9/20 ニュースなスペイン語 Manifestación en Barcelona:バルセロナのデモ
カタルーニャ州のバルセロナ市で18日、あるデモが催され、約2800人が参加した(バルセロナ市警(Guardia Urbana)発表)。
何を訴えるデモかを説明する前に、カタルーニャ州の教育事情をおさらいしておこう。
カタルーニャ州の学校ではスペイン語の使用に法的な縛りがある。
具体的には、学校での活動の中に最低でも25%を入れなければならない。
別の言い方をすれば、残りの75%は、カタルーニャ州の公用語カタルーニャ語でやっても良いことになっている。
だから、学校に通うこどもたちは、自ずとカタルーニャ語への接触度が高まり、カタルーニャ語で(en catalán)授業を受けることになる。
そのため、わざわざ文法の授業が無くても、自然とカタルーニャ語が身に付く。
こういう教育法をイマージョン教育(inmersión)と言う。
もうひとつ、カタルーニャ州の言語教育を語る上で重要な概念が「リングアフランカ(lengua vehicular)」だ。これは、色々な言語を使う人たちの間で意思の伝達手段として使われる言語のこと。
カタルーニャ州の現状は、つまり、同州のイマージョン教育ではカタルーニャ語がリングアフランカということになる。
こうした、カタルーニャ語ゴリ押しの教育方針に異を唱えたのが、今回のデモの参加者たちだ。
彼らの手には、
「スペイン語をリングアフランカに(Español, lengua vehicular)」
「イマージョン教育に反対を(No a la inmersión)」
などと書かれたプラカード(pancarta)が見える(写真)。
カタルーニャ州は独立志向(independentismo)というイメージがあるが、それとこれとは、別問題。
つまり、自身の政治信条と、自分のこどもに受けさせたい教育は分けて考えている人たちが少なからずいるということ。
また、
「バイリンガルな社会と学校を(Societat Bilingüe. Escola Bilingüe)」
とカタルーニャ語で書かれたプラカードも見える。親としては、こどもにカタルーニャ語も、スペイン語も、両方、学び、そして、話してもらいたい。
デモには政治家たちも参加した。政党のスタンスを知るには、デモに参加している政治家の顔ぶれを見るのが、一番良い。
今回は、国民党(PP)、自民党(Ciudadanos)、ボックス党(Vox)の面々が集結した。
国民党の総書記(secretaria general)のクカ・ガマラ(Cuca Gamarra)は、カタルーニャ語のリングアフランカ化を目論む州政府は、市民がスペイン語を学ぶ「基本的権利を足蹴(pisoteo fe los derechos fundamentales)」にしている、と批判した。
市民党党首イネス・アリマダス(Inés Arrimadas)は「中央政府の政治家たちに告ぐ、私たちは決して負けない(No nos vamos a rendir, señores del Gobierno de España)」と述べた。
ボックス党党首のサンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)は「自分たちの権利を踏みにじられている人々が一刻も早く(学校で学ぶ言語を)自由に選べることができるように(Y que aquellos que hoy ven pisoteados sus derechos vuelvan a recuperar la libertad)」と訴えた。
カタルーニャ州とスペイン語の関係は大変複雑だ。中央政府、州政府、裁判所、親などの様々な思惑が絡まりあっている(6月1日と9日の記事などを参照)。
写真はデモの参加者の様子。