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自立援助ホームでのコロナ対応:孤食や黙食が生んだ課題と教訓

コロナ禍、自立援助ホームの現場では日常が一変しました。感染拡大を防ぐため、職員が泊まり込みで対応する日々が続き、こどもたちの生活を守る努力が求められました。その中で、私たちが最も大切にしている「日々の会話」にも大きな影響が及びました。

感染防止のため、食事の際に孤食や黙食を余儀なくされる場面が増えました。こどもたちにとって、食卓を囲みながらの会話は安心感や信頼感を育む大切な時間です。しかし、こうした時間が奪われることで、孤独感が積み重なり、表情が暗くなる様子を目の当たりにしました。

濃厚接触者への対応と現場の葛藤

さらに難しかったのは、濃厚接触者への対応でした。一部のこどもたちは濃厚接触者と判定されても、「人手不足」を理由に職場から出勤を求められることがありました。感染リスクを抱えながら働かざるを得ない状況に、こどもたち自身が戸惑い、不安を抱える様子が強く印象に残っています。

また、予防接種についても、保護者の同意が得られない場合があり、社会的養護の現場ならではの課題が次々と浮かび上がりました。職員として何が最善かを模索する毎日でした。

元気が一番:あたりまえの日常の尊さ

コロナ禍で学んだのは、「あたりまえの日常」がどれほど大切かということです。こどもたちが笑顔で過ごし、食卓で安心して会話を楽しむ日常は、何よりも貴重で守るべきものでした。

その中でも特に感じたのは、やはり 「元気が一番」 だということです。元気があれば困難を乗り越える力が湧いてきます。アントニオ猪木さんの言葉、
「元気があればなんでもできる!」
は、現場での私たちの思いそのものです。

コロナ禍での教訓を未来に活かす

孤食や黙食、濃厚接触者への対応など、コロナ禍で直面した課題は決して小さくありませんでした。しかし、それらを通じて得た教訓は、こどもたちが安心して暮らせる環境づくりにおいて、これからも大切にされるべきだと感じています。

今は現場を退いた立場ですが、これまでの経験を振り返る中で、社会的養護に携わる方々の努力と工夫に心から敬意を抱きます。そして、このような課題や教訓を共有することで、こどもたちの生活がさらに良いものになればと願っています。



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