28歳で初彼女ができた話 ⑧ついに訪れた別れの日…止まらない涙

待ち合わせたのはミハルの最寄駅の近くのコンビニ。ミハルが運転して迎えに来てくれていた。ドライブがてら、家まで送ってくれるという。僕たちにはわりとおなじみのパターンだ。険悪というわけではなかったが、どこか緊張感がある。ほどなくしてミハルから本題を切り出した。

「ねえ、そんなに私のこと嫌い?」

僕は何も言えなかった。ミハルは泣きながら、僕への想いを吐き出してくれた。仕事で一緒になるうちに、大好きになっていたこと。会うたびに毎日ドキドキしていたこと。付き合うことになって、本当に嬉しかったこと。わかってはいたが、ミハルがどんなに僕を愛してくれていたかを改めて気付かされた。

僕も涙が止まらなかった。こんなに泣いたのはいつ以来だろう。これほど好きでいてくれた人の気持ちを、踏みにじってしまった。悲しいやら、情けないやら… ミハルは何も悪くない。ミハルの想いを素直に受け止められなかった僕が全て悪い。

とっくに家の近くにも到着し、二人でしばらく泣き明かした。悲しみに包まれた一方で、どこか責任とか義務のようなものから解放されたような、肩の荷がスッと下りた感覚もあった。"彼女がいる"というのは自分のことではなく、相手の人生も考える必要がある重い状態なのだと知った。

涙も枯れたミハルはこう言った。
「タクミさんは私にとって大切な存在。これから会う時も気まずくなったりしないで、友達でいてほしい」

別れてもなお、こう言ってくれたのは嬉しかった。また仲の良い友達に戻ろう、この時はそう思っていた。

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