3/15 ニュースなスペイン語 Botón nuclear:核のボタン
いくつかの新聞(Web版)はこう表現した。
マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)が先日、宣言した総選挙のことである。
マドリード州最高裁(El Tribunal Superior de Justicia de Madrid)は、14日、この選挙を承認した。来月18日に選挙運動が解禁し、5月4日に投開票が行われる見込みだ。
そんな中、市民党(Ciudadanos)の弱体化が止まらない。
ムルシア州で市民党とスペイン社会労働党(PSOE)によって提出された不信任決議(la moción de censura)に対して、市民党から3名の造反者(disidente)が出たことは、昨日、すでに述べた。さらに、昨日、同党の重鎮のひとり、フラン・エルビーアス(Fran Hervías)が同党との決別を発表した。そして、「パブロ・カサド氏が政権からペドロ・サンチェス首相を追い出すために、微力ながら、お手伝いしたい(Quiero aportar mi granito de arena a que Pablo Casado eche a Sánchez del Gobierno)」と述べ、カサド率いる国民党(PP)への入党も同時発表した。なお、「微力」は「砂の一粒(granito de arena)」と表現する。
しかも、国民党本部が、ラ・セクスタ紙に語ったところによると、「市民党役員からの問い合わせの電話が多数ある(muchas llamadas de cargos de Ciudadanos)」らしいから、離党者が今後増加する可能は高い。
市民党は今や、斜陽産業ならぬ斜陽政党となってしまった。そもそも、先月14日に実施されたカタルーニャ州総選挙の惨敗ぶりは目を当てられないほどだった。2017年の選挙では得票数が最多政党となり、36議席獲得したが、今回の選挙では30議席を失い、僅か6議席に減らした。今後、国民党との連立が望めないとなれば、どの政党と共闘するのか。党執行部は、党首のイネス・アリマーダス(Inés Arrimadas)の辞任は否定しているが…。
核のボタンが押された今、市民党は風前の灯だ。大小・有名無名の、様々な政党各党による、水面下やあからさまな交渉が始まるだろう。注視し続けよう。
写真はEl Español紙(2020.9.15)より。マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(左)と副知事イグナシオ・アグアド(Ignacio Aguado)。当時はまだ、蜜月状態だったが…。