恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (ディスカヴァー携書)(牛窪恵 著)

恋バナは趣味みたいなもので、人の恋バナもディテール含めてたくさん聴きたいし、キュンもしんどさも共有したい。

それは、恋愛がその人の感情を揺さぶる問題で、ものすごくその人自身が出てくるからだと思う。

人の人生に興味があるわたしにとっては、自分の恋愛も含め、恋も愛も性の話も全部がおもしろくてしょうがない。(他人の恋愛話聴いて興味あります?!と言われるけど、興味ありまくります)

なので、主宰する軸ラボで、トークショーとして恋や愛や性の話を取り扱ったりもした。めちゃめちゃおもしろいし、みんなが自分を振り返る時間になって、グッときた。

軸ラボも、就活相談だけでなく、婚活相談にものっている。

踏まえて、今回の読書。

恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (ディスカヴァー携書)(牛窪恵 著)

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2015年の本なので、ここに描かれる20代の若者も、アラサーに。

著者はバブル世代で、わたしはアラフォー。

著者と、若者たちのちょうど間あたりに位置するので、ものすごく興味深く読んだ。

めちゃくちゃ共感できるところもあれば、なるほどな〜と異文化理解な感じもする。

▼5つの恋愛阻害要因

結論、若者たちは恋愛を「コスパが悪い」と感じてる。

若者たちの恋愛阻害要因は著者によると5つあり、こんな感じ。

①「超情報化社会」がもたらした功罪 
 ─バーチャル恋愛とリアル恋愛の狭間で
②「男女平等社会」と「男女不平等恋愛」のギャップとジレンマ 
 ─昭和の恋愛幻想に縛られる若者たち
③超親ラブ族の出現と恋愛意欲の封じ込め
 ─なぜ子離れできない親が増えたのか?
④恋愛リスクの露呈と、若者たちのリスク回避 
 ─「自己責任」に脅える恋愛事情
⑤バブル崩壊と長引く不況が招いた、恋愛格差社会
 ─非正規では恋愛もできない?
(本文より引用)

今読んでるの一章のここまでなんだけど、ここまででもめちゃくちゃおもしろかった。

簡単に言うと影響してるのは

●ITの発達(スマホ、ネット、アイドル、ゲーム、SNS)
●強いコミュニティ意識(輪を乱さない)
●不況(非正規、低年収、希望が持てない)
●親世代の価値観とのギャップ
●リスク(セクハラ、ストーカー、冤罪、離婚、貧困)

という感じ。

余裕がなくて希望も持てない社会で、周りを見たら恋愛にまつわるリスクだらけで、そんな中頑張って少し踏み出せば傷つき、周りの輪を乱すのも怖いし、もう手軽な楽しさが手元にたくさんあるから、恋愛はコスパ悪いでしょ、という状態。

バブル世代や氷河期世代と違うのが、恋愛が必需品という「メディアの刷り込み」がどんどん弱まってて、趣味のひとつ、ぐらいのものになっているということ。

▼でも結婚はしたい

恋人と一緒にいるより、親といたほうがラク。同棲や結婚で、家事負担が増えたり、趣味の時間が奪われるのが怖い……。ならば未来永劫、結婚したくないかと言えば、「NO」。 9割近い男女は、相変わらず「いつかは結婚したい」と言い切る。とくに昨今は、若い男女を中心に「できれば早く、結婚したい」との思いが顕著だ。 なぜ、同棲や結婚生活に憧れない若者たちが、「結婚」にはこだわるのか。 兵庫教育大・助教の永田氏は、「いまの日本が、家族を持たない人に不利な社会だから」だと言う。(本文より引用)

「家族」はこの余裕のない世界で「最後の砦」だから「結婚するなら恋愛しなきゃ…でも…」という感じ。恋愛は結婚の付属品、ぐらいの感覚。

だから、恋愛じゃないセフレや、ソフレ(添い寝フレンド)がいる人はいる。そして、結婚となると「家族になれる前提」なのでハードルが上がる。

これは見合い結婚が恋愛結婚に転じた年代を表すグラフなんだけど、転換期は1960年〜1970年ぐらい。20代で結婚したことを考えると1940年〜1950年産まれ。今の70歳〜80歳ぐらいで、アラフォーのわたしの親より上の世代ぐらいからは「恋愛結婚のほうが良いよね」世代。その価値観が継承されてるから結婚=恋愛なんだけど、そもそもそれより前は見合い結婚がほとんどだった(わたしの祖母の世代)。

で、これは本文には無いデータを持ってきたんだけど、2015年まで含めたグラフ。

結婚相談所やアプリの盛り上がりで、今後先のグラフが気になる。そもそも、結婚相談所やアプリは恋愛にカウントしてるのか、お見合いにカウントしてるのか。

結婚はしたほうが良くて、恋愛はコスパ悪くて、そしたらお見合いのほうがリスク低くない??

と思ってしまう。

契約結婚系の漫画やドラマが流行っていることから考えても、強引にでも家族になる→そこから愛が芽生える、という順序がどんどん増えていくのでは。それってお見合い結婚の流れだよね(祖父母なんかはそうだなと感じる)。

就職支援してても、「もう、誰かが就職先決めてくれたらいいのに」という意見を聴く。それも、「どこに行ったって希望持てないし」というやや諦めの気持ちに近いと思う。結婚も同じなのでは。

求人探して説明会行ってES書いて面接行ってグループディスカッションして、いっぱいいっぱい苦労して受かってもしんどい思いして働くなら、どこでもいい…しんどくなければ…と思っても仕方ない気もする。

出会って、LINEやりとりして、ご飯行っても付き合えない、付き合っても結婚できない、なら、恋愛しなくていいのでは…誰でもいいから(しんどい人でなければ)親の次に家族になってくれる人がいれば…という感じ。

これを意欲がない、と切り捨てるのは本当に酷で、希望を持てない社会の責任でもあると思う。

だって、身の回りでも、結婚の良さを声高に叫ぶ人は少ない。SNSによる衆人環視社会では、悪目立ちすること(自慢)は言わない。少しの愚痴と、少しの幸せにちょっとずつ共感する社会をわたしたちは作り上げてるんだと思う。

若者たちは、すでに分かっているのだ。結婚も恋愛も、どんなに昭和の「男たるもの」や「女らしさ」、優雅な専業主婦像を望んでも、自分にはたぶんムリだろう、と。 でもそこを全否定してしまったら、逃げ道はない。夢も抱けない。だからこそ、「男女平等が当たり前」と言われる現代にありながら、こと恋愛や結婚では「男女不平等(男たるもの・女らしさ)」に固執する。昭和の面影の金麦女や、矛盾だらけのセフレ、ソフレ、そして「男女不平等恋愛」を、漠然と追い求めてしまうのだろう。(本文より引用)

▼まとめ

恋愛は趣味のひとつなので、してもしなくてもどっちでも良くて。

ただ願わくば、いろんなことが「恐くない」社会を少しでも作っていって、恋愛という趣味も楽しめる社会であればいいなとは思う。

そのためには、仕事面で希望を持ってもらうキャリアカウンセリングは大事なのかも…!そうかも…!

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軸ラボ 山下智子
「自分を知って、楽しく生きよう」をモットーに、自己分析や、就活、婚活、終活に役立つ記事を書いていきたいと思います。

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