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2/2 ニュースなスペイン語 Palacete de Paris:パリ邸宅

ずっと気になっていた問題。

1月31日の小欄で紹介したが、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権はカタルーニャ州の地方政党ジュンツ(Junts)からの協力を得て、オムニバス法案(decreto ómnibus)をどうにか可決させる道筋が付いた。

また、反対一辺倒だった国民党(PP)もある1点を除き、オムニバス法案に賛成票を投じると表明した。

この「ある1点」が今回のメインテーマ。

「パリ邸宅」とは、タイトル写真にあるようなとても立派な建物。

拡大すると、入口には「セルバンテス協会(Instituto Cervantes)」のロゴが見えることからも分かるが、現在は同協会のパリ本部(sede)として使われている。

邸宅は、直線距離でエトワール凱旋門(Arco de Triumfo)から約1キロのところにあって、時価総額およそ1700万ユーロ(約27億3000万円)とも言われている歴史ある建造物。

結論から言うと、この高価なハコモノをバスク州の地方政党であるバスク民族主義党(PNV)に移譲(será transferido)することが、この度のオムニバス法案で可能になったという話。

国民党は意地悪な見方をしていて、党員たち(nacionalistas)が法案への賛成票をチラつかせて(compra de votos)、政府をゆすった(chantaje)と考えている。

そんなバスク民族主義党にも当然、言い分はある。

同党によると、この邸宅は1937年に党の資金で購入した(fue adquirido en 1937 con fondos del partido)ものだったという。

ところが、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)率いるナチス党(partido nazi)がフランスを占領(ocupación)した際、邸宅は差し押さえられ(incautó)、その鍵(llaves)、つまり、所有権(titularidad)は当時、スペインで独裁体制を敷いていたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)に移譲された。

だから、バスク民族主義党は、この度の邸宅の移譲は歴史的に見て正当な返還(reparación histórica justa)であり、自分たちが法的には正当な所有者(legítimos dueños)と主張する。

まぁ、素人目には、バスク民族主義党にパリ邸宅の所有権があるように見えるのだが、移譲が決定されるまでの手続き論が、ここでは割愛するが、とにかく、ごちゃごちゃしている。

そのややこしさのひとつが、1998年に国民党のホセ・マリア・アスナル(José María Aznar)政権が、過去に、たとえ、外国であっても、差し押さえられた資財の返還を政党が求める権利(el derecho de los partidos políticos a solicitar la recuperación de los bienes que les habían sido incautados en el pasado, incluso si estos se encontraban en el extranjero)を認めたこと。

バスク民族主義党はこの権利を行使した訳だが、今度は国民党の面々がこれを認めないという迷走ぶり。

やれやれ、ややこしや、ややこしや。

写真はパリ邸宅。

※読者の川上さんのご指摘を受け、PNVの政党名を改めました(2/2)。ありがとうございます。

出典
https://www.larazon.es/espana/quien-realmente-palacete-paris-que-reclama-pnv-historia-oculta-detras-nuevo-decreto-troceado-gobierno_202501296799f20c797cbb000138bb23.html