『第11弾』は、山本七平著の「空気の研究」を紹介します。
好きな本ベスト5に入る本です。お盆休み中に再度読み返してみました。
コロナ禍の現在、日本は同調圧力が強いという言葉をテレビのコメンテーターなどが言っているのをよく聞きます。この同調圧力というものが、山本七平が言う「空気」なんです。
先月起きた安倍元総理銃撃事件後の選挙運動の中止など、是・非、関わらず、いわゆる山本七平が言う「空気」なるものを私は感じていました。
日本独特のこの「空気」について研究した本、読んだのは、10年くらい前になります。本当に驚かされた本です。
“「空気」とは何であろうか。それは非常に強固でほぼ絶対的な支配力をもつ「判断の基準」であり、それに抵抗する者を異端として、「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力をもつ超能力であることは明らかである。”(引用 P22)
私たちは、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という二つの基準のもとに生きていると山本七平は言います。
海外ではこういった「空気」はないと思います。
なぜ日本だけなのかと読んだ当時、私は不思議でなりませんでしたが、海外の学校で学び理解できました。それは、批判的思考(クリティカルシンキング)を向こうでは徹底的に教育します。自身の意見を発言する時も、賛成意見だけでなく、必ず反対意見があることを述べます。
こうやって一つの物事に対して見方が複数あるということ、すなわち相対的な把握ができることで、「空気」的判断ではなく、論理的な判断をします。
では、なぜ海外はそういう土壌があるのか?
それは陸続きで滅ぼされる危機がある国の歴史上、論理的な判断を優先しなければならなかったと書かれています。日本は、島国であるので必ずしも論理的な判断を優先しなくても、ムラ社会的な事なかれ「空気的判断」でよかったのかもしれません。
しかし、コロナのように国境がない脅威に対しては、空気的判断ではいけません。世の空気に抗い、しっかりと論理的判断をしていかなければいけないと常々感じさせてくれる良書です。
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