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幽かな玄み
幽かな玄み
「陰翳礼讃」という言葉がある。
谷崎氏が執筆した文章のタイトルだが
現代の日本で陰を感じることは非常に困難になっている。
もちろん、自主的に陰を作っている人もいる。
しかし、自然に陰を感じることは大変難しい。
また、「幽玄」という言葉がある。
意味としては、
1 奥深く微妙で、容易には計り知ることのできないこと。また、味わいの深いこと。
2 上品で優しいこと。
「広辞苑」より
能や和歌などでよく用いられる考え方。
ズバリ、曖昧な言葉だ。
辞書を引いても「ん?結局どういうこと?」となる。
もう少し詳しく調べてみるとなんとなくわかってくる。
写実的な美しさにとらわれず、奥にある時間的経過や生い立ちを
感じ取ることらしい。
ここ最近、日本の古い文章をよく読んでいる。
万葉集や更級日記など。
すると、「昔の日本は本当に豊かで美しかったのだな〜」
と感心させられる。
日常の全ての時間に美しさがあり、適切な光が常に注がれていた。
そして、それらは静かで繊細なものだった。
文字通り「玄く幽か」である。
現在、私の部屋には3つの照明が付いている。
そのうち、2つは常時ついたままの状態だ。
たまには部屋の電気を落とし過ごしてみるのも良いのかなと
思ったりしている。