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7/6 ニュースなスペイン語 Agresión homófoba:同性愛者への暴行
「homo」はギリシア語で「同じ」を意味する。「-fobo/a」語で「嫌悪」とか「恐怖症」を表し、同じくギリシア語に由来する。転じて、「homófobo/a」は「同性愛に嫌悪感を抱く」という形容詞となる。同じ構造の形容詞には、例えば、「hidrofobo(水を嫌う=狂犬病の)」とか「xenófobo(外国人嫌いの)」のような表現もある。
同性愛者と目されている24歳の青年サムエル・ムニス(Samuel Muñiz)がガリシア州のア・コルーニャの夜の繁華街で、3日未明、暴行(paliza=「連打」の意)を受け、死亡した。
まだ、逮捕者は出ていないが、暴行者の身元は特定され(están identificados)、13名が暴行を認めている(prestar las declaraciones)。
サムエルはア・コルーニャの老人施設(residencia de mayores)で看護助手(auxiliar de enfermería)をしていたという。
サムエルの友人たちの証言によると、事件当日、サムエルは彼の前を通りかかった男から暴言を吐かれ、その模様をスマホで撮影していたとその男から勘違いされたという。実際はビデオ通話(videollamada)をしていたに過ぎなかったのだが。
その後、「撮影をやめねぇか、殺すぞ、カマ野郎(Para de grabarme o te mato, maricón)」と罵られた後、約2時間に渡り、男から暴行を受けた。コルーニャ市内の病院に搬送された時にはすでに危篤状態(estado crítico)だったようで、その後、病院で死亡が確認された(confirmaron su fallecimiento)。
しかし、当局は今のところ、ヘイトクライムであるとは明言していない(Las autoridades, sin embargo, no confirman que se trate de una agresión homófoba)が、内務大臣(ministro de Interior)のフェルナンド・グランデ・マルラスカ(Fernando Grande-Marlaska)は「いかなる仮説も排除しないが、今は何も言えない(Ninguna hipótesis está excluida. El caso está bajo secreto de sumario)」とだけ述べ、ヘイトクライムについて、肯定も否定もしなかった。
この暴行死事件を受け、バルセロナやセビージャなど50を超える都市で、集会(conccentración)が行われた。「サムエルのための正義を!(Justicia para Samuel)」「暴力は何も生まない。LGBTI差別の暴力には一歩たりとも引き下がらない(Ninguna agresión sin respuesta. Ni un paso atrás frente la violencia LGTBIfóbica)」とのスローガンのもと、1000人を超える人々が集結した。LGBTの団体は、今回の事件を、「同性愛嫌いによる犯罪(crimen homófobo)」と位置付けている。現場に居合わせた友人のひとりは、「サムエルは死んだんじゃない、殺されたの(Samu no ha muerto, lo ha asesinado)」と涙ながらに訴えた。
また、サムエルの友人たちは「極右政党がヘイトを広めている張本人で、ヘイトスピーチの温床となっている(los partidos de ultraderecha que no paran de extender el odio, responsables de fomentar un discurso de odio)」と述べ、名指しこそしなかったものの、ボックス党(Vox)を批判した。
こうした、誰も得をしない、暴力が早くなくなりますよう。
見知らぬサムエルの冥福を祈りたい。
写真はサムエル(右)と、サムエルの父親と思われる人物のメッセージ。不鮮明だが、「救援チーム」に感謝の意を述べる文面から始まっている(左上)。そして、このようなことが二度と起きないように、と締めくくられている(右下)。