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どんなに負けても横浜スタジアムに通う。
大体私は弱いチームを応援する星の下に生まれているようだ。
幼い頃、最初に好きになったチームは南海ホークス。
関西圏に住んでいたわけでもないのになぜ好きになったのかは
よく思い出せない。
が、おそらくあの緑を基調にした独特のユニフォームと
「南海」という南の島に生い繁るジャングルを連想させる企業名の語感が
妙に子供心の想像力を膨らませたのだと思う。
かつてはパ・リーグの覇者であったとも聞いているが、
私が応援するころにはもうその面影もなく、
記憶では1973年に一度ジャイアンツと日本シリーズで対戦し、
1勝4敗で惨敗して以来、常にBクラス、
浮上することなく1988年に身売りされた。
そのままダイエーファンになったかというとそう切り替えもできず、
トレードマークの緑のユニフォームの面影もなくなったホークス球団に
なんとなく感情移入ができないまま、
しばらくプロ野球に興味を持つことができなくなった。
(そのままダイエー、ソフトバンクと応援球団を私が承継していたら今頃、プロ野球ファン仲間のあいだで肩で風を切って歩いておれたであろう)
転機が訪れたのは1993年に大洋ホエールズが、これまた身売りし、
企業名を捨て横浜ベイスターズとして私の地元密着の球団を標榜した時だ。
地元を掲げる球団ができる。
実際当時の親会社であったTBSが地元密着の施策を
本気で打っていたかというとはなはだ疑問だが、
どこかでもう一度プロ野球に熱を上げるきっかけを探っていた私は、
これを機に新生ベイスターズを応援することに決めた。
(大洋も横浜大洋と名乗ってはいたが思い切って企業名を外したところに、球団として意気に感じたのである)
そして1998年に大魔神・佐々木を擁したベイスターズは
ついにリーグ優勝、日本シリーズ制覇を達成する。
「9番、○○に代わりまして、、、、」のアナウンスが球場に響く刹那、
2万5千人を超える超満員の球場が、一瞬水を打ったように静まり、
「ピッチャー、佐々木!」の声とともに、大歓声が沸き上がる。
勝利を確信したファンの狂騒だ。
優勝パレードが行われた横浜の街のあの時の熱気は
今も忘れられない。
ところがこれを最後にベイスターズもまたいわゆる暗黒時代を迎え、
現在のDeNAに買収されて以降も
12球団でもっともリーグ優勝から遠ざかった球団という状況に陥っている。
親会社DeNAの企業努力もあって集客はV字回復、
CSを勝ち抜いて日本シリーズまでいったことがあるのだから
DeNA球団となってからファンになった方はそれほど弱いチームとは
思っていないかもしれないが、
1999年以降は、私の中で弱いチームという印象は全くぬぐえていない。
毎度の絶望的なゲーム展開をつまみに、
閑古鳥のなく球場でピクニック気分で酒盛りをしたのを思い出す。
そして、そもそも弱いチームって何なのか、と思いをはせるのである。
当然理由は一つではないだろうが、
例えば私がベイスターズで一番感じることが多いのは、
進塁打を打てないとか、バッテリーエラーが多いとか
場面場面で最低限の仕事ができないという事がある。
ただこれらは現象面であって、その根本的原因は何なのかと考えた。
その結果、最近悟ったことがある。それは、、、、、
運が足りないのだ。
そう、これ以外はないのである。
プロ野球選手になるくらいの実力があれば、
最低限の技量は誰でも持っているわけで、
それぞれが活躍したいと努力しているわけである。
ただ試合で結果が出るか出ないかは、1/2の確率なのだ。
そう。サイコロを振って丁と出るか半と出るかの違いでしかない。
いや、選手の努力がまだ足りないのだと言う人がいるかもしれない。
采配や練習法が間違っていると言う人もいるかもしれない。
もっとメンタルを鍛えるべきなのか。
監督、コーチなどの指導者が良くないと指弾するか。
それ以前にフロントや親会社の編成や資金力・経営に
課題を求める人がいるかもしれない。
ただそういった一つ一つのチェックポイントに問題があったとしても、
そこに適材をキャスティングできたかできないか含めて、
振ってみたサイコロの「1/2の確率の結果」でしかないと思うのだ。
強いチームというのは、
親会社から末端の試合現場まで振られつづけられるこの賽の目が、
なぜか不思議なことに
すべて望んだほうの目が出続けているというだけだと思うのだ。
これはサイバーメトリクスとか
3割打てれば一流バッターと言われる野球のゲーム上の確率論とは
全く違う次元の神の差配のようなもので、
人知の及ぶところではない。
そう確信したがゆえに
弱いチームを応援するのが私の星なのだと冒頭に述べたし、
現状のベイスターズのありようをなるべく批判せずに
(なるべくだが)、
ひたすら応援し続けるのだ。
昨年改築された横浜スタジアムは外観も美しく整備され、
収容人数も増えたが気の毒なことにこのコロナ下ゆえに、
まだ満員御礼の状況を作れていない。
また主軸を担うはずだった外国人選手もようやくチームに合流できたが、
期待した投手のケガでの離脱なども相次ぎ、
5月上旬時点でぶっちぎりの最下位をひた走っている。
それでもファンは球場に足を運び続ける。
望んだ目のでない最後の賽の一振りに苛立ち、
こんなはずはない、こんなことが続くはずがないと、もがきながら。
応援を続けよ。されば、汝救われん。
そして私たちは知っている。
ギャンブルの女神から見放されてきた球団が、
いつかその仕打ちを解かれ、球界を席巻する日が来ることを。
ハマスタに集う人々はいま、皆、山師のような目をしている。