1.「批評の座標」1年間の連載を終えて
2023年4月に始まった、人文書院note連載「批評の座標――批評の地勢図を引き直す」は、2024年3月第23回をもって連載を終了いたしました。
ここまでご愛読いただいた皆さま、改めまして、ありがとうございました。本企画では、月に2回の記事を1年間連載し、新進気鋭の批評家・ライターの方がたによって、以下の批評家が取り上げられました。
①赤井浩太「ゼロ距離の批評――小林秀雄論」
②小峰ひずみ「青春と悪罵――吉本隆明入門」
③西村紗知「最底人を生きる――80年代の浅田彰について」
④松田樹「あいまいな批評家の私――柄谷行人」
⑤韻踏み夫「「外」に向かい自壊する不可能な運動――絓秀実『小説的強度』を読む」
⑥森脇透青「東浩紀の批評的アクティヴィズムについて」
⑦住本麻子「紅一点の女装――斎藤美奈子紹介」
⑧袴田渥美「妖怪演義――花田清輝について、あるいは「どうして批評は面白くなければならないか?」」
⑨七草繭子「オブジェと円環的時間――澁澤龍彦論」
⑩後藤護「溶解意志と造形意志――種村季弘と「水で書かれた物語」」
⑪武久真士「セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本」
⑫平坂純一「西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること」
⑬渡辺健一郎「舞台からは降りられない――福田恆存の再上演」
⑭前田龍之祐 「SFにおける主体性の問題――山野浩一論」
⑮見ることのメカニズム――宮川淳の美術批評(安井海洋)
⑯「孤児」よ、「痛み」をうめいて叫べ――『鬼滅の刃』と木村敏における自己と時間の再生(角野桃花)
⑰失われた世界への旅先案内人——山口昌男と出会い直す(古木獠)
⑱名をめぐる問い――柳田國男『石神問答』において(石橋直樹)
⑲「戦場」から「遊び場」へ――西田幾多郎と三木清の関係性を手がかりに「批評」の論争的性格を問い直す(岡田基生)
⑳実感としての「過去」――江藤淳論(松本航佑)
㉑悲しき革命家としての鹿島茂(つやちゃん)
㉒蓮實重彥、あるいは不自由な近代人(鈴木亘)
㉓「あなた」をなかったことにしないために――竹村和子論(長濵よし野)
各記事を公開するごとに、読者の皆さまからそれぞれ大きな反響をいただき、編集部一同まことに感謝しております。
また、2023年10月には、本屋B&B様にご協力をいただき、本企画と連動したブックフェアを開催することができました。ご関係のみなさま、本当にありがとうございました。
2.「批評の座標」の今後について――書籍化のお知らせ
そして、note連載やブックフェアの好評を受けて、このたび本企画は『批評の歩き方――これからの人文学の書き手のために(仮)』(人文書院、赤井浩太・松田樹編)と、タイトルを一新して書籍化することが決定いたしました。
これからの書き手は、どのような座標に自身を据え直し、どう批評というフィールドを歩いてゆくことができるのか。これまでの連載記事だけでなく、それに合わせた座談会やブックリスト、ガイドマップなど、あたかも「旅行ガイド」のような形で、批評の魅力が伝わるようにまとめ直す予定です。書き下ろしの新たな内容を盛り込み、ボリュームアップしてお届けいたします。
『批評の歩き方――これからの人文学の書き手のために(仮)』(人文書院、赤井浩太・松田樹編)は、2024年11月頃に刊行を予定しております。
これまでnoteの連載記事をお読みいただいた方も、そしてまだ読んだことがないという方にも、楽しんでいただける書籍を目指します。
本書を通して、批評の面白さをお伝えできればと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
「批評の座標」編集補助班
赤井浩太・松田樹