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著作権法を学んだら、奥が深いことに気づきました。

先日、著作権法入門という講座を受けてきました。
さっくりと知識は入っているものの、詳しくは知らない。
制作活動をしている中で、私自身が著作権を侵害してしまう側になる可能性も高いですし、その逆も然りだったのでもう少し知識を入れたいな~と思っていた矢先の講座情報。申し込まない理由はありません。

講師は弁護士。著作権の基礎の基礎を教えてくれました。
ある程度の知識は入っていたものの、解釈という点で知らないことが多く、”安易に考えていてはいけない”ということを改めて認識しました。

今回は、この学びの内容を記事にしたいと思います。


著作物とは何か

まず、著作物とは何かを見ていきましょう。

著作物とは、文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するもので、思想又は感情を創作的に表現したものをいいます。

著作権法で保護の対象となる著作物であるためには,以下の事項をすべて満たすものである必要があります。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
  → 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
  → アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
  → 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
  → 工業製品等が除かれます。

文化庁ホームページより
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu.html


・思想又は感情⇒人の考えや気持ちが表現されている(AIは対象外)
・創作的⇒何らかの個性が表現されている
・文芸・学術・美術又は音楽の範囲⇒実用品のデザイン等は対象外

これらに当てはまるものは「著作物」となりますが、データなどの「事実」、人名や商品名などの「キャッチコピー」、企画や理論は著作物ではありません。

その他、著作物にあたらないものとしては、ネットショップに掲載している”商品の紹介文”があるとのことです。ただし、その商品の紹介文の中に創作性があったとしたら”著作物”になります。


また、著作物の種類は以下のようなものがあります。

言語の著作物⇒論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など
音楽の著作物⇒楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踊、無言劇の著作物⇒日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
美術の著作物⇒絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)
建築の著作物⇒芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
地図、図形の著作物⇒地図と学術的な図面、図表、模型など
映画の著作物⇒劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど
写真の著作物⇒写真、グラビアなど
プログラムの著作物⇒コンピュータ・プログラム

このほかに次のような著作物もあります。
二次的著作物⇒上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化など)し創作したもの
編集著作物⇒百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など
データベースの著作物⇒編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの

公益社団法人著作権情報センターホームページより
https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime1.html

アイデアが思いついている段階では著作物ではないそうで、例えば私が思いついているアイデアをあなたに話をして、あなたが私に無断でそのアイデアを形にしても著作権侵害にはならないというのは驚きでした。(倫理的にはどうかっていう話もありますけどね)

著作物は形にする、形になっている(世の中に公表している)ということが前提と言うことになりますね。


著作権とは

著作権は、著作者が有する権利のことで著作物が誕生した時点で発生します。
権利の内容等については、下記のとおりです。

●著作権
 └著作権法21条~28条に規定の記載有
 └著作物の利用を許諾したり禁止する権利
 └著作者の死後70年間保護される

複製権(21条)
 └著作物を印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製する権利
上演権・演奏権(22条)
 └著作物を公に上演し,演奏する権利
上映権(22条の2)
 └著作物を公に上映する権利
公衆送信権等(23条)
 └著作物を公衆送信し,あるいは,公衆送信された著作物を公に伝達する権利
口述権(24条)
 └著作物を口頭で公に伝える権利
展示権(25条)
 └美術の著作物又は未発行の写真の著作物を原作品により公に展示する権利
頒布権(26条)
 └映画の著作物をその複製物の譲渡又は貸与により公衆に提供する権利
譲渡権(26条の2)
 └映画の著作物を除く著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利(一旦適法に譲渡された著作物のその後の譲渡には,譲渡権が及ばない)
貸与権(26条の3)
 └映画の著作物を除く著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利
翻訳権・翻案権等(27条)
 └著作物を翻訳し,編曲し,変形し,脚色し,映画化し,その他翻案する権利
二次的著作物の利用に関する権利(28条)
 └翻訳物,翻案物などの二次的著作物を利用する権利

文化庁ホームページより
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/kenrinaiyo.html

●著作者人格権
 └著作権法18条~20条に記載有
 └著作者の人格的利益を保護する権利
 └著作者の死により消滅

公表権(18条)
 └未公表の著作物を公表するかどうか等を決定する権利
氏名表示権(19条)
 └著作物に著作者名を付すかどうか,付す場合に名義をどうするかを決定する権利
同一性保持権(20条)
 └著作物の内容や題号を著作者の意に反して改変されない権利

文化庁ホームページよりhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/kenrinaiyo.html

※上演権・演奏権には、「歌唱」も含まれます。(著作権法2条1項16号)

一括りに「著作権」という表現を日ごろから使っていますが、著作権の中でもたくさんの権利が示されているので、どの権利を侵害しているのか(されているのか)というのを確認しなければなりません。

この著作権の話題の中で一番興味が湧いたのは、ディズニーの米国での著作権が2023年に終了するのでその後どうなるのか?という話でした。
ネットで検索をしてみると色々な記事が出てきますので、興味があればぜひ検索してみてください。(あくまでも、法の専門家などが個人的見解をブログに書いている…ということをお忘れなく。)


著作物は全て使えないのか

世の中、著作物だらけですよね。
気にしすぎたら、何も出来ない!すべてに許可を取らなきゃならないのか!という感じに思ってしまいますが、個人的に使用するために複製することは著作権法30条で認められています。

例えばCDをカセットに録音するとか、テレビ番組をDVDに録画するのは私的に楽しむ分にはOKです。それを、販売したら著作権法違反になります。
たまに「テレビ番組を録画したDVDを販売し、著作権違法で逮捕された~」なんていうニュースが流れてきますね。

あくまでも、個人的に楽しむのであれば複製してもOKだよ、という例外ですので、著作権を侵害しないように気を付けましょうね。


また、著作権法32条には”引用”についての規定があります。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

著作権法32条

公表された著作物 であるものが
自分の文章と引用した文章がハッキリと区別 され
 └明瞭区別性という
主従関係が明確 で
 └引用部分が”従”であることが原則。引用が”主”になるとただのパクリ
出所をしっかりと明示 していること
 └著作権法48条1項1号

これらの条件をクリアしていれば、著作権が制限され著作権侵害とはなりません。もちろんな話ですが、引用する方も著作物である必要があります

引用の部分に関しては、素人目で見ても「引用のつもりで引用じゃない」ケースを結構見ていますので、気を付けなければなりませんね。


また、講師の話だと著作権法は頻繁に改正されるそうです。
知らぬ間に法律が変わっていて、実は著作権を侵害していた(されていた)というケースも可能性としてはありますから、こまめにチェックしなけらばなりませんね。


著作権法だけを考えればいいわけじゃない

今回の講座を受講して、改めてたくさんの法律の中で生きているんだということを実感しました。

例えば、写真1枚には撮影した人の「著作権」はもちろんのこと、被写体となった人の”肖像権” ”プライバシー権” ”パブリシティ権利”が絡んでくること。その撮影が、屋外か屋内かでもそれぞれの権利の重要性が変わってきたり、使用用途、企業HPに掲載されている人が退職していたら…など状況によって判断が変わるそうです。

そのため、諸々の線引きについても比率や割合で表現できないようで、ケースバイケース…というワードがたくさん出てきました。

あとは、写真に著作権がある写真を無断でアップロードをしてSNSに投稿されたものをリツイートした場合も、リツイートした人も著作権侵害にあたる可能性もあるので、むやみにリツイートはしない方がいいということでした。情報の選別は自分でしっかりと、ということですね。

また、自分が行った行為が著作権の侵害にはならなくても、肖像権など他の法律や権利を侵害しているケースがあったり、著作権だと思っていたら商標権だった…ということもありますので、1つのことに目を配るのではなく全体を見渡して状況を確認することが必要でしょう。

不安な時は、調べる・確認する・相談することが大事ですね。


著作権侵害をしない(されない)ために

著作権に関しては、起業している・会社勤めしているなど関係なく、全員が関係する法律です。

例えば、TVの画面を携帯電話で写真を撮りSNSにアップした場合。
著作権はテレビ局にありますから、著作権侵害にあたる
とのことです。

CDジャケットも、それがメインで写真を撮ったものをネット上にアップロードした場合、著作権侵害にあたるそうです。(写真に写りこんだ割合が低かったり、精度が低い場合は権利制限規定に該当して著作権侵害にあたらない場合も有)

また、著作権に関連した部分としては一部のハンドメイド作家さんに見受けられる”商用利用不可の生地”で製作した成果物を販売したり、”商用利用不可の人形”をモデルにして商品見本を立てていたりする件。これはもう言語道断な行為ですが、商標権侵害に当たります。
”有名ブランド風のデザイン”とうたうのも、商標権侵害にあたる可能性がありますね。

今は100円ショップでも色んな資材が販売されていますが、お店によって対応が異なります。あるお店は企業ホームページに商用利用についての記載がされ、あるお店はホームページの記載がありませんので各資材の製造元に1つ1つ確認を取らなければなりません。
私も1度、メールで問い合わせをしたことがありますが丁寧に回答をいただきましたので、回答に掲載されているとおりに対応しました。
確認をせずに使用をし続けると商標権の侵害をしている場合もありますし、場合によっては著作権も侵害しているケースもあるかも知れませんので必要に応じで都度問い合わせ等をして確認しましょう。

仮に著作権侵害で訴えられた場合。
民事裁判や刑事裁判となる訳ですが、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し,又はこれを併科するとされています(著作権法119条1項)。 なかなか、重い刑罰ですよね。

バレなければいい、という訳ではありません。
今までも著作権については相当気を付けてきたと思っていますが、より一層気を付けなければと身が引き締まりました。


ちょっと意識して気を付けたいポイント

今回の講座を受けて、著作権について気を付けるポイントとしては

①著作物かどうか
②引用ルール
③主従関係
④オリジナル性

の4つだと感じました。
厳密にいえばもっと気にしなければならないことはありますが、ベース部分を気を付けるという点ではこの4つでしょう。

ということで、講座を受けた内容から、私の周りに多い職種等で気を付けた方がいいであろうポイントをまとめてみました。

有料セミナーで使用する資料に、他の著作物を使用する場合。
 └主従関係が逆転しないように中が必要。他の著作物がメインになるとただのパクリ。画像に関しても例えば”いらすとや”は利用に関して制限がある…などありますので、必ず確認をしてから使用しましょう。

自身が作成したオリジナルのセミナー資料は、誰が著作権を保有しているのか明示する
 └オリジナルの講座でビジネスをされている方が多いですね。表紙等に必ず「このレジュメの著作権は私が保有している」「私の許諾がない限り、例外規定に該当しない利用は著作権侵害になるよ」という一文を加えましょう。

ネットショップに載せた商品紹介は著作物ではない。
 └誰かに商品紹介を丸パクリされても著作権侵害にはなりません。ただ、その商品紹介の文面に”創作性”があれば著作物になりますので、愛のこもった商品紹介文を作成するのも手段かも知れませんね。

商品画像を勝手に使われた!の対処方法
 └ネット上にアップロードするオリジナルの写真(商品写真も含む)には、自分の名前や活動ネーム・屋号を入れましょう。
実は、私が毎日公開している筆文字作品の画像には、作品の上にうっすらと活動ネームのロゴを入れています。
これは、仮に誰かが勝手に名前を消して(トリミングして)写真を使用すると氏名表示権侵害となりますので、著作権法違反になります。名前がないと、著作者が誰かわかりませんからね。

自分の著作物を守るために、まず行動できるのは自分自身です。
最低限の著作権を守るためのベースはしっかり作りましょう。


まとめ

今までも自分なりに著作権侵害については気を付けていたつもりではいますが、この講座を受講して改めて身が引き締まる思いです。
知らぬ間に著作権侵害をしている可能性も大いにありますし、相手が知らずに私の著作権を侵害していることもあるでしょうから、確認作業というのは大切になってきますね。

筆文字で書いた文字をSNSでアップする際に有名人がテレビで発言した言葉を使用することがあり、これが著作権の侵害にならないかということが気になっていたので質問をしました。
ポイントは「言語の著作物」にあたるかどうかという点で、テレビで言っていた短い言葉であれば「言語の著作物」にはあたらないだろうという講師である弁護士の見解で、予防線ではないですけど「念のためにこうした処置をした方がいいかもね」というアドバイスも頂きました。

※例えば、私が小説の言葉や歌詞の一部を抜き取って文字を書いて公開した場合は、著作権の侵害になる可能性がありますね。引用であれば権利制限規定になりますが、文字を書くという点を考えると”引用”にはあたりませんので、注意が必要です。

「著作権を侵害しない(されない)ために」の項目の中で私が100円ショップの商品の商用利用について問い合わせをした回答については、私が私の希望する使用方法について法に違反しないかという質問に対しての回答となりますので、ここでの紹介は控えさせていただきます。ご了承ください。


また、2022年10月1日より通称「プロバイダ責任制限法」が改正され発信者情報開示請求が今までより簡単になったので、自分自身が権利を侵害している相手に対しての情報開示を求めやすくなったのはもちろんですが、知らぬ間に自分自身が権利侵害等をしており、突然権利侵害の通知等が届くことが以前に比べると増える可能性はあるだろうとのことでした。

知らなかった…では済まされませんから、SNSで発信する場合やネット上に情報をアップロードする際には今まで以上に注意を払う必要があります。(著作権に限らず、名誉棄損等も注意することは多岐に渡ります)
まずは自分自身が相手の著作権を侵害しない様に、お互い気を付けていきましょうね。

※著作権法に関して不安な点などあれば、警察や弁護士に相談すると良いとのことでした。


今回のこの記事の作成に際し、2022.10.1にちえりあで開催された「デジタル時代の著作権法入門」講座での受講内容を参考に、文化庁等のホームページを確認した上で構成しました。
橋田国際総合事務所 代表弁護士 橋田幸典先生、貴重な時間をありがとうございました。


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事務の人☆山藤友絵(筆文字作家おふじさん)
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