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ボタニスト

 アイラという島がある。

 イギリスはスコットランドの北部。ウィスキー好きなら一度は聞いたことがあるでしょう。
 小さな島に9つもの蒸留所を有している。そう、この島は「ウィスキー島」なのです。

 「ピート」と呼ばれる泥炭を使い大麦を乾燥させて作られたウィスキーはとても癖のある「スモーキー」な仕上がりになります。
正直言ってかなり癖がある。
でも、このクセが世界中の人々を虜にしているのです。

 これだけ前振りをしていますが今から紹介するものは
ウィスキーではありません。「ジン」です。

 9つの蒸溜所の1つにBRUICHLADDICH があります。この蒸溜所ではピートを使わず、大麦などの材料にこだわったウィスキーが売りです。そして、ここから販売されている「ボタニスト」というジンが私は大好きなのです。
 ウィスキーの蒸留所がジンを作ること自体は珍しくはない。同じ蒸留酒であり、熟成を必要としないジンは開業したばかりの蒸溜所には都合が良いのです。(熟成の期間の5~10年の稼ぎ口の一つとなる。)
 「ボタニスト」を飲むまで私はジンをカクテルのためのお酒だと思っており、単体で飲むものだという認識はありませんでした。しかし、昔通っていたバーのマスターから勧められ、初めて飲んだ時、その認識は180度変わることになったのです。

 ウィスキーグラスにシングルの量が入った透明の原液を口に含み、目を閉じるとこんな映像が流れてきました。

 ———アイラ島は一年のほとんどが曇りか雨だ。それから、木々はほとんどなく海からの風がキツく吹き付ける。私はそんな台地に立っている。潮をたくさん含んだ湿った風が私の耳元で騒めく。突然、一際強い風が吹いた。すると、穏やかとは言い難いその風の中に確かなハーブの香りがした。薄暗かったこの場所は一瞬にして晴れやかなハーブ園へと姿を変えた。———

 なんかこんなこと書いていたら
アイラ島に行きたくなってきてしまいますね。
アブナイ、アブナイ……

 



 


 





 

 


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