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2021夢日記  意地悪な伯爵夫人  ji-jyo 12月21日


僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別にマガジンを作成してあります。

昨日の夢は何だかやるせない展開だった。

始まりはとても大きな豪邸の庭で芝刈りをしているところからだった。

とは言ってもわざわざ刈る必要もない程、すでに綺麗に見えるような芝生の上をより丁寧に調整しているような状態だった。こんな貴族の人間が住んでいる豪邸はやっぱりやることが常識を超えてくるものなのだろうか。

こんなに立派な豪邸の仕事を受けている割に僕の服装は何ともみすぼらしいボロボロの作業着だった。とてもじゃないがこの場所には不釣り合いな服装だ。

こんなおかしな状況でも僕には密かな楽しみがあるようだ。
それはこの家に住む伯爵令嬢に会うことだった。

どういうわけかここへ仕事に来るたびにこんなにもみすぼらしい僕のことを気にかけてくれていた。時にはとても自分では飲めないような高級なお茶をごちそうしてくれる時もあった。

僕は明らかに彼女に好意を寄せていた。でもそれは決して気付かれてはならない密かな思いだった。こんな自分が到底身分の違う貴族階級の女性とどうこうなるなんてことは例え天地がひっくり返っても叶うはずもない大妄想だ。

それでも笑って僕に接してくれる彼女の優しさに、もしかしたら彼女もまんざらではないのではないかと淡い期待を持っているのも否めない事実だった。

この日もいつものように庭の片隅で不釣り合いな二人は楽しくお喋りをしていた。でも今回はいつもとは違う展開が待ち受けていた。

あろうことかその様子に気づいた伯爵夫人がこちらに向かって歩いてくる。
伯爵令嬢の娘から想像もつかない程になんとも高飛車なオーラとすごい威圧感だ。おまけに根っからの意地悪婆さんともっぱらの噂だった。

『おやおや。ただの芝刈り業者とずいぶん仲がいいものね。』

初めて聞いたそのだみ声は何とも意味深な嫌味だった。
僕は軽く会釈をしてそそくさとその場を離れようとしたが思わぬ言葉に引き留められた。

『そうだ。お前はよく働いてくれているから芝刈りの仕事から屋敷の中の使用人に変えてやろう。そうすればもっといい服だって着られるし嬉しいだろう?』

『い、いえ。そんな私には…。芝刈りの仕事が性に合ってますので。』

『この私の申し出が受け入れられないと言うのか? お前は明日から使用人としてここで働くのだ。いいな?』

『は、はい。』

きっと本来なら嬉しいはずの昇級なのかもしれない。が、この意地悪な伯爵夫人の思惑は、どうやら自分の近くに僕を置くことでおかしなことが起きないように自ら見張ることのようだ。

そんなことになれば密かな楽しみとなっていた伯爵令嬢とのささやかな時間はもう無くなってしまうだろう。彼女との距離は近づくはずなのに彼女との時間は遠くなってしまうことに悲しさを感じたところで今日は目が覚めた。

楽しみを奪われるというのは夢でも現実でも気分のいいものじゃないと感じる朝だった。

さて、明日も夢日記を書いていこう。


【2021 11月夢日記 ~ji-jyo~】


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ji-jyo
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