1/25 ニュースなスペイン語 Castillos en venta:お城売ります
スペインで城(castillo, fortaleza)の売却ラッシュが止まらないという。
城というとシンデレラ城のモデルになったとも言われている、セゴビアの「アルカサル城(Alcázar)」などをイメージするかもしれない:
しかし、実際に売りに出されているのは、タイトル写真にあるような、廃墟と化した城、もしくは城跡である。写真はカスティージャ・ラ・マンチャ州のグアダラハラ県にある、コゴジュード城(Cogolludo)だが、これが、今週より、50万ユーロ(約6400万円)で売りに出されることになった。
城は「地方観光やホテルとして、良い投資になる(Es una buena inversión para turismo o alojamiento rural)」と言われているが、メンテナンス代(coste de mantenimiento)がネック(hándicap)になる。加えて、城を居住可能(habitable)な空間にするためのリホーム費(coste de restauración)には、もっと、高額な費用が必要になる。
「売却(venta)・城(castillo)」と検索すると、いやはや、わんさか出てくる。例えば、下の写真はバルセロナにある「城」だが、すでに、リホーム済みで、価格は500万ユーロ(約6憶4000万)。荒れ果てた城跡とはケタが一桁違う:
タイトル写真の廃墟と上の写真の居住用城とは、年代も、廃れ方も違っただろうから、単純な比較はできないが、少なくとも、日本円で約6億も差がでるのだから、相当のリホーム代が必要になるはずだ。
使い手のいなくなった城は、消滅を宣告された廃墟に過ぎないのです(Un castillo sin uso es una ruina condenada a desaparecer)ーー。ある城の研究者は嘆く。この専門家は、地方企業数社(empresarios locales)から出資を募り、市役所(ayuntamiento)が城を買うように働きかけた。未来のプロフェッショナル達を養成するための運動(campaña en la que se forman futuros profesionales)を展開し、城の保全キャンペーンを展開している。
もっとも、このように行政が城の保全に乗り出すことは多くはないらしい。スペイン 城の友の会(Asociación Española de Amigos de los Castillos)という民間の団体によると、スペインには1万を超える城があるが、その内の約200は完全に廃墟(totalmente en ruinas)と化しているという。
時折しも、日本でも、淡路島の「世界平和大観音像」が、6月から解体されると報じられた矢先のことだ。淡路島の世界平和大観音像とスペインの城群は作られた年代も経緯も全然違うので、やはり、比較はできない。
しかし、過去の遺産とどう付き合うか。そして、未来に何を残すかーー。いろいろ考えさせられることが多い。