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10/21 ニュースなスペイン語 Vientre de alquiler(2):借り腹(2)
9月22日の続報だけど、小欄ではちょっと珍しいイタリアのお話。
表題の単語は日本語では「カリバラ」と発音するらしいが、22日の小欄でも触れたように、小生は、この語の見た目も響きもどうしても好きになれないので、より、中立的な「代理出産(gestión subrogada)」を使うことにする。
スペインでは国内で代理出産の施術を行うことも、この施術を受けることも違法(ilegal)だが、外国で合法的に手術を受け、子どもを授かることは認められている。
ところが、イタリアでこの度、可決された法律では、外国で代理出産の施術を受けることも「全人類の犯罪(un delito universal)」として、60万ユーロ(約9700万円)〜100万ユーロ(約1億6200万円)の罰金に加え、懲役最長2年(hasta dos años de cárcel)の罰則が課せられる。
イタリアでは2004年から国内で行われる代理出産は禁じられていて、違反者には上と同じ罰則が課せられていた。
この法案はジョルジア・メローニ(Giorgia Meloni(写真))首相率いる「イタリアの同胞(Fratelli d'Italia)」という極右政党が提案したもの。
法案は7月に下院(Diputado)で可決(beneplácito)され、この度、上院でも賛成84票、反対58票で可決された。
メローニはことあるたびに代理出産のことを「非人道的な所業(práctica inhumana)」と述べていたので、今回の可決は現政権のメインイベントのひとつ。
イタリアでは野党(oposición)が左派だが、今回の法案可決を批判していて、「イタリアをまるで国民のモラルを監視する道徳的な裁判官に変えてしまった(transforma Italia en un juez ético de la moral de sus propios ciudadanos)」とした。
また、代理出産を合法としている国々との関係に軋轢を生じさせるもの(amenaza con minar las relaciones con los países que sí permiten esta práctica )と野党は批判。
そして、外国での代理出産をも違法とする行為こそ「度を越して、非人道的(desmesurada inhumanidad)」とした。
代理出産を行うことが違法なのか、それともこれを禁じることが違法なのか、それぞれの正義があるからすぐには答えは出ないが、しかし(極)右派が政権を握るとこうなる、というお手本のような結果であることは誰もが認めるところかも。
写真はメローニ首相。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20241017/italia-castigara-gestacion-subrogada-extranjero-carcel/16291257.shtml