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11/20 ニュースなスペイン語 Chapuza:雑な仕事

今日は与野党の攻防をまとめておこう。

もちろん、ここ数日、紹介している「性的自由を保証する基本法(Ley Orgánica de garantía de la libertad sexual(以下、「基本法」と略記する))」についてだ。

最大野党の国民党(PP)でいち早く批判ののろしを上げたのは、同党報道官クカ・ガマラ(Cuca Ganarra)だった。

ガマラは

未熟で、こどもじみた大臣らはもうたくさん(Basta ya de ministras inmaduras e infantiles)。

と基本法を推進してきたイレネ・モンテロ(Irene Montero)らを念頭に、「辞職(dimisión)」か、もしこれを拒むなら(en el caso de que ella no se vaya)、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相による「更迭(cesarla)」を求めた。

ちなみにガマラが「女性大臣(ministras)」という語を使っていることからも分かるが、批判の矛先は、男性大臣には向いてない(日頃、耳の痛いことを言われている男性大臣らは、今回ばかりは、ホッとしてる…?)。

ガマラのこうした表現はサンチェス政権で要職につく大臣の多くが女性であることの現れか。

国民党党首のアルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)はタイトルにもある「雑な仕事」という語を使い、基本法を批判。更に、同法こそサンチェス政権の傲慢ぶり(soberbia)の典型(ejemplo)とした。

極右政党のボックス党(Vox)の党首サンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)も基本法に対する批判の手を緩めない(ha cargado contra la nueva legislación)。アバスカルは同法を最悪(infame)とし、この法律を推進してきた平等省(Ministerio de Igualdad)を犯罪的(criminal)とした。

その上で、サンチェス政権になってから、女性たちは以前より保護されなくなった(desde la llegada de Pedro Sánchez a la presidencia del Gobierno, las mujeres están más desprotegidas que antes)と断じた。

一方の与党側。

財務大臣(ministra de Hacienda)マリア・ヘスス・モンテロ(María Jesús Montero)は数日前、「慎重に検討(estudiar con detenimiento)」することを要請していたが、今回は「フェミニズムの大躍進(gran conquista del feminismo)」と基本法の擁護に回った。

昨日の記事でも書いたが、この度も、イレネ・モンテロへの明確な支持はなかったと見られる。

イレネ・モンテロが所属するポデモス党からは、身内からの支持がないこと、また、野党からの辞任・更迭要求を「(平等大臣)狩り(cacería)」との批判が噴出している。

写真はマリア・ヘスス・モンテロ(左)とイレネ・モンテロ。2年前の写真。笑顔がまぶしい。

ちなみに、ふたりに共通している名字、モンテロは「狩り(montería)」に由来する。

そのモンテロ姓のイレネが今や「狩り」の対象になっていると聞けば、何とも、物悲しい。