれほどのことはない。以下に記したように何とかしのげる。

その一方で、長い高温多湿の夏をどうやり過ごすかを重点的に考えるべきと思った。すでに温暖化については進むだろうと25年前の時点で思っていて、それでもなるべくエアコンに頼らないこころづもりで臨んだ。

当時は高断熱の家という概念はまだ情報として持ち合わせておらず、従来の標準的な技術をもちいる注文住宅でやれるだけのことをやろうとした。

さいわいにも郊外で土地の形状が比較的まとまっており、間取りをさほど気にせず自由につくれた。そこでつぎの3点を「風通しのよい家」とするべく設計の中心においた。

(1)各部屋に外部との窓あるいは出入り口を2か所以上設けること。
(2)基本的に開口部の上部ないし下部に風を通すための小窓(格子つき)を設けること。
(3)家のなかに湿気がこもらないように床下を高めにしたこと。

空気の流れが滞りそうな中廊下のはしや勝手口を採風引き戸とした。仕切りの多い各部屋の出入り口を自在に開放すれば、風が自由に吹き抜けるだろうと考え、設計士に相談しその方向で設計を依頼した。つまり基本的にどの方角から風が吹いても窓や出入り口から通りぬけるようにしたかった。

ただし、やみくもに窓を増やすのは禁物。家の強度は相対的に下がるし、窓が多いと費用が増す。やはり専門家の設計士に確認したいところ。


風がよく通る

 では実際の家ではどうか。一言でいうと風通しがいい。窓を開け放ち(もちろん網戸で)、家のなかで1日すごすと風がどの向きから入ってくる(出ていく)かよくわかる。

午前中は東から海風が入り、昼間のしばらくは凪となり、夕方にかけて西寄りの山からの風が吹きおろしてくることが多い。西風については西側の部屋でもちろん感じやすい。季節や時期によりこれが南よりになったり、北よりになったりする。

つまり年中いずれかの部屋にいて風を感じることができる。ただし台風の襲来時のもっとも避けたい風向きと、吹返しの大風は家の角の方向にして耐えられるように開口部をもってこない、あるいは小さめの開口部とした。もちろん外部に接する窓にはいずれもサッシ製の雨戸(鍵つき)を採用。

もちろん室内の場所により空気の流れには強弱がある。しかし、ウォークインクローゼット内でも空気の流れのあることはさいわい。とくに梅雨時などのカビは避けたかったので、なによりだった。


冬はどうか

 もちろん、真冬は外部との窓は基本的に閉じているので、風はさえぎられ、むしろ思いっきりとった南側の広縁にたっぷり陽がさすようにした。

ちょうど広縁の幅は本間の畳の1間に相当し、広縁とふちと部屋の入り口付近まで直射日光が入る。たたみはあまり陽にやけない。

冬の間の縁側が陽だまりとなり暖房せずとも温かい。ほぼ真冬の日中はここで過ごせる。


おわりに

 どちらかというとエアコンを使わないで済むならそうするほう。郊外なのでヒートアイランドなどはまれなはず。街の中心と比べるとだいたい1~2℃は低い。それでエアコンを控えることができているともいえる。

もちろん仕事先など他の方が利用する場ではエアコンを使う。家づくりに関して他の方にこうした方法を勧めるつもりは毛頭ない。考え方は各人多様だし、温暖地でも冬の寒い時期を主に考えることだってあるだろう。

風通しがよく、どの部屋でも風を感じられる家は使い勝手もいいと気づいた。いろいろな経路で行き来ができて楽だ。これは使いはじめて気づいた。もちろん仕切りには引き戸やふすまを多用して、開け放してかまわない場所はつねに開けておく、夏の時期ははずして広い部屋として使える。

デメリットをあげるならば、引き戸が多いので戸車の動きやふすまの滑りをつねにメンテナンスすることだろうか。戸車はよく使う場所から順に自分で新しいものに変えている。

ふすまは歪みを修正したり、かんなでわずかにけずり直したりしてスムーズな開閉となるようにしている。すべりをよくするテープも利用している。

むしろ数少ない外開き戸のトイレのドアの蝶板にたびたび手を入れている。これは想定内。やはり可能な場所ならば引き戸のほうがメンテナンスの機会はすくないと感じる。


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