④天使セラフィーナの授業『分離の仕組み』
天使大学の教室には興奮と好奇心が漂っていました。
生徒たちはセラフィーナ教授の「人間学」の授業を待ちわび、セラフィーナ教授の知恵袋に期待を寄せていました。やがて、セラフィーナ教授が美しい翼を広げ、教壇に立ちました。
「みなさん、お待たせしました。
今日も『人間界の仕組み』について深堀りしていきますよ。前回の授業で最後にお伝えしたように、『分離』の概念に焦点を当て、それが人間たちにどのような影響を与えるのかを探求していきましょう。」
生徒たちは一様に興味津々の表情で、セラフィーナ教授の話に耳を傾けました。授業が進む中で、新たな洞察や理解が広がり、生徒たちは人間界の奥深さを垣間見ることになります。
「『分離』という概念は、人間界を表す一番の特徴であるといっても過言ではありません。」
教室の空気が一層引き締まりました。
セラフィーナ教授は続けました。
「『分離』の概念がある意義を話す前に、どうやって『分離』の状態を創り出しているのか、お話しましょう。
宇宙は、基本的にすべてが繋がっているワンネスの世界です。
人間界と言えど、宇宙の一部ですから、すべてがつながっている世界であることには、変わりありません。」
一人の生徒が質問しました。
「じゃ、どうして、人間界に『分離』が存在できるのですか?」
「質問、ありがとう。まずは、そのポイントに疑問を持って欲しいのです。
宇宙はすべてが繋がっているのに、人間界に『分離』を作り出すために用意したのが、錯覚です。「繋がっていない」と錯覚することで、『分離』を創り出しているのです。
「そんなこと、どうやって可能になるのですか?」
生徒からの質問の声が上がりました。
セラフィーナ教授は、その質問に答えました。
「人間界では、つながっていることを忘れるために、3つの要素を活用しました。それは『肉体』と『自我』、そして『潜在意識』です。」
生徒たちが、どよめきの声があがりました。
彼女は黒板にこれらの言葉を書きながら説明を進めました。
「まず第1に、『肉体』です。
3次元の人間界で、人間は物質的な身体を持ち、表面にある皮膚によって、他との隔たりを感じられるようになります。他の存在とは異なる、個別の存在であると錯覚することができ、「分離」の基本が出来上がります。
我々天使は、エネルギー体として存在していますので、隔たりを感じることは難しいですよね。すべての存在が同じエネルギーでつながり、交流し合っていることを、あたり前のように感じられていますので、逆に「分離意識」がどのようなモノが、みなさんにはちょっと感じにくいと思います。」
生徒たちは、首を大きく縦に頷いた。
「第2の要素は、『自我』です。
自我とは、それぞれの肉体の中で、個々の考えや価値観を有します。
この自分だけの『自我』を持つことで、人間は自己と他者との区別を持ち、これが分離感を生む大きなポイントなのです。」
生徒たちは予想外の情報に、困惑しながらも、真剣な表情で聞き入っていました。
セラフィーナ教授は更に深く掘り下げていきます。
「そして最後に、『潜在意識』が第3の要素です。
これは人間が意識していない心の奥底に潜むもので、無意識に受け入れている固定観念や、自分のアイデンティティ、過去の経験や信念が、潜在意識には詰まっています。
1番目の『肉体』により、別々の存在と捉えられ、2番めの『自我』により、自分だけの考え方、価値観を持ち、より個別な存在感を強くできました。
しかし、心が繋がっていたら、結局は別々の存在とは思えません。
そこで、この『潜在意識』という「情報の詰まり」によって、完全に別々の存在と錯覚できるようになるわけです。『分離』の概念の出来上がりですね。」
教室中から、感嘆の声と拍手が沸き上がりました。
「この三つの要素を活用して、人間は「ワンネス」のつながりを忘れ、『分離』を確立したわけです。
しかし、私たちが学ぶことは、これらが一時的なものであるということ。分離はあくまで錯覚であり、幻想なのです。
人間は、本質的にはみんながつながっているという事実を徐々に思い出す旅路を歩いているのです。」
セラフィーナ教授の授業によって、生徒たちは深い理解と新しい知識を得て、興奮に目を輝かせていました。
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