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2021夢日記 たまねぎ頭が好きだった  ji-jyo 10月28日


僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別にマガジンを作成してあります。

昨日の夢は浮き沈みの激しい展開だった。

始まりはもう使われていない少しだけ地下っぽくなっている駅の跡地にいるところからだった。

半分トンネルのようになっているその場所はよく声が響いた。そこには数十人の学生が集まり何やら発生練習が行われている。ここは合唱サークルの学生たちの練習場だった。

ろくに歌も歌えない僕がどうして合唱サークルなんかに入っているのかは後半になってわかることになる。

周りを見渡すと自分の学校の他にも他校のサークルも来ているようだった。
僕は歌の練習はそっちのけであたりをキョロキョロ見渡していた。

最初は何を探しているのかわからなかったが、自分の目にたまねぎのような形をしたおかっぱ頭の女の子が映った瞬間に胸が高鳴るのを感じた。
そうか。目的はきっとあの子なんだ。あの子のことが気になっているんだ。

それがわかったところでいつの間にか練習は終わっていた。その日は合宿という名目で近くの公民館のような場所に泊まることになっていた。

潤沢な活動資金があるわけではない僕らにはしっかりとした宿泊施設などを利用できるわけもない。一応、布団は用意されていたがまるで修学旅行のような大広間の一室に雑魚寝で寝るような形だった。

サークル内には男も女も入り混じっているのにこのシステムで本当にいいのかとは思ったが、あんまり難しく考えても仕方ない。そんなことを思っていると、やけに人懐っこいサークル内の女子が話しかけてきた。

『ねえねえあんたってさぁ、音感なさすぎじゃない?』

『そんなことわかってるよ。だってちょっと前まで自分が出してるC3の音をC4で出してると勘違いしてたもん。だから俺はずいぶん高い音まで発生出来るんだと自負していたくらいだ。』

『あはは! それ受ける! で、なんでそれに気づけたわけ?』

『スマホの。チューナーでさ。測定したらその結果に愕然と…。』

『あんたって面白いね。まあドンマイドンマイ! とりあえず練習すればよくなるよ。あはは!』

全く。人のことを小馬鹿にしたように笑いやがって。そんな他愛ない会話をしていると気づけば僕らはいつのまにか眠りについていた。

翌日も午前中だけ合唱の練習をしてサークルは一旦解散となった。練習中からも僕の頭の中はたまねぎ頭の彼女のことが頭から離れなかったが、どこを見渡しても見つけることが出来ずにいた。諦めて帰ろうとしたとき、大きな男子学生の影からひょこっと出てきた彼女が目に入った。

あの男め。お前のせいで彼女のことが見つけられなかったんじゃないかと八つ当たり気味の感情むき出しにしていると、どういうわけかたまねぎ頭の彼女が僕の方に向かって歩いてくる。

なんだ!? なんだ!? どうしてこっちに来るんだ? いきなりの展開に嬉しさよりもパニックに陥っていると目の前に来るなり僕に話しかけてきた。

『ねえ君。私のことよく見てるよね。だってよく目が合うもん。』

『あ、ああ…。ごめんなさい。』

『ううん。別にいいの。私もあなたのことよく見てたから。』

え!? それってどういう意味だろう。まさかひょっとして…。
何もわからないが浮かれてしまいそうな気持ちを必死に抑えながら冷静を装っていると彼女は急に僕の手を引き歩き出した。

『ちょ、ちょっとどこに行くの?』

『ご飯食べに行こう。そんでね。今日あなたの家に泊めてくれる?』

な、なんて積極的な子なんだ。これはもう勘違いなんかじゃないだろ。間違いないだろ。彼女もきっと僕に好意があるんだ。これはもう舞い上がってもいいに決まってる。しかも泊まりたいだって!? なんて素敵な一日なんだ。

そのまま手を引かれるままニヤけていると、裏から聞きなれた声が聞こえて来た。

『ねえー! どこ行くの? あんた昨日カラオケ奢ってくれるって約束したじゃない。早く行こうよー。』

な? なんでよりにもよってこのタイミングで昨日の夜、隣にいた君が登場するんだ。そもそもそんな約束した覚えはない。もし昨日そんな会話があったならそれは寝言だ。頼む。頼むから今は今だけは見逃してくれ。
そんな会話を聞いたたまねぎ頭の彼女は僕の手をほどき、

『約束があったんだね。ごめんね。じゃあ私帰るから。』

ああ…。待ってくれ。違うんだ。約束なんて。僕は君と一緒にいたいのに。僕は君が好きなのに。

そんな切ない気持ちになったあたりで今日は目が覚めた。

夢なら。どうせならそんな手から零れ落ちて行くようなオチじゃなくてもっとハッピーなままのオチを見せてくれと思う朝だった。

さて、明日も夢日記を書いていこう。


【2021 9月夢日記 ~ji-jyo~】


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ji-jyo
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