壁
あなたの顔を見ただけでは
あなたの経てきた道は見えません
あなたの言葉をきいただけでは
あなたのすべてを知ることはできません
それは
あなたが見たり聞いたりしている
わたしも同じこと
透明な壁の向こうに
透明な記憶がある
透明で、確かに積み重ねてきた時間がある
それは互いに同じこと
人の数だけ世界があるのですから
それでも
こうして会えたのです
楽しい時間を過ごせたのです
ですから
隔壁もそのままでいいでしょう
在るべくして在ることもあるでしょう
消える時がくれば消えるでしょう
無理に壁を壊そうとする人には
その壁も
わたしの一部であると伝えます
壊されやしないということも