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「個人事業主」を理由に配偶者の扶養を外れたいアナタへ

近年、働き方が多様化してきました。
自分の可能性に色々とチャレンジすることはとてもいいことだと思います。

今回のテーマは、「個人事業主」として配偶者の扶養を外れることを目標としている人に向けた内容です。

もし、この記事にたまたま寄ってくださったアナタが親御さんの扶養に入っている若者の場合は、大いに扶養を外れてチャレンジすべきだと思います。


ただ、「個人事業主」として配偶者の扶養を外れることが一種のステータスだと勘違いしている方々が一定数いますので、過去に社会保険の業務に携わって個人事業主の配偶者の扶養可否の判断をしてきた経験を元に、ざっくりとした話をしたいと思います。

ご家庭の状況や配偶者が加入している健康保険組合によって状況は変わるのと、この記事に書いてあることが健康保険組合により内容が違う場合があります。(私の基準は国家公務員共済組合の考え方に寄ってます)
個別の詳細に関しては加入している健康保険組合へ必ず相談してくださいね。

あくまでも「結構大変なんだよ」を知って貰うための記事ですので、予めご了承ください。


ただ扶養を外れることがステータスだと感じている人にオススメしたいこと

社会保険の制度を良く知らず、

配偶者の扶養を外れる = 個人事業主として稼いでいる証拠♪

なんて楽観的に考えているなら、企業勤めをおススメします。

今すぐ、社会保険に加入できる企業でお勤めした方がいい!と言いたいくらいに、個人事業主として配偶者の扶養を外れることは並大抵のことではありません。

扶養は申し立てにより認定取り消しを行うことも可能ですから、配偶者の扶養を外れることがステータスだと思っている人は、1度外れてみたらいいと思います。社会保険料と、その他必要経費を売上で賄いながら自分の収入を確保するのが如何ほど難しいのか痛感することでしょう。

ただただ扶養を外れることがステータスだと感じている人には、ご自身で社会保険に加入できる会社でお勤めされることを絶賛オススメしたいと思います。



扶養を外れることが意味することとは

単純に、支出が増えます。
ケースバイケースですが(お住いの地域によっても変わります)、最低でも月3~5万円以上は社会保険料や住民税の支払いとして必要となるでしょう。

この他、必要経費の支払いやご自身の収入(給与収入的な部分)の確保という点からみると、コンスタントに月30万円以上の売上がないと厳しい部分があるだろうと個人的には思っています。(これもケースバイケースです)
これがキープ出来ないなら、企業勤めした方が収入はしっかりと得られますね。

ただ、「自ら働いて扶養から外れる」という点では私は賛成派です。
今は配偶者の扶養に入っているメリットはあまりないと感じていますし、企業の社会保険に加入する条件もだいぶ緩和されていますので、特段大きな理由(家族の看護や介護など)がなければ自ら社会保険に加入した方がいいと昔から思っていました。

しかしながら、目的間違いをして扶養を外れるときっと後悔しますから「扶養を外れることが個人事業主としてのステータス♪」みたいな感覚でいる方は、色々と考え直した方がいいと思います。

扶養を外れる要件としては、一般的には年収が130万円を超えるかが焦点になりますが、健康保険によっては「開業届を提出した時点」で扶養を外されるケースもあるみたいですので、事前に確認は必要です。

また、年収のカウント月も1月~12月という定めはありません。2月~翌1月、3月~翌2月…といった形でカウントされますし、1ヶ月で130万円を超えればそこで既に扶養を外れる要件に値します。
税法上の考え方と違う部分があったりしますので、注意が必要です。

私が健康保険の担当をしていたときも、配偶者が自営業という方がたくさんいらっしゃいました。私は官公庁の共済組合の健康保険でしたので、協会けんぽなどとは多少考え方が違う部分があったので参考にならないかもしれませんが、「経費の計上」という点で確定申告と社会保険とで基準が違い、健康保険では経費として認められないから130万円超過という判断をしたケースもあります。
被保険者の方とたくさん揉めて、ちょっと危ない電話を受けたこともありますしね。(代議士の秘書を名乗る人が恫喝してくる、みたいな…。本当の代議士の秘書はこんなことしないですよ!)

ルール通りにやっていて、配偶者の収入があると判断したから扶養の取り消しをしても揉めたり恫喝されたりするわけですから、「扶養に入りながら個人事業主として収入を得ること」と「個人事業主として扶養を外れること」を単純に考えてほしくないな、というのが元社会保険担当者の想いです。



扶養を外れるとは

扶養を外れる = 自分で社会保険制度に加入する

ことになりますので、単純に支出が増えるということは前項でもお伝えしました。

健康保険に加入できる企業で勤めない限りは、ご自身で国民健康保険と国民年金に加入することになります。
健康保険の保険料は、健康保険組合との折半になりますので実際の保険料の半分を負担すればいいのですが、国民健康保険は全額自己負担になりますのでそれだけでも負担増ですね。

一例としてですが、札幌市で月約16,000円の保険料を納める場合、健康保険に加入している人は月約8,000円の負担になるということです。

この他に国民年金の保険料が月16,610円(令和3年度)で、住民税の支払いも考えて極単純に計算してみた結果、前項の冒頭でお伝えした最低でも月に30,000円から50,000円以上の支出が増えるということになります。
極単純に計算した結果ですので、人によっては月100,000円近くの保険料負担が必要になることもあるでしょう。
また、前年の収入から国民健康保険料と住民税の金額が確定しますから、前年より売り上げが落ちた場合は更に支出の負担が増していきますよね。


ここからまた単純に計算をしてみると、

保険料が約100,000円。
月の経費が約50,000円として、

個人の収入(給与収入的な部分)は最低でも200,000円は欲しいわ!

なんて思っていたとしたら、常に売り上げが400,000円以上ないと成り立たないですし、月400,000円の売上を常にキープするためにはどれくらいの労働力が必要でしょう?
心の奥底からの覚悟と行動力、個人事業主の活動に費やすたくさんの時間が無いと厳しいでしょうね。


3年間、個人事業主をしてみて本当に思います。
売上をキープすること(上昇させること)と、個人事業主として費やす時間は比例していると感じました。
ただ「個人事業主として稼ぎたいんだよね」と口で言うのは簡単ですが、ビジネスとして実績を残されている方々の行動力は想像を絶しています。
○○するだけで月商7桁♪とか言ってる場合じゃないです。

私が派遣の仕事をしながら個人事業主をしているのも、社会保障が欲しかったからです。なかなか厳しいですよ。非正規で社会保障がなく、個人事業主をしながら、月6万円近い保険料を負担するのって。

そして、社会保障をしっかりと得られたものの、フルタイム勤務をしながら個人事業主の仕事をするのも大変でした。

個人事業主として活動することにも覚悟が必要だと思いますが、「個人事業主として配偶者の扶養を外れる」ということと、その状態をキープするということは、相当な覚悟が必要となるでしょう。


まとめ

配偶者の扶養に入りながら個人事業主の活動をすること自体は悪くないと思いますし、ご自身で企業勤めをして社会保険に加入しながら個人事業主の活動をするのも悪くないと思っています。

ただ、目的を間違えたまま「個人事業主として配偶者の扶養を外れること」がステータス・稼いでいる証♪と考えている人は、それが何を意味しているのかしっかりと考えておいた方がいいでしょう。

収入をしっかりと得たいだけなら、企業勤めした方がいいと思います。
自分の苦手な仕事や作業を担当してくれる人たちもいますし、安定的に収入を得られる上に保障がしっかりしていますから、個人事業主をするより断然にいいと思いますよ。

なぜ、扶養を外れたいのか、外れたことで何がいいのかをしっかりと考えてみませんか?


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事務の人☆山藤友絵(筆文字作家おふじさん)
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