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クープランの墓
みなさん。
クープランの墓という曲をご存知ですか?
フランスの作曲家モーリス・ラヴェル(1875~1937)によって書かれた曲でバロック時代にフランスで活躍した音楽家フランソワ・クープラン(1688~1733)をオマージュした作品です。
この曲を聴くと私はあるピアノリサイタルを思い出します。今から数年前、近所にある喫茶店に私はよく通っていました。その喫茶店は音楽大学の近くにあり、よくそこの先生が喫茶店にやってきては音楽のお話や学校の裏話などを話していました。
そこでよく一緒になる女性がいました。一見すると普通のおばさん(失礼)で最初、先生だとは思いませんでした。でも、その人が話すピアノの話がとにかく面白くて、その人から私はたくさんのことを学びました。70代ですが毎日4時間以上練習し、そのことを彼女は「曲を攫う」と表していました。
それはちょうど今頃の季節でした。「今度、リサイタルをやるからよければ」とチラシを渡され「もちろん、行きます」と私は初めてのピアノリサイタルに行ったのでした。
小さな教会のホールで行われたその会場は100人も入らない大きさだったけど、席は全部埋まっていた気がします。
演奏が始まるといつも話の面白いおばさんはピアニストになっていました。彼女はかなり手が小さいのですが、そんな手が拳法の達人のごとく動き、音を奏でてゆくのです。多分ミスタッチもあるのでしょうけど、それが彼女の味になっていました。
結局、笑いあり、大歓声ありという不思議な終わり方をしたのですが、私は「こんな素晴らしい演奏家が世の中にはたくさんいるんだろうな」と思いました。
多分ラヴェルも同じような感情をクープランに抱いていたのかもしれません(わからないですけどね笑笑)
是非皆さんも一度「クープランの墓」を聞いてみてください!