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『批評の歩き方』重版とイベントのお知らせ
1、『批評の歩き方』重版が決まりました!
『批評の歩き方』(赤井浩太・松田樹責任編集)を2024年11月30日に刊行いたしました。
この書籍は、2023年4月に始まった、note連載「批評の座標――批評の地勢図を引き直す」をもとにしています。本企画では、月に2回の記事を1年間連載し、新進気鋭の批評家・ライターの方がたによって、以下の批評家が取り上げられました。
小林秀雄・吉本隆明・浅田彰・柄谷行人・絓秀実・東浩紀・斎藤美奈子・花田清輝・澁澤龍彦・種村季弘・保田与重郎・西部邁・福田恒存・山野浩一・宮川淳・木村敏・山口昌男・柳田國男・西田幾多郎・三木清・江藤淳・鹿島茂・蓮實重彥・竹村和子
書籍では、以下に挙げる、序文・座談会・クエストマップ・ブックリストを増補しています。
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推薦文は、編者二人が敬愛する荘子itさんと小泉義之さんからいただきました。
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編者それぞれの「批評」への理解が、上・下分かち書きのレイアウトで示されています。
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編者の二人と編集者・浦田が、近年の「批評」をめぐって語っています。
とりわけ、書籍版の目玉となるのは、寄稿いただいた方がたに、改めて書き下ろしていただいた「クエストマップ」です。
全21人の批評家たちが、ご自身のテーマやその特権的な対象に至るまで、どのような知の旅路を辿って、さらにどこに向かおうとしているのかをマップ上に可視化しています。
この記事では、その例として、編者二人のものを紹介させていただきます。批評という旅のヴァラエティの豊かさは、ぜひ書籍でお楽しみください。
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小林秀雄に平岡正明を接続し、さらにそこから般若とK DUB SHINEへ――。
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中上と大江は柄谷行人と蓮實重彦によって輝き、さらにそれが終焉へ――。
12月から全国書店にて販売中しております。どうぞお手に取ってご覧ください。
そして本書、さっそくの重版が決定いたしました!
【重版御礼】note連載「批評の座標」を増補した11月刊行の『批評の歩き方』(赤井浩太・松田樹編)。発売から3週間で重版が決まりました。お手にとってくださった方がた、ありがとうございます。https://t.co/2N2rQZFXG6 pic.twitter.com/13UD2ZpFm1
— 人文書院 (@jimbunshoin) December 20, 2024
ご購入いただいたみなさま、ありがとうございました。また、今後は書店でのフェアなども企画しております。
2、刊行イベント情報
本書『批評の歩き方』に関連するイベントの調整を進めております。
現段階で、すでに決定をしております刊行関連イベントは、以下の通りです。松田樹(編者、柄谷行人)、森脇透青(東浩紀)、小峰ひずみ(吉本隆明)、長濱よし野(竹村和子)が登壇します。
①ゲンロン主催イベント
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2025年に批評は存在できるのか?――90年代生まれが見通す「これから」の論壇
松田樹×森脇透青×三宅香帆×植田将暉(司会・ゲンロンスタッフ)
日時:2025年1月19日(日)20時〜
場所:京都祇園EN-LAB
※会場は満員となりました。配信は購入可能です。
②京都開催イベント
「分断の時代」に論壇は可能か――ゼロ年代以降の壊れた世界で「批評」を問う
『批評の歩き方』・『悪口論』W刊行イベント
小峰ひずみ×長濵よし野×小泉義之(ゲスト)
開催場所:京都
日時:2~3月
※申し込み方法など詳細は追ってご連絡いたします。
イベントを企画した小峰さんからの趣旨文が届いています。
「ゼロ年代で「批評」は死んでもよかった。」小峰ひずみ
ゼロ年代以降、私たちは「論」が機能しない世界に生きています。
この世界では、作品や物事の善悪を判断する「批評」、他人とともにその判断を吟味する「論壇」、そして、その判断を(おこがましくも)第三者に適用する「法」、この3つの連関が機能しません。「安全保障(セキュリティ)」や「〇〇との戦争」の名のもとに、言葉がはぐらかされ、論壇が嗤われ、法が無視される事態が続いています。市民社会が機能しない。それは従来の「批評=批判(クリティーク)」の存立根拠そのものが失われたことを意味します。
しかし、それでも「批評」は続いていく。それはなぜなのか?
この事実そのものが「謎」である、と私は思います。
ゼロ年代で「批評」は死んでもよかった。でも、生きてる(っぽい)。そのことに私はいつも驚き、躓いています。『批評の歩き方』という無知で愚かな企画が、それでも(そうであるがゆえに)何らかの「事件(出来事)」であるとしたら、それはこの「謎」を「謎」として提出したからです。
ゼロ年代以降の「あたかも壊れた世界」(小泉義之)で「批評」にどんな価値があるか?
なぜそのスタイルを取るのか?
なぜ「批評」は続いていくのか?
なぜ「批評」を続けていくのか?
そして、「批評」にとって「あなた」とは誰のことなのか?
これらを問うていきたいと思います。
今回は、『批評の歩き方』の執筆陣から、ゼロ年代フェミニズム批評の牽引役だった竹村和子について論じた編集者・ライターの長濵よし野、ゼロ年代文化において主人公のひとりでもあった「活動家」の現在を『悪口論』で描いた批評家・小峰ひずみが登壇。また、ゲストとして『批評の歩き方』に推薦の帯文を寄せていただいた小泉義之をお招きします。小泉氏は、哲学研究だけではなく、文芸誌や雑誌で頻繁に批評をお書きになっています。司会は編集者(人文書院)がつとめます。ゼロ年代以後の、批評の「死後の生」を問い直すイベントです。
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機が熟したのだ。
――小泉義之(哲学/批評)
そのほか、現在調整中ですので追ってお知らせいたします。
3、今後の情報
このような形で、『批評の歩き方』に関する刊行イベントやフェアが決まり次第、note記事にて随時お知らせをさせていただきます。それでは、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。